会社としての純利益が数千万円単位で出てくると、中小企業でも「儲かっている」実感が湧いてくるものです。キミアキ先生は、数千万円単位の純利益を出す事業を作れるか否かは、最初に立てる作戦で決まると言います。しかも、作戦に要する数字は実額ではなく、ザックリ決めた予算内で考えれば良いとのこと。どのような思考回路で事業を組み立てればよいか解説していただきます。
節税しきれないくらい儲かる会社を目指そう
今日は儲かる会社、儲かる社長さんが、実務レベルでどんなふうに新しいビジネスを始める際の経営判断を下しているのか?という話をしてみたいと思います。
零細企業から中小企業にレベルアップする時に、「俺の会社、なんか儲かっている気がするぞ。」って感じ始めるのは、会社としての純利益が数千万円単位で出てくるタイミングです。
その辺までいくと、“節税のために利益を潰そう”なんてことは全然出来ないんです。
そういう規模のところを「儲かる会社」と捉えてお話していきます。
儲かる会社の社長は必ず作戦を立てて実行する
では、儲かる会社のリーダーである、儲かる社長がどんなことを考えているか、というところから始めてみましょう。
やっぱり、儲かっている社長って思考がもともと違うんですね。
思考が違うから儲かっちゃうんですよ。
会社として「生き残り」を考えると、やはり10年持つ会社は1割と言われていますけれど、その1割に残れば良いんだ!とは考えてなくて、最初からクソボロ儲けしてやろう!っていう感じの社長さんの方が(笑)、やっぱり儲かります。
これは、本当にみんな共通しています。
まず儲かる思考があって、必ずそこに伴う行動があるんですね。
儲かる思考が無い人、そういう作戦も何も無い人が儲かることもあるんですが、それは偶然だからやっぱり継続しません。
ですから、儲かる社長さんは、偶然を選ぶのではなくて、必ず儲かる作戦を立ててビジネスを実行します。
儲かる社長は弱者の戦略でシンプルに経営する
それで、儲かる社長さんは、自分が立てた作戦通りにしっかりやれば必ず儲かると考えているから、実は経営が常にシンプルです。
経営をシンプルにするために、まず最初に物事をどう考えるかって話なんですが、基本的に大きく考えます。
1番分かりやすいところでいうと、とにかく税金を払うっんだ!って考えます。
節税して税金を少なくしようなんて、一切考えないです。
ですから、そういう税金の支払い方見ていると、「物事の考え方が大きいなぁ」とかね、我々も感じることがあります。
「大きな考えとかってよく分からないな…」っていうなら、「めっちゃ儲かるから、そしたら税金をドーーーンッって払ってやる!」って、そういう考えで良いんじゃないかなって思います(笑)。
それから、やはり、ランチェスターの弱者の戦略をやった方が、正直言うと勝ちやすいんですよ。
小さな1番を取っていくっていうね。地域1番店でも何でも良いですから、とにかくウチが1番目立っとるやないかいっ!っていうことをやります。
1番になれば、数千万円程度の利益だったら、結構簡単に達成出来るわけです。
自由に使える純利益を具体的にイメージしよう
じゃあ、自分が自由にできる利益を、どうやって具体化するイメージを持てば良いのか?これについても考えてみましょう。
私が最初に面談する時、社長として利益が幾ら欲しいのかっていうことを聞くと、大体は「1千万円くらい純利益欲しいよね。」って答える方が多いです。
1千万円くらい経営者として純利益が欲しいってなると、あとは逆算すれば良いだけなんですよ。
20%、0.2を粗利から割り戻してあげるんです。
つまり、その会社の粗利益が5千万円あれば、経営者の利益を大体2割残すことって、実務としてはそれほど難しいことではありません。
「粗利が5千万円あれば、純利益は20%くらいと計算して、経営者の自由にしてよい利益が1千万円残りますよ」って考えれば良いんです。
こういうふうに伝えますと、「えっ!じゃあさ、粗利益が1億の会社だったら、これって経営者としての利益が2千万円出るの?」って、皆さん言われるんですよ。
その通りなんです!
今、社長として利益が2千万円くらいある人たちは、結局のところ粗利が1億円くらいはあるんですよ。
だから、
- 1千万円の自由に使える利益が欲しい→粗利を5,000万円稼ぐ
- 2千万円の自由に使える利益が欲しい→粗利を1億円稼ぐ
- 1億円の自由に使える利益が欲しい→粗利を5億円稼ぐ
みたいに、シンプルに考えれて、幾ら稼ぎたいのか考えれば良いわけです。
ザックリ予算組み。バックミラー経営は必要無し。
あとは、よく「会計事務所を変えれば経営が変わる!」みたいに言われますけれど、私達は一切関係無いと思っています。
実は、会計事務所がやる税金計算のための後追い決算(決算ていうのは全部後追いなんですけれども)、月次の決算とか、私達は全く興味が無いんです。
月次で数字を追って行っても、正直言うと経営が上手くいくとか一切無くて、利益が増えるっていうことも無いです。
ですから、実際にもっとやるべきこと、力を入れるべきことっていうのは、最初に勝てる作戦を立てることなんですよ。
最初の作戦考案時に、売り上げが幾らだったら粗利益がいくら、そして粗利益の分配もちゃんと作戦通りにやれば、確実に利益はいくら出る。って考えることに凄い力を入れるんです。
やるべきはこっちです。全て、予算組みで決まるんですよ。
予算組みで適当に分配して、本当にテキトーで良いんですから、「大体こんな感じでやれば、こんな感じで儲けるはずだ!」、って感じで予算を組んじゃうんです。
会計事務所が出す実際の月次決算を見なくても、経営は簡単に出来るっていうね。(笑)
これを言うと、会計事務所側の身としては都合が悪いんですけれども、儲かる商売をやり始めると、細かい実額は一切不要なんだ!って覚えておいてください。
予算組みをする時は3つの数字だけ見れば大丈夫!
それで、実務レベルで行くと、予算組みをする際は“3つの数字”だけを見ます。
1つ目に見るものとして、いつも私が教えているのは、粗利益の源泉である「売上」ですね。これは必ず見ますね。
それから、2つ目に見るのが、「現金預金」です。借入金を返済しながらも、確実に増えていくパターンになっているかチェックします。
最後、3つ目に見るのは消費税です。
これは確実に増えていかないとまずい。というのも、実は消費税が結構大きいんですね。
「うちは消費税まだ年に1回しか払わなくて良いから〜」って言ってたらね、後でいざ消費税払うときは大変なんですよ!
「あれ?金無いよ?!」みたいな感じになるんですから(笑)
会社の規模が大きくなっていくと、消費税の支払いもだんだん細かくなって行くんですけれどね。
消費税なんかも、“大体 これくらい“ みたいな感じで、全部概算で良いんです。
人件費は、実際に払っているお給料と、あとは会社負担の社会保険料とか加えると、だいたい粗利益の50%くらいで、ザックリと把握できます。
ちなみに、今のサービス業で人件費が50%っていうのは、かなり経営が上手いです。
なおかつ、自分のところに利益を20%残すとしたら、粗利がザックリ1億としたら、人件費50%+利益20%=70%ですから7,000万円ですね。
そして税が8%ですから560万円、これを年間払っていくと、こうやってザックリ計算をしていきます。
まずは一人あたりの粗利1千万円を目指そう!
それから、中小企業のいつも弱い部分である、広告・採用・教育、これがだんだんクリアされてくると、従業員1人当たりの年間の粗利益を大体1千万円くらいまでもっていけます。
この1人あたり粗利1千万円をクリアできるようになることを、1つの基準として計画組みの時に考えなければいけません。
1人当たりの年間粗利益を1千万円出せるところまで来ると、会社が潰れにくくなります。
まず潰れないですよ。ここまでもっていくと。
これがクリアできるようになると、
- 大企業並みに1人当たりの粗利益を増やしていく
- 粗利益は1千万円のままで人を増やして横に広がっていく
っていう選択肢を選べるようになります。
これ、正解がどちらかっていうのが無いので、経営者は最後にみんな悩むんです。
1人当たり2千万円を目指して行くか、それとも1人あたりは1千万円のままで従業員の数を増やして行くのか、み〜んな悩みます。
例えば、付加価値を上げて人数を増やさず、1人当たりの粗利益を沢山増やそうという考えだったらどうでしょう?
これね〜、1,000と2,000って、数字で書くと大した事は無いんですけれど、「倍」ってことですよ。
つまり、1,000を2,000にもっていくためには、作戦を全部変えなければならない。
これまで「広告・採用・教育」を頑張ってきて、1人当たり1千万円をちゃんと達成できた!と。
ところが、これを2千万円にするには、このやり方の延長ではいけないので、今までのやり方をガラッと変えなければいけない。
この1千万円を2千万円にもっていくってなったとき、この時が楽しいんですよ〜!全部変えるぞ!!って。
この「変える楽しみがある」っていうのが、儲かる会社になる過程であるんです。
1人2千万円稼げるようになったら、本当に!ここで初めて!「儲かる会社」を実感出来ると思います。
「儲かったーーー!」って。
こうやって、儲かる会社の実務というのは実額を使わずに、ほとんどが作戦とか予算なんかでやっていくものだ、ということを知っておくだけで大分変わってきますから、皆さんもぜひ参考にしてみてください。