今や海外でも支持を得つつあるおたく文化。日本では更に深化したおたく文化の活用が進んでいる。例えば新宿では、オタク萌系歯科医院、「新宿ちどり歯科」が運営されている。個性として「萌系」を自称することで、飽和している歯科医院市場のなかで差別化がなされている。今後飽和する市場のプレイヤーは「おたく文化」を積極活用することだろう。
おたく文化はインターネットで海外へ波及
「おたく」「ヲタク」。世界中の ”Otaku” たちが愛してやまない日本の文化である。
「おたく」とは何なのか諸説あるなか、少なくとも数千億円以上の市場規模になった一大産業であることは間違いない。
例えば、日本のサブカルチャーを世界に発信するTokyo Otaku Mode(トーキョー・オタク・モード)のインターネットによる情報発信や通信販売、クリエイターのサポートなどは大盛況の状態となっており、フェイスブックのファンは世界中に1,700万人以上いる。
1,700万人といえば、南米チリの人口に匹敵し、チリ人全員が ”Tokyo Otaku Mode” のファンになったと考えれば、その市場規模の絶大さがイメージしやすい。
試しに、サイト分析ツール「similarweb」を使って、「THE GOVERNMENT OF JAPAN」日本政府の英語版サイトと「Tokyo Otaku Mode」のサイトで、人気度合いを比較してみた。
ニッポン政府のグローバルランクはおよそ600,000位であるのに対して、Tokyo Otaku Modeはおおよそ10,000位という結果になった。
今やTokyo Otaku Modeは、ローソンや東急ハンズとコラボレーションするのみならず、観光庁、クールジャパン機構からもコラボレーションを依頼される企業となっている。
萌系メイドご奉仕歯科医院が新宿に出現する
日本では更に深化したおたく文化の活用が進んでいる。
なんと新宿では、オタク萌系歯科医院、「新宿ちどり歯科」が運営されている。
萌系とは言うものの、同歯科医院のサービス内容に「萌え萌えキュンキュン」などの掛け声はない。
同医院はQOL(Quality of Life)を治療方針にした、最先端の本格的な医療を行っている歯科であり 、患者の意思や個性を尊重した治療を行ってくれる。
もしも「おたく」とは無縁の諸兄であったとしても、一度は「新宿ちどり歯科」のサイトをご覧になるといい。丸文字に歯ブラシを手にしたメイド助手の「おかえりなさいませ、ご主人様」と迎えてくれる。
おたく文化を活用したビジネス展開は続く
2011年の統計では、全国の歯科医院の数はコンビニエンスストアの1.6倍とされている。
さらには、保険点数の引き下げ、引退しない高齢の歯科医師を含めた患者の奪い合いなど、歯科医院の経営はますます厳しくなり、廃業に追い込まれるところは少なくない。
意図するせざるを問わず、ちどり歯科はおたく文化を活用して、文字通り、「他とは違っても、QOL(Quality of Life)で自分らしくいる。」を体現することで差別化を図っている。
同例のように、プレーヤーが飽和した市場で、おたく文化を活用して差別化を図ろうとする企業は、今後ますます増えるだろう。