六四天安門事件の日にチャイナリスクを思い出す

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 1989年6月に中国の北京で発生した六四天安門事件は結果として、中国共産党の一党独裁体制を確固たるものとしました。共産党はその後経済開放路線を積極的に推し進め、日本企業も数多く中国へ進出していますが、チャイナ・リスクが大きな壁となっています。中国でビジネスを行うならチャイナ・リスクに対する防衛策を必ず立てるべきです。

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6月4日は1989年六四天安門事件が起きた日

 6月4日は、六四天安門事件の日です。

 1989年4月に胡耀邦(こようほう)の死をきっかけとして、中国・北京市にある天安門広場に民主化を求めて集結した学生ら一般市民のデモ隊に対し、中国人民解放軍が武力弾圧を行い、多数の死傷者が出た事件が起こりました。

 六四天安門事件は結果として、中国共産党の一党独裁体制を確固たるものとしました。

 また共産党はこの事件以後、経済開放路線を積極的に推し進める一方、徹底的な国民に対する情報統制を行うことで共産党への批判を閉じ込めています。

 経済開放路線は海外からの投資を中国へ呼び込み、日本企業の多くも中国へ進出しました。チャイナ・ドリームという言葉ができたほどです。

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中国へ進出するならチャイナ・リスクを考慮

 現在中国へ進出している企業の多くが受難を迎えています。なぜなら中国企業との取引や中国でのビジネス展開で、「チャイナ・リスク」という大きな壁が立ちはだかっているからです。

 チャイナ・リスクとは、中国国内で外国企業が経済活動を行う際もしくは中国人を雇い入れる際のリスク(不確実性)を指す言葉です。

 直近で起きたチャイナ・リスクの最たる例として、化学薬品商社「江守グループホールディングス(以下:江守グループ)」の破綻が挙げられます。

 江守グループは4月末に、約711億に及ぶ今年最大の負債を抱え、民事再生法適用の申請を発表し破綻しました。

 主な理由は、実に売上高の70%以上を稼ぎだしていた中国の大口取引先からの代金未回収、中国子会社の不正取引による大規模な特別損失の計上です。

 特に中国子会社の不正取引は、中国で日本以上に重視される「血(親族)」の関係を利用した、元総経理(日本で言う社長)が仕組んだものでした。

 不正が発覚した後の信用失墜により、中国での売上拡大はもはや見込めません。

 江守グループは敢え無く破綻し、民事再生の適用申請と中国からの撤退を発表する事態となったのです。

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マーケットは魅力的だがリスクも直視せよ

 継続する高度経済成長や人口13億人を超えるマーケットを持つ中国は、ビジネスフィールドとして確かに魅力的です。

 しかし共産主義のもとで形成されてきた経済制度や既得権益と、資本主義の下で活動していた日本企業の利益をうまく調整することは、非常に困難を極めます。

 取引の際には、1)ビジネスを小さく始めてすぐに撤退できるよう備える、2)リスクを薄めるため利益率が薄くなってもクッション企業を最初は入れる、3)中国のみならず他の国へのリスク分散投資を行う、などあらゆる守りの手段を想定することが賢明と言えるでしょう。

 六四天安門事件の日にチャイナ・リスクを今一度思い起こしてみましょう。

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  Photo by (c)Tomo.Yun

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