ネット集客で自社サイトを持つ時に便利なのが、リスティング広告を活用してブラウザ上で自社サイトの広告を打つことだ。しかしリスティング広告は入札によりクリック単価が決まるため、人気のあるキーワードで広告出稿すると競争に巻き込まれる。費用の一部でランディングページの強化を行えば、ネット広告はトータルで見た時にコスト削減可能になる。
ネット集客では競合との戦いが避けられない
インターネットを使った集客が急速に普及してきています。
消費税増税のあった2014年くらいからこれまでネット集客に力を入れていなかった企業やお店も、積極的にネット集客を始めるようになってきています。
ネット集客をするには業種にもよりますが、通常は自社サイトを持ちグーグルやヤフーの検索結果に表示される広告を買い、自社サイトに誘導することがベーシックな集客方法になってきています。
これはリスティング広告と呼ばれている広告です。例示するとリスティング広告は、ブラウザ上で以下のように表示されています。皆さんも良くご覧になることでしょう。
リスティング広告は確かに便利です。
アクセスが沢山あるグーグルやヤフーの検索結果画面の目立つ部分に御社のサイトの広告があれば、多くのユーザーの目に触れることになり広告をクリックして御社のサイトを見に来る人たちが増えます。
掲載開始までのスピードも従来の紙媒体の広告とは比べ物にならないくらいスピーディーで、しかも広告予算に応じて露出する回数をコントロール出来ます。
しかしこれでは何か話が旨すぎます。
リスティング広告には資本主義の原理が働く
こんなに便利なものを御社だけが利用できるのなら良いのですが、「御社が利用できるということは他の競合企業も手軽に利用できること」を意味します。
そうすると何が起きるのでしょうか?
それは広告スペースの場所取り競争です。
広告の掲載順位は高ければ高いほど検索ユーザーの目に触れやすくて、自社サイトへのアクセスが増える傾向があります。
そのためより掲載順位を上げるために、掲載希望する競合企業がより高いクリック単価で入札をしようとするのです。
掲載順位は、1クリックあたりの入札価格、広告のクオリティー、入札したキーワードと広告内容の関連性、など複数の要素で決まります。
この中で「入札したキーワードと広告内容の関連性」は自分の当前を使えば特にお金のかかることではありません。
一方で、1クリックあたりの入札価格と、広告のクオリティーに関しては、どうしてもたくさんのお金がかかります。
御社が1クリックあたり例えば100円で入札したとして、それが100回クリックされた時に1件の受注がとれたとしたら「100円 × 100回 = 10,000円」を投資すれば1件の受注ができるので成約率は1%になります。
しかし、120円、150円と、競合他社がより高い単価で入札をしてきたら、御社のサイトの広告の順位は他の要因に差が無ければ下がってしまいます。
広告の掲載順位が下がれば下がるほど、広告を見て訪問する見込み客のアクセスは減ってしまいます。
このメカニズムの行き着く先は「資本主義の論理」です。
つまり「より多くのお金を持つものがより多くの利益を得ることが出来る」という冷ややかな論理です。
この「資本主義の論理」が働くのは掲載順位だけではありません。
例えば御社のサイトの掲載順位が1位で、ライバル会社が2位だったとします。
かなりの出費を覚悟して高い単価で入札して1位表示を達成したとしても一つ落とし穴があります。
それは、広告をクリックしてユーザーが訪問するウェブページの品質です。
ライバル会社のウェブページが御社のものと比べてとても見やすく、かつ説得力のある内容で、商品力も高ければ、掲載順位が2位だとしても成約率は御社を上回ることになり、結局ライバル会社に新規客を奪われる可能性が生じます。
順位も大事ですが、その広告をクリックした時にユーザーが見る「ウェブページの成約率を上げるための最適化」が必要になります。
ページ成約率を上げるならLPO対策は必須
「ウェブページの成約率を上げるための最適化」のことを、Web業界では「LPO」(Landing Page Optimization:着地ページ最適化)と呼びます。
そしてリスティング広告のリンク先は、ランディングページと呼ばれています。
検索結果に表示されているリスティング広告をクリックしたネットユーザーが、ページに着地するというイメージなので、ランディングページと呼ばれています。
私のクライアント企業の方で、1つのランディングページを作るのに100万円近くの料金を払う方がいます。
100万円の制作費というのは高く感じますが、それにより広告費が大幅に削減できれば、トータルで見た時にかなりの節約になることがあります。
例えば、御社が検索結果ページに表示するリスティング広告に、毎月300万円使っていて年間3600万円も出費していたとします。
そんなに多く広告費をかけていても、成約率が低いランディングページにリンクを張っていたら、自社サイトから発生する売上は限られてしまいます。
毎月300万円も広告費をかけて成約率の低いページにランディングページを張っている場合、そのページを見たネットユーザーが購入する合計金額が900万円だとしたら、
- 売上900万円 - 広告費300万円 = 粗利600万円
となります。
こうした場合広告費を仮に1割減らして、270万円にすれば毎月30万円が浮きます。
そして浮いた30万円を3ヶ月分使用して、成約率が高いランディングページを作れば、毎月200万円まで広告費を減らしても同じ売上が発生することが見込めることがあります。
そうなった時には広告費の削減が可能になり、御社の手元に残る利益は最終的に増えることになります。
成約率が高いランディングページを作るためのノウハウは書籍や様々な教材でも説明されていますし、制作を代行してくれる業者さんも増えてきています。
グーグルなどで「ランディングページ制作」というキーワードで検索すれば、たくさんの制作会社さんを見つける事が出来ます。
このようにネット広告費のトータルコストを削減するためには、部分的に一点豪華主義で投資をすることも検討してみてください。
ネット集客の世界では知らないと損をすることがたくさんあります。
ウェブの世界は、ちょっとした工夫でたくさんの費用を節約することが可能な世界です。
これからも、あの手この手でネット集客のコストを削減しながらもネット経由の売上を増やすヒントを提案させていただきます。