ティール組織に至る5段階の組織ステージ
今日のテーマは、「ティール組織と5段階のステージとは」です。
ティール組織は次世代型の組織形態で、今までのやり方に固執する社長さんだと結構嫌がる方もいるんですけれど、まずは見ていただきたいなと思います。
まず、ティール組織の概念には、「組織経営の進化形態」というものがあります。
Lean and Agile Adoption with the Laloux Culture Model
これについて、ご紹介したいと思います。
レッド組織:ジャイアニズム〜個人の力による支配
まず、第一の組織形態は「レッド組織」です。非常に原始的で進化の過程から見ても古い組織形態です。
メリットは、脅しと恐怖による管理を用いて、スピーディに物事を進めることが可能になり、目前の目標を優先的に達成できることです。
一方でデメリットは、長期的な計画を立てることはなく、覚せい剤、アルコール、ギャンブルなどの目先の欲を優先させるような文化があることです。
代表的な組織は、ギャング、マフィア、やくざ、民兵です。
イエロー組織:身分制度によるピラミッド型組織
次が、イエロー組織、つまり、身分制度によるピラミッド型組織です。
上意下達、集団の規範、伝統行事、礼儀作法を重んじる傾向があります。
レッド組織が短期的な目標を達成する組織であったのに対して、イエロー組織は中長期な目標を掲げるようになります。
つまり、布教活動など、長期的なプロジェクトを目指したり、スケーラビリティ(どれだけスケールを大きくできるか)を目指します。
代表的なところで行くと、イスラム国なんかが上げられます。どれだけ勢力を拡大できるか?布教できるか?を考えています。
ただし、社会的な仮面を被っていたり(自分らしさを押し殺す)、自分の役割や管轄を守ることが重要で、柔軟性が乏しく、変化に弱いという弱点があります。
つまり、社会に変化が無い間は全く問題ないのですが、いざ変化が起こるとピラミッド型組織には弱い部分があります。
代表的な例は、政府、伝統的な教会、ブラック企業、ワンマン社長などが上げられます。
オレンジ組織:アメとムチの能力主義
次が、オレンジ組織、つまり、アメとムチの能力主義型組織です。
企業との雇用関係が生まれ、社長と従業員、 社員同士の競争、自己表現禁止の文化が生まれます。
この組織のメリットは、イノベーションが生まれやすく、成果主義を採用し、説明責任が明確化されます。
伝統から来る、理不尽で非合理的な考えや命令の押し付けも無くなります。
一方でデメリットも生まれて、関係性の希薄化、短期の成果追求、過剰なレバレッジが生まれます。
代表的な組織は、現代の大企業です。
グリーン組織:エンパワーメントされた家族型組織
ここからは大分進んだ組織になります。グリーン組織「家族型組織」です。
特徴は、価値観の共有、戦略よりも文化、利害関係の平等性、自己表現の許容、競争や比較の撤廃の文化を持つことです。
集団知能の最大活用を目指し、エンパワーメント(みんなが自主的に社長と同等の判断を下せる)も実現しています。
自分で即座に判断し、行動することが称賛されます。
デメリットとしては、ヒエラルキーが存在していることです。
エンパワーメントしているけれど、ヒエラルキーも存在している。ここがグリーン組織の矛盾点ですね。
代表的な企業例は、スターバックス、サウスウェスト航空、ベン&ジェリーズ(ソフトクリーム)、HCLT ( 電子機器メーカー)DVA(透析事業)など。
ティール組織:反脆い生命体のように運営される進化型組織
そして、今回取り上げる次世代型の組織が、ティール組織です。色でいうと緑がかった青で表されます。
この組織は、変化、ストレス、逆境、ピンチを栄養に大きく成長します。いわゆる反脆い状態の非常に強い組織です。
大きな目的を持っており、全員に平等の決定権があり、進化を選び続けます。
集団知能の活用や、自己管理も全て負かされ、want toのみで動いています。法律上の社長は存在しますが役職は一切関係ありません。
メリットとしては、ヒエラルキーが存在せず、have to も存在しないため、自分らしさを武器に仕事ができます。
デメリットとしては、時代が追いついていないこと。ティール文化に人が追いついていないと、組織として機能しないことにあります。
代表例として、パタゴニア(アウトドアウェア)、ビュートゾルフ(訪問介護)、RHD (発達障害、身体障害福祉)、FAVI(金属加工)、AES (コーポレートコーチング)があります。
ティール組織の具体例:ビュートゾルフ(オランダ)の場合
せっかくなので、ティール組織の具体例として、ビュートゾルフ(オランダ)に焦点を当ててみましょう。
この会社はオランダの訪問介護事業を営む会社で、2006年の時点で従業員は10人もいませんでした。
当時のオランダにおける訪問介護業界は、閉鎖的で、ヒエラルキーが存在し、have to により常に仕事に取り組む文化が蔓延していました。
そこで、ビュートゾルフ(オランダ)が取り入れたのが、今までとは正反対のティール組織と文化です。
では、ティール組織を導入して7年後、この会社がどのくらいの規模になったかというと、2013年の時点で従業員は7000人を超え、日本円にして300億以上を稼ぐまでになっています。
ビュートゾルフでは、マネージャーや管理職が設けられていない少数精鋭(10人程度)のチームが各地で運営され、チームメンバーは、利用者へのケア方法、人材の採用や教育はもちろん、財務についても裁量権を持っています。
これらはフラットなチームの話し合いによって決められています。
本部はバックオフィス機能を持っていますが、各チームの裁量には一切の口を挟むことを禁止されています。
更に各チームは、情報を共有する端末で全ての情報をオープンにし、各チームで個々の問題が起こった時に、全国の同じような問題にあたったチームからのアドバイスがもらえる仕組みができています。
ビュートゾルフが現れる以前のオランダでは、介護市場は安定した競争市場でしたが、同業他社で働いていたはずの人々が、続々とビュートゾルフに加入しました。
つまり、既存の組織形態で運営されていた職場を文字通り見捨てたのです。ビュートゾルフは今や、非宿泊型介護事業のシェアにおいて独占的な地位を築きあげています。
これは全て、たった7年の間に起こった出来事です。
今後の記事では、ティール組織を取り入れた企業のCEO達がどんなメリットを享受できるのか、ティール組織の文化を育むのを阻害する要因について、更に詳しくお伝えしていきます。