業績が良い時ほど経営者が節約の精神を持つべき理由

業績が良い時には何をやってもうまく行く

 読者の皆様は「何をやってもうまくいく」「利益が出て仕方がない」という状況を、ビジネスでご経験されたことはありますか?

 もし現在、このような状態を経験されているなら、貴方が払った努力や犠牲は大いに賞賛されるべきものです。

 起業した経営者の50%が10年で市場から去る世の中で、競争に勝ち抜き大きく利益を出すことは至難の業だからです。

 更に事業がうまくいく時というのは面白いもので、何をやってもトントン拍子で物事が良い方向に進んでいきます。

 もちろんうまく行っている時期に、自信を持って積極的な攻めの事業展開を行うことは賢明なことです。

 ただし攻めの事業展開を行う前に、一旦兜の帯を締める、つまり「節約」を意識することは更に賢明です。

 その理由を本稿では説明したいと思います。

事業の波に必ず存在する落ち目は避けられぬ

 なぜ経営者はうまく行っている時ほど「節約」の精神を持って事業と向き合うべきなのでしょうか?

 理由は至極簡単です。

 事業には波があり、更に言えば波には必ず「落ちる場面」があるからです。

 華々しく活躍する多くの経営者がうまく行っている時期から程なく、転落の道へ歩んでいく光景を、テレビのニュースや週刊誌で私達はよく見かけます。

 転落理由の多くは、波(業績)が上がっている時に「波(業績)が落ちる場面」を想定せずに、自社のキャッシュを大切にしない、無駄な支出を繰り返してしまったことに要因があります。

 業績が拡大すると経営者はどうしても、拡大する企業を支えるために積極的な人材採用を行い、既存人材を引き止めるための給与アップもさほど思考せず実行し、大きくなる組織を維持する間接費用(オフィス費用/社内外の交際費/インフラ維持費用)に対しても疑問を持たない状況となりやすくなってしまいます。

 業績の波が上がっているうちはこれらの費用支出はさほど問題になりません。会社が急拡大している間は、金融機関も積極的に手を差し伸べてくれるため、キャッシュ・フローはうまく回ります。

 しかし、ライバル企業が自社よりも更に優れた技術を発表する、大口取引先が契約を変更・解約する、取引先が倒産または不渡りを起こす、など何らかの理由で自社の業績が下向きになり始めたとします。

 この時に備えて波が上がっているうちに節約していない企業は、転落しはじめます。

 これまで喜んで融資してくれた銀行は融資をストップし、良くない噂がどこからか上がって企業としての信用が落ちはじめます。

 数ヶ月程度で業績の回復が見込めるならばまだしも、先行きが見えない場合は、即時撤退戦を開始しなければなりません。

 しかし増大してしまった固定費用が大きければ大きいほど、撤退戦を敷くには厳しい戦いを強いられてしまうのです。

 転落にかかる時間は想像以上に早いものです。

落ち目に備えて覚えておきたい家康の金言

 誰しも今うまく乗っている波(事業)が「落ちる場面」など考えたくないものです。

 しかし時は常に過ぎ去り、人もまた移ろうため、今ビジネスでうまく行っていることは遅かれ早かれ、「落ちる波」を経験します。

 場合によっては同じ事業・ビジネスモデルが時代にそぐわないケースが生じ、ゼロから全てを始めなければならないかもしれません。

 その時に動ける体力を備えて、無駄なお金を使わないことを「企業の経営者」として日々意識することは、攻めに転じる上でも無駄な支出を避けるためのストッパーとして役に立ちます。

 「不自由を、常と思えば、不足なし。心に望み起こらば、困窮したるときを思い出すべし。」とは、日本で最も成功したリーダーの1人である徳川家康の言葉です。

 天下を取った後も、質素倹約を自分に課せた家康の築いた徳川幕府は、約300年続きました。家康の節約により築き上げた巨大な資産が、幕府を支えたのです。

 うまく行っている時ほど「節約」の精神を持って事業と向き合い、更なる会社の発展につなげて行きましょう。

節約
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