『マイクロマネジメント』とは
今回は、『うっかりマイクロマネジメントをしていませんか?』『マイクロマネジメントで子供がのびのびできなかったり、社員の成長が阻害されていませんか?』という内容でお話します。
『マイクロマネジメント』という言葉を聞いた時に、読者の皆さんはどんなイメージを持ちますか?
『マイクロ』とは細かい、『マネジメント』というのは管理するという意味です。
世の中一般では、下につく人間を細かく管理することが良いことである、という価値観が大勢を占めています。この価値観に基づき経営学も発展してきました。
『マイクロマネジメント』の弊害
ただ、なんでもかんでも上司や先輩やマネージャーが勝手に全部代わりにやってしまうような、行き過ぎたマイクロマネジメントが大きな弊害を生んでしまうことも、近年わかってきています。
「部下があまりにも仕事が遅い」とか、遅すぎたりちょっとミスがありすぎて「こんな奴らに任せてられない、自分で全部やってしまおう」といった感じでなんでも細かく管理してしまうわけです。
完璧主義は教育にはマイナス
このようなタイプの方は伝統主義的であったり、あるいはルールに対するこだわりが強かったり、自分流から外れている人を見ると腹が立つタイプに多く見られます。
そういう方は、実は完璧主義者だったりもします。
完璧主義者は、自分の部下が細かいミスをしていたり、とろとろしてるのを見ているだけで腹が立ってしまいます。
「なんでそんなダラダラしているのか」「なんでこんなこともわからないのか」「なんでこんなことも出来ないのか」「普通こう考えたらわかるだろう」とか「普通ならもう少しきちんと考えてから行動するだろう」とか言いながら自分で済ませてしまうわけです。
自分が完璧主義者の部下となった場合、どうでしょうか?
気持ちよく働けるでしょうか?実際にはその逆でうんざりしてしまいますよね。
『マイクロマネジメント』の背景にある『知識の呪縛』
行き過ぎたマイクロマネジメントをする上司が生まれる背景には、『知識の呪縛』があります。
『知識の呪縛』というのは、「出来る人は出来ない人の気持ちがわからない」というものです。
出来る人というのは、かつては出来なかった頃が自身でもあったのに、その頃を忘れているか、思い出せないので、誰だって出来るという価値観のもとでその人を評価してしまい、「何であなたには出来ないのか」「普通に考えればこれくらいは出来るだろう」「もうわかるだろう」というふうに考えてしまいます。
なので、出来ない人間を見ると勝手にイライラしてしまいます。
部下に失敗をさせないから成長しない
マイクロマネジメント上司は失敗をプラスに捉えられない
こうして、知識の呪縛にかかった上司が行き過ぎたマイクロマネジメントを行うと、部下は成長しなくなります。
行き過ぎたマイクロマネジメントを行う上司が、必要以上に手助けしてしまったり、失敗する前に先回りをして色々やってしまうので、部下は失敗しなくなります。
部下が失敗した場面があったとしても、その失敗を成長のために生かすプラス材料として捉えることなく、むしろ「悪」とみなすだけで、その失敗をなくそうとしてしまうので、結局、部下が育ちません。
チャレンジ精神を失わせる『マイクロマネジメント』
そうなると、結局、企業文化は窮屈で伝統主義的なものになってしまい、チャレンジ精神が失われます。
最初のうちこそ、ベストを尽くしたいと社員は考えているにも関わらず、ベストを尽くして失敗した結果怒られる。それどころか細かく管理されることにより、「事なかれ主義」を選択するようになってしまいます。
「じゃあ、いつベストをつくしたらいいんだろう?」「それであれば、もう上から言われた通りのことをやっている方が怒られないし、それが一番無難ではないか」と。
これは社員が悪いのではなくて、『マイクロマネジメント』をしているマネージャーとか上司が変わらないと、下も変わらないということです。
まとめ:失敗を通じて人は成長する
本人たちが失敗を通じて、1/3ぐらいの作業スピードが段々1/2に、それ以上になるかもしれないのに、「どうせ駄目だから、うまく行かない」という思い込みで『マイクロマネジメント』をしてしまうのはもったいないことです。
企業の成長スピードを上げたいなら、上司自体が「失敗を良し」と捉え、部下に積極的に失敗させる環境を与えるような企業文化が必要となります。
ただし、このような企業文化を、ある程度社歴が長く事業が固まった会社で自発的に生み出すことは非常に難しいのも事実です。このような場合、外部からのコーチング支援を得ることも視野に入れて動く必要があるでしょう。