ついに「泣く子も黙る」税務調査の季節が迫ってまいりました。税務調査は毎年8月のお盆過ぎから11月くらいに集中して行われます。残念ながら税務調査が個別企業に行われるスパンは、国税庁から公表されていません。代わりに、どれくらいの割合で税務調査が入ったかを示す確率である「実調率」が、毎年公表されているのでチェックしてみましょう。
税務調査が本格化するまであと1ヶ月に迫る
税務調査とは個人事業主や会社が行った税務申告が正しいか否かを、国税庁の所管下におかれる税務署の署員が調査しに来る活動です。
今年もついに「泣く子も黙る」税務調査の季節が迫ってまいりました。税務調査は毎年8月のお盆過ぎから11月くらいに集中して行われます。
多忙を極める決算処理が6月末頃で終わり、人事異動が7月付けで行われた後、少し落ち着いた8月のお盆明けからが、税務署員にとっては一番動きやすい時期だからです。
3月・4月決算の各社資料を俯瞰して見ることが出来るのも、税務署にとって税務調査を8月お盆過ぎから集中して行うメリットのようです。
税務局が税務調査に入る確率を示す実調率
利益の出ている個人事業主や、企業経営者であれば、誰しもが税務調査を嫌がることでしょう。
税務調査で企業に入られる日は1日が丸つぶれになりますし、当日の質疑応答に対応するための準備には多くの時間が取られるからです。
脱税を行っているならまだしも、健全な節税対策を取って納税しているにも関わらず、犯人のような扱いを受けるのは、心理的にも大きなストレスとなります。
とはいえ、彼らも人の子、国(国税庁)からお給料をもらうためには、調査ノルマを達成し、脱税の摘発と抑止力としての役割を果たさなければならないのです。
では税務署員はどれくらいの割合で、企業に訪れるのでしょうか?
10年に一回の割合でしょうか?5年に一回の割合でしょうか?はたまた3年に一回の割合で訪れるのでしょうか?
残念ながら税務調査が個別企業に行われるスパンは、国税庁から公表されていません。
ただし全企業・全個人事業主に対して、どれくらいの割合で税務調査が入ったかを示す確率である「実調率(じっちょうりつ)」は、毎年公表されています。
最新の国税庁発表(平成23年)によると、法人企業に対する実調率は4.3%、個人事業主に対する実調率は1.4%にしか達しません。※
単純にこの通りとはなりませんが、法人企業の場合は23年に1回、個人事業主の場合は71年に1回の割合で、税務署員が税務調査を申し込む可能性がある計算となります。
税務調査が入る可能性は、企業・個人事業主全体ではとても低い確率と言えるでしょう。
実調率は低下しているが油断してはいけない
自社に税務調査が入ってくると、我々はイラツキを覚えずにはいられません。
「なぜこんなにも忙しいのに、税務署員は追徴課税を引き剥がそうとするのか?」とむかっ腹を立てたくなるものです。
しかし実調率は、実のところ約25年前の平成元年には法人企業で8.5%、個人事業主でも2.3%に到達していました。
その当時に比べれば、実調率は下がり続けています。
要因は
- 税務署員の高齢化と減少
- 税制改訂による納税申告者の増大
- 国際的取引の活発化による会計処理の複雑化
といったところにあります。
ここで「税務調査は以前よりも企業や個人事業主に入りにくなったのか?」といった疑問が生じます。
しかしこの点は単純に「イエス」と首を縦にふることは出来なさそうです。
なぜなら以前よりも税務局による事前調査の精度はあがっているからです。
税務調査がもし自社に入った場合は、何らかの揚げ足を取れる見当を彼らがつけていると考えて良いでしょう。
「行けば追徴課税が取れる」と行き当たりばったりの確率論だけで仕事をするほど、税務局にも人的リソースはありません。
「税務調査が入る可能性」を考えて、税務調査ラッシュが始まる前のこの時期に、さらっと自社の会計処理をおさらいしておくのは賢明です。
参照元
※ 国税庁 税務行政の現状と課題
http://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/shingi-kenkyu/shingikai/130226/shiryo/pdf/04.pdf