どんな市場も製品も事業も必ず、成長を経た後に衰退期を迎えるため、企業を存続させ、再成長させるためにはイノベーション(革新)を起こす必要があります。しかし、多くの企業はこれまでの事業やモノに固執し失敗します。本当にイノベーションを起こそうと思うなら、これまで培った技術を新たな市場に投下する必要があります。
どんな市場も製品も事業も必ず衰退期を迎える
今回は「イノベーションのジレンマに陥るな」というテーマでお届けしたいと思います。
まず、どんな市場も製品も事業も、基本的には以下のような時間のサイクルを基本的には辿っていきます。
- 導入期
- 成長発展期
- 衰退期
導入していく時はそれほど売上が上がらないんだけれど、成長発展期に入ると売上が上がるようになる。しかし、いずれは衰退期に入ると。
どんな市場も製品も事業も、このサイクルを必ず経験します。
では、イノベーションって何かというと、成長発展期から衰退期に入るのを食い止めるために、革新的なコンセプトや切り口で、新しいマーケットを生み出し、もう一回、市場や製品や事業を飛躍させようとする行動を意味します。
衰退期にある市場に活路を見出すのは難しい
それで、衰退期に入る前にイノベーションを起こそうとする行為自体は正しいものなんですが、なかなかイノベーションが上手くいかない。まさにイノベーションのジレンマに皆陥るんですね。
特に、中小企業の経営者はイノベーションという行為を曲解して理解していることが多いんです。
というのも、長年事業を営んでいる中小企業って、ある分野に特化してビジネスを展開していることが多いですよね。
たとえば、畳屋を100年やっている、という会社さんとか沢山あるわけですけれども、最盛期と比較すると住宅の畳需要って三分の一くらいに落ち込んでいます。
みんな、フローリングが好きですよね。住宅に畳部屋を作ろうとする家庭が少なくなっています。ですから、畳市場というのは衰退期にある市場です。
ここで会社を存続させるって考えた時に、多くの経営者は、畳市場に新しいコンセプトや切り口を持ち込んで、イノベーションを起こそうとします。
しかし、このやり方で会社を大きくしようと思うのには限界があります。なぜなら、畳市場自体が最盛期の三分の一まで落ち込んでいるからです。
多くの中小企業がモノに固執してイノベーションを起こそうとするのですが、本当に大事なのはこれまで培ってきた製品やサービスを作るための技術やノウハウを、新たな拡大市場に投下してイノベーションを起こすことなのです。
日曜ドラマ「陸王」に学ぶイノベーションの起こし方
企業衰退期から脱する方法は基本的に、縮小する市場のシェアを一気に取りに行くか、イノベーションを起こすかの2者一択しかありません。
ただ、縮小する市場のシェアを一気に取りに行くのは、資源の限られた中小企業にとっては非常にリスキーな行為です。みんな同じことを考えますしね。
ですから、先程の畳市場の例で言えば、自社にしかない技術に目を向け、たとえば何十年も使える畳を編み上げる技術を欲する業界、繊維強度を欲する製品市場、大げさに言えば宇宙産業に参入するとか、そういうことを考えたほうが、これから先も生存することを考えた時にはイノベーションを起こし、企業を再成長の軌道に乗せやすいんです。
今までの市場を捨てる必要は無いのですが、モノや業界に固執するのではなく、あくまでも自分達の核となる技術や価値を、全く違うものに使おうとチャレンジするのです。
現在、日曜ドラマ「陸王」が好評ですよね。
あのドラマも、100年続く足袋屋が、足袋作りの技術をランニングシューズ業界に転嫁させ、イノベーションを起こし、会社をまた成長軌道に乗せようとするストーリーです。
あくまで足袋も作りながら、次の活路を彼らは、自社の足袋を編む技術と最新のテクノロジーを融合した「陸王」というランニングシューズに見出そうとしています。
「そんなにうまくいくか?」とか思う方もいらっしゃるかもしれませんが、殆どの中小企業さんは、彼らと同じか、それ以上のイノベーションを起こさないと存続できないのが現実のはずです。
今、目の前にある市場に固執するのではなく、ぜひ、自分達の核となる技術や価値に再度着目し、イノベーションを起こすため、新たな市場を目指すチャレンジを始めましょう。