倒産した格安旅行会社の「てるみくらぶ」の話題が連日報道されています。同社が倒産した主要因は薄利多売のビジネスモデルにあります。とはいえ中小企業の多くは同じように薄利多売で苦しんでいます。もしも貴方が100%株主で関連会社も無いなら、やるべきことはただ1つ。すぐにそのビジネスから手を引くことです。島倉さんの解説です。
薄利多売のビジネスモデルは経営者の心を蝕む
先日、倒産した格安旅行会社の「てるみくらぶ」の話題が連日報道されています。
最近の報道では、倒産前の3年間に渡る意図的な粉飾決算など、ずさんな経営実態も赤裸々になりました。
結論から言えば、安いことだけを売りにしてる企業は、大体が同じような状態に陥って粉飾を繰り返すことになり、金融機関はもちろん、最終的に従業員や顧客を騙すことになってしまいます。
顧客を増やすため、仕事をつなぐために、最初は良かれと思って始めた、安く仕入れたものを薄利で提供するビジネスモデルは、やがて経営者の心さえ蝕んでいきます。
小さな会社にとって薄利多売は禁断の行為
では、なぜ小さな会社にとって安売りは禁断の行為なのでしょうか?
その理由は単純です。
仕入れたもの全てが売れ続けなければ、このビジネスモデルでは利益が出ない構造になっているからです。
つまり、
- 安く仕入れる
- 全部売り切る
これら2つのいずれかの条件を欠いた時点で、このビジネスモデルは遅かれ早かれ終わりを迎えることになります。
ところが、てるみくらぶくらいの企業規模になると、ビジネスの見通しが立たなくなったからといって、簡単に方向性を変えることは不可能です。
株主や関連会社の意向もあるので、簡単に方向性を変えることなど出来ません。
その有様は存亡を脅かす氷山を目の前にしても、これを回避できなかったタイタニック号のようなものです。
薄利多売のビジネスモデルにはまった経営者へ伝えたいこと
では、あなたのビジネスで同じようなことが起きたら、あなたはこれに対してどう対応しますか?
売上が急激に落ち込み、利益が薄いためキャッシュフローが急速に悪化し、先行きの見通しがまったく立たない。
同業他社の追い上げが激しく、当初見込んでいた数字を達成することが不可能となり、商品を売り切れない。
薄利多売のビジネスモデルに陥った人にとって、これらの状況が起こっている時、やるべきことは明快です。
もしもあなたが100パーセントの株主で、かつ、関連会社のしがらみが無い状態ならば、迷わずにそのビジネスを捨ててください。
事業への思い入れ、これだけお金をつぎ込んできたという気持ちもわかりますが、それらは判断を狂わせる原因でしかありません。
もしも自分1人の株主であり、代表であるならば、上手くいかない事業は迷わずに捨てること、これが正解です。
利益の出ない事業の延命は絶対に止めるべき
このような状況になっても、延命を望む経営者は一定多数いますが、利益の出ない事業における延命は絶対にやってはいけないことです。
そんなことを言ったら、私のようなコンサルタントは存在価値がなくなるのでは?と感じる方もいるかもしれません。
しかし、コンサルタントも神様ではなく、ぶっちゃけた話、どれだけ知恵を絞っても成らぬものは成らぬのが現実です。
だから、薄利多売で上手くいっていない1人社長さんには、「その事業(ビジネスモデル)、今すぐやめませんか?」と必ず提案することにしています。
上手くいかない事業を続けることは、パチンコですでに数千万円の損をしているのに、手持ち資金1万円で損を取り返そうとしているのと変わらない行為だからです。
それを、お金がもらえるからと言って、コンサルタントとして応援するのは(しているように見せかけるのは)最悪の行為です。
そんなことをするのなら、今の事業に早く見切りを付け、資金を温存したうえで、次のビジネスの立ち上げを行い、早く結果を出した方が良い。
ビジネスは、あくまでもあなたが幸せになるための手段であり目的ではない、ということを再確認しておいてください。