6月5日、楽天が巨額な資金を調達して将来のために投資すると報道があった。事業が好調であっても、将来の見込み客を見つけるために大胆な投資を行い、海外に打って出る楽天の姿勢は、失敗をするリスクよりも、行動をしないことが最大のリスクということを教える。同業他社が嫌がるくらいの素晴らしいサービスを消費者に提供し、自社独自の経済圏を作ろう。
楽天が1880億円の増資 その使い道とは??
6月5日、楽天が巨額な資金を調達して将来のために投資をするという報道がありました。
『楽天は4日、公募増資で1880億円を調達すると正式発表した。資本を拡充し、M&A(合併・買収)を活用した今後の成長投資に備える。2010年に現地の電子商取引(EC)サイトを買収して進出した米国。同業の米アマゾン・ドット・コムへの対抗策として「新たな経済圏をつくる」(三木谷浩史社長)との意気込みだ』
楽天は
- ・昨年買収した世界2億5千万人が使う無料対話アプリ「バイバー」
- ・昨秋に1,000億円で買収したネット通販関連サイト運営の「イーベイツ」
などでかなりの投資をして、その有利子負債に今回調達する1,880億円を充てて、さらに将来の投資に備えるとのことです。
楽天が教える行動しないという最大のリスク
この記事を読んで楽天から勉強できることは主に3つあります。
(1)うまく行っている時ほど大胆に投資
現状が上手く行っている時ほど、将来のために大胆な投資をする必要があります。今の繁栄は過去の投資の賜であり、この今、時間か資金、あるいはその両方を投資しなければ将来の繁栄は絶対にあり得ないのです。
(2)販売する前に将来の見込み客を作る
自分が売りたいものを売ろうとするには、まず将来の見込み客を何らかの形で集めておかなくてはなりません。「バイバー」、「イーベイツ」もそうですし、その前に買収した海外では一定数のユーザーがいる電子書籍のKoboにしろ、今現在大きな収益を産んでいなくても、それらサービスの「億を超えるユーザー」に情報を配信するインフラを先ずと整えることが必要です。それが済んだら好きなだけ自社が売りたい商品、サービスを宣伝出来るようになるからです。実際に前述のサービス利用者が、今後楽天からものすごい数のプッシュ配信による宣伝を受信することは明らかです。まず無料サービスや、非常に便利なサービスを提供して、信用を得ることが先だということです。
(3)日本ではなく海外(アジア)のチャンスにかける
日本のEC市場はかつてのように自然には成長しないので、海外進出、特にアジア方面への進出に巨大なチャンスを楽天は見ています。
一見こうした2,000億円近くの投資は他人ごとのように思えますが、私達サイト運営者にとって、今回の増資は人事ではありません。
これら3つのうち全てとは言わないまでも、いくつかは見習えることがあると思います。
また上記3点に共通する主義があります。それは「失敗をするリスクよりも、行動をしないことが最大のリスク」という主義です。
楽天の動きを座視して御社が何もしなければ、将来的に楽天に一方的にお金を払う側に立つということにもなりかねません。
その時いくら文句を言っても、何の意味もありません。
ネットの世界は勝者が全てを取る原理で成立
米国経済、IT社会にはとても嫌な格言があります。それは「Winner takes all.(勝者が全てを取る)」という残酷な格言です。
私達日本人にはそうしたドライな生き方は似合わないですし、そうした考え方、生き方には抵抗を感じます。
しかし、何の力も無ければそうした思想を持つ企業に従う他なくなるのが現実の厳しさです。
あなたの業界でも他社に仕掛けられるのを待つのではなく、自分から仕掛けて下さい。
何を仕掛けるのか?それは同業他社が嫌がるくらいの素晴らしいサービスを消費者に提供する事です。
何故ならそれはほとんどの場合、消費者達に熱狂的に支持されることだからです。
御社が熱狂的に支持されることをする限り、業績が伸びないわけがありません。
御社の業界に御社独自の経済圏を築いて下さい。
そしてその経済圏を楽天のように海外にまで広げて下さい。