夏休みの宿題って、なぜか休み終了直前になるまで、本腰を入れられなかった記憶はありませんか?社長もたとえ赤字会社を経営し、解決すべき問題があっても、会社が潰れそうになるまで、本気で自分を変えようと思ったり、死に物狂いで仕事をやるようになりません。しかし、この時が本当に会社を変えるタイミングでもあります。キミアキ先生の解説です。
社長が本当に変わる時、それは潰れそうになってから
今日は、社長が本当に変わるとき、死に物狂いのスイッチが入るとき、それは潰れそうになってから…という、あんまり縁起の良い話では無いんですが、そういうお話をしようと思います。
私どもあおば会計が開業してから15年が経ち、16年目に突入しました。
開業当初はお客様が凄く少なかったんですけれど、その中の1社がちょっと業績が悪くてですね、我々も当時あまり経験がなかったものですから、先輩に教えを請いに行ったことがあります。
その先輩は、コンサルタント会社のタナベ経営でコーチングの訓練をきちんと受けた税理士の先生で、当時でお客様を100社くらい抱えてらっしゃいました。
先輩のところへ、私とそれから妻のたなかあさよ税理士とお伺いして、「今お客様の1社が業績が悪い、自分たちの考えでは仕入れのポイントをあと3ポイントか4ポイント改良するれば、なんとか生き残れるんじゃないかと思ってる」というお話をしました。
そうしましたら、この先輩が、「うぅぅぅ〜ん田中さんたちの気持ちもわかるんだけどね、 実際は社長がドン底に落ちないと、あなた達のアドバイスは聞かないよ。」と言うんですね。
これが先輩に請うた教えでして、それから15年間ずっと我々は実践しています。
もう途中で、何かアドバイスをしても意味が無いんですよ。
ですから、先輩の教え通り、社長自身がドン底に落ちて「もうどうしようもない」「もう首くくるしかない」そうなって初めて、社長自身が変わるチャンスが来る。
我々は今もそう思っています。
ドン底に落ちるとアル中・うつ・失踪は当たり前
ドン底に落ちた時。
まず金が無くてドン底に落ちるわけですけれども、銀行はその時にはもう金貸しませんからね。
実際、銀行が黒字企業にしかお金を貸さないっていうのは、昔からそうですからね。
今もそうですし、これからもそうでしょう。
でも、ここがドン底のスタートラインですよ。
誰も助けてくれないです。もうこのような状態になって初めて変われると。
その時に、アル中・うつ・社長がどっか行っちゃう失踪、こんなの当たり前です。
我々は実務をやっています。今だとお客様は法人さんだけで100社有りますけれど、これが日常的に目にする当たり前の現実ですよ。
これが倒産の現場なんです。
もう自分の会社がダメになる!月末の支払いが出来ない!もぅどうしようもない!!誰も金も貸してくれない!!
もう、アル中・うつ・失踪、こんなの当たり前です。
ドン底に陥って初めて経営理念や経営計画を本気で考え出す
そこで社長が本気になって、何をし出すかというと、「俺なんのために会社を始めたんだろう…」と、こんな時になって経営理念とかを考え出します。
「俺は社会貢献のこととか考えずにやったからこうなったのかな…」とか。
「俺、経営計画書なんてクソ食らえなんて思ってた…」とかね。
でも経営計画書が無いと、銀行は相手にもしてくれませんからね。これがきっちり出来ていたら、まだ赤字であっても銀行が金を貸してくれる ”かも” しれません。
過去に我々のお客様で、この経営計画書でなんとかその危機をしのいだことがあります。
今?そのお客様のところはですね、かなり儲かってますよ〜(笑)
あの時の経営危機は一体なんだったんだろう〜?!って思うくらい儲かってます!でも本当にね、あの時は社長が首くくるんじゃないかって思うくらいでした。
やっぱり、本気で、本気で死ぬかどうかってなったときになると、経営理念とか経営計画書とかを本気でやり出すんですね。
ドン底で経営計画書を作ったら従業員に見せてしまおう
特に、この経営計画書を作ることによって、従業員に対してどういうことが出来るかっていうと、「うちの会社が潰れるかもしれない、というかほとんどもう潰れている」っていう、『倒産危機の共有』が出来ます。
これを共有をしたときに、じゃあどうなるか?っていうと、従業員の中にはやっぱり逃げ出す人もいるんです。
残る人だって、義理があって残るんではなくて、行くところが無くて仕方なく残る場合だってあると思います。
だけれど、大抵この手で行き詰まる会社っていうのは、それまで従業員に業績を公開していないんですね。
だから、初めて経営計画書を作って見せた時に、従業員の離反が起こるのは、こればっかりは仕方がない話で、やりきらないといけません。
ですから、経営計画書を作ったら従業員にも渡して、「うち今こういう状態なんだから」ってやっちゃいましょう。
潰れるかどうかっていう時なんですからね。
ドン底で初めて回すPDCAサイクルと月次決算の確認
そして結局、社長が変わった場合に何をやるようになるかと言ったら、経営計画書を作って、それからPDCAサイクル回して、月次決算をして、PDCAサイクルがちゃんと回っているか、経営計画書通りに行っているかどうかを確認するようになります。
不思議ですよね。
こ〜んなこと、まともな会社なら、み〜〜〜んなやっているでしょう!(爆)って。
ところが、赤字経営者の殆どは、会社がこれくらいやばくならないと、絶対に当たり前のことをやらないんです。
今でも、我々あおば会計は、経営計画書を無理やり作らせることをしません。
希望者の方だけには補助しますけれど、無理強いしません。
経営が上手く行っている時って、経営計画書も実際は要らないですからね。
PDCAサイクルも、実際に8〜9割の会社さんが、月1改善(月に1個の改善を継続する)これすら出来ません。
そして、月次決算においても経営計画が無いから、決して満足のいける範囲まで検証していません。
PDCAサイクルが無いんだから、決算して確認することなんて無い。これが中小零細企業の現実です。
そして、「もうやばい、首くくるしかない」っていう段階になってから、経営計画書・PDCAサイクル・月次決済っていうものをやり出す…
これが現実です。
赤字でもドン底にならないと社長は変わらない
じゃあ最初からやれよッ!って思われたでしょう?
これは我々も、最初はこういうことを口酸っぱく言っていた頃もあったんですけれど、実際やれません。
我々が、先輩の税理士先生からもらったアドバイス通りやっているのも、こういうことをなかなかできないからなんです。
ですが、やりたい!っていう方からは、もちろん仕事として受けているんです。
ですから色々事情があって自分を変えていかなくてはいけない、自分の会社を変えていかなくてはいけない!と思われた方は、ぜひ今から始めましょう。