経営者の第三段階の悩み⇒勉強しない社員をどうするか?
会社の規模がそこそこになってくると、悩むことがあるんですよね。
「勉強しない社員をどうするか?」問題です。
これは一応、第三段階の悩みと私は呼んでいます。
第一段階の悩みは最初に来る売上げの悩み、第二段階の悩みは資金繰り。これをクリアすると次にやってくるのが人材の悩みですね。
この人材の悩みというところまでくると、会社もそこそこ安定してきているんだけれど…っていう状態。
そしてこの悩み「勉強しない社員をどうするか?」が出てくるわけでございます。
とんでも勘違い「従業員が自分のように会社を愛してくれる」
中小企業においては、その社員さんは仕事のために金も時間も投資しないという前提の元でお付き合いしないと、正直、後でしんどくなります。
でも、中小企業の社長さんたちって期待してしまうんですね。
1番の勘違いは、従業員さんが自分と同じように自分の会社を愛してくれる!…とかですね、もうとんだ勘違いですから(笑)。
従業員さんにとって、あくまで私達の会社っていうのは別に愛する対象ではないんです。
ただ単に働きやすい職場があって、そしてそこで給料がもらえてって、それだけやってくれりゃ、彼らにとっちゃ十分なわけですよ。
どうして会社を愛さなきゃいけないの?って。
そして、自分たちの給料の元となっているのは、お客様からの収入であるにもかかわらず、そういうのも全く関係無いわけですよ。
仕事のために、自分がお金を使ったり時間を使ったり投資をして、仕事をもっと良くしていこうなんて絶対にあり得ないと思わないと、社長が落ち込むばっかりですからね(笑)。
従業員は仕事のためになんて勉強してくれない
それから真逆の会社があります。
自学自習が当たり前の社風。社風っていうのは中小企業の場合は会社が作りますからね。
実際に会社が作っていくといっても、社長なんですよほとんどね。
会社自体が社長の作品なんでね。
そこで働くみんなが自学自習、自分からどんどん勉強していくっていう、これが当たり前っていう社風を作ることができたら、これはもう儲かって当たり前!なんですよ。
そのくらい普通の会社の従業員さんは、仕事のためになんかちっとも勉強なんかしません。
社長たちとね〜「従業員100人いたら…例えば毎月1冊の本でも良いから、仕事のために毎月勉強している社員ってどれくらいいるかねぇ?」って話をする時に「100人いて〜…いても1人だろ!」って(笑)。
それくらい、いないんですよ!ですから自学自習がキッチリできている所が「儲かるに決まってる!!」です。
では、自学自習が当たり前の社風の会社を作るまでにどれだけ時間と金をかけたか。
時間と金をかけて勉強会もずーーーっとやって、そしてやっとこ!やっとこ従業員さんが自学自習の癖がついたって話なんです。
サラリーマンが勉強する理由を巧みに突く資格学校
もっと現実を分かっているのは ”資格学校”です。
資格学校の売り方っていうのは、「この資格を取ればあなた自身の武器になります」というセールストークでお金を払わせます。従業員から。
要するに会社勤めの人たちがお金を払うのは、仕事のためとか会社のためには絶対お金は払わない。
だから「あなた自身の武器になる」から転職するときも、より良い所に転職できますよ!っていう形で資格学校は売るわけです。
分かりますね?こういうふうにしない限り、自分でお金を払って仕事のためにお金と時間なんてね、
絶対使わない。これが従業員さんなんだって感じですね。
段々と自社の従業員に期待しなくなる経営者
そうすると、社長も従業員さんに対して、段々と期待しなくなるんですよ。
そして実際、「社員さんとか従業員さんは進化をしない機械だよね」って思うようになります。
これ本当に残念なことなんですけれど、1番最初の従業員を雇った時は、こんなことは思わなかったですよ。
ところが段々と、何人も何人も人を抱えて、そして何度も何度も「どうしてウチの従業員って全然勉強しないんだろうか…」って考えて考えて、悩んでも本当にどうしてよいのか分からない。
そのうち「もういいや!従業員はバージョンアップも何も無い進化しない機械でいいや〜」って、そういうふうに思っている社長さんが結構沢山いらっしゃると思います。
育った家庭の学習資本と人材の質に見られる相関性
「どうして勉強しないのか?」っていうことを考えると、努力とか、それから向上心とかもそうなんですけれど、結局は学習資本というものを考える必要があります。
学習資本って何かっていうと、生まれ育った家庭環境の中で教育によって、自分たちがより良い生活をしていくための資本です。
学習資本のある家庭で育った子供は、教育によってより社会に対して影響があるような仕事に就いていくとか、そういう環境に育っているわけです。
家にはやっぱり本も沢山ありますし、勉強するのを尊重する文化もある。要するに「学べる」という資本が家庭にあるわけですよ。
もちろん親がそういう考え方なんですけれどね。
ここ中野区は、近くには上場企業の社宅とか官舎がけっこうあります。
そこら辺の人たちの家庭っていうのはとても教育熱心です。すごく熱心。
ですから、それだけで社会に出る時に、人材の質で差が付いてしまうよな〜、っていう事をついつい感じてしまいます。
単純に外部の人間が啓蒙しても社員はそんな簡単に勉強を始めない
こういうことを抜きに、ただ単に社長が従業員を責めても仕方ないと思うんです。
というのも、私も会社の社長さんから頼まれることがありましてね、「うちの従業員があまりに勉強しないから、どうして勉強しないのかやっぱり内部の人間には言いにくいだろうから、タナカさんチョット話し聞いてあげてよ。」って。
でもそんな言われてもね、そんな従業員の話を聞いたところで、どうせ返ってくる言葉は決っているんです。
「時間がない」とか「忙しい」そして仕事ができない人の典型的である「すみません」と最後に言って、ここで完結させます。
これはね〜本当に残念なんですけれど、仕事ができない人みんなに共通してます。
最後「すみません」と言って謝って完結させようとします。
そしてこれが身に付いてしまっている30代ってもうどうしようもないじゃないですか。
どーしよーも無い。
こんな社員を抱えて、そのままにしてしまったら…ぶっちゃけ会社全体の組織としての質がダダ下がりします。
結局は社長自身が勉強会の講師役になって、耐えて!偲んで!教え続けるしかない。
だから社長にいつも言うのは、「社員を責めても仕方ないよ」って。
どうせ「時間がない・忙しい・すいません」で全部完結させるんだから。
だから私は社長さんにあんまり期待しちゃいけないよ!って話をよくしていまして(笑)。
でもね、会社としては勉強はやっぱりずっと続けていかなきゃいけないのは、勉強する人の集まり…集団は、必ず勝つんです。
これは本当に言いにくい事ですが、うちの会計事務所のお客様でも本当に収入の高い人たちは、みんな経営陣が頭が良いです。
もうとことん勉強しています。
ですから、会社によっては従業員さん1人当たりの年間の書籍費が年間100万円超えるところもあるんです。
そんなふうにどんどん自分たちで勉強している集団に勝つわけないじゃん。
今は同じように仕事が取れている。仕事を取れた後にじゃあどうやって行くかって言ったら、接待漬け。
私は接待漬けを否定するわけじゃないけれど、接待漬けは常に勉強する集団に、いずれは仕事を取られるって思った方が良いですよ。
第三段階の人材で悩むっていうところになると「教育をどうやってやっていくか」です。
結局は社長自身が勉強会の講師役になって、耐えて!偲んで!です。
本当にみんな従業員は嫌がりますよ?
従業員はみんな嫌がるんですけれど、絶対的に勉強する集団、そういう会社には、自分たちが勉強しなかったら負けるんだ!って。
自分たちが今受注している仕事も結局は他の会社に受注されることになるんだって、そういう危機感を持って、勉強会を続けて頂きたいと思います。