日本は成熟社会へと移行しており、これに伴い世代交代が各所で起こっています。時は戦国時代、真田幸村の父であり、名将の呼び声高い真田昌幸は、抜群に頭がキレたにも関わらず、旧勢力の側に付く致命的なミスを繰り返しました。今の時代を生き抜くためには、時代の流れを読み、旧勢力と新勢力を明確に見極め、新勢力に付く能力が求められます。
成熟社会・人口減少社会で世代交代がリアルに
ここ最近、世代交代が起こっていく風景を仕事上でよく見ます。
そういうのを見ていると、我々も生き残って行かなくてはいけない、って感じるわけですね。
特に日本は、成長社会から成熟社会になりました。
私もセミナー講師をやる機会が多いのですが、実は1番最初に成熟社会のセミナーをやったのは、もう十数年前なんですね。
その頃から「これから成熟社会になって行く!」「人口は減少していく!」というお題を与えられましてね。
その中でどうやって生き残っていくか!?って言ったって、当時は全く実感が湧かなかったんです。
ところが、今は同じような形でセミナーをすれば、中小企業の社長さん方も結構来てくれるネタになったわけでございます。
歴史は常に新勢力が旧勢力を倒す構図で成立
会計事務所だと、世代交代を感じるのは相続が起こる時です。
人が亡くなって、下の世代が、親御さんが持っていた賃貸用のアパートやマンションを相続することによって、不動産賃貸業を自分が始めると。
しかし、今は相続がかなり遅いわけで、引き継ぐ側が不動産賃貸業を始めるのが60代とか、本当にザラなんですよ。
東京は不動産賃貸の街なので、人が亡くなったら、必ず誰かが引き継ぐわけなんですけれども、「60歳過ぎてから、引き継ぐことになったよ」ってなります。
ですから、世代交代が起こったとしても、旧世代から旧世代に移る感じでなんですね。
ところが、歴史上の勢力図では、必ず旧勢力を新勢力が倒していくっていう構図が、いつの時代も成り立っているわけです。
今話題なところで分かりやすく例えて言うと、NHKの大河ドラマ『真田丸』なんかもそうです。
ドラマの主人公である真田幸村は、最期は徳川の本陣に突撃をして亡くなる「日の本一の強者」といわれた人なんですが、その親父は真田昌幸です。
この人が凄まじく頭がキレる人で、謀略の限りを尽くすっていう感じで、頭は抜群にキレるんです。
けれども、昌幸には致命的な欠点があります。
彼には大局が見えていないんですよ。それで、常に旧勢力側についてしまいます。
武田、上杉、豊臣と。
要するに、真田昌幸は負けてばっかりなんです。
結局は流刑で、九度山というところに流されて生涯を閉じます。
旧勢力側につく、この考え方なんですよね。
そこが歴史の面白いところで、結局のところは、大局が見えなかった人だったんだなって、そういう結論にならざるを得ないわけです。
昭和に出来た組織は新旧どちらか?答えは明白
このように、歴史の節目節目は、必ず新勢力側が旧勢力側を倒しているんですね。
じゃあ、我々はどっち側の味方につくのか。って話になるんです。
そうなると、歴史上の流れを考えている人は、常に新勢力側についていこうとするわけです。
「そうしたほうが良いって、色んな歴史が証明しているよな〜。」って話なんですね。
そう考えると、日本で昭和に出来た組織は新か旧か、皆さんもよくおわかりになりますよね。
絶対”旧”勢力ですよ。というか今って、もう平成28年ですからね(笑)
ですから正直言うと、昭和に出来た組織なんてあまり怖くないですよ。
確かに組織としては大きいですけれども、あまり怖い組織では無い。
我々の世代でも「自分が戦国時代に生まれていれば本当に1戦交えたかった!」みたいなことを言う人っています。
自分の軍勢を持ってみたかったなぁ〜って。
旧世代の代表格:製造・建設工事の下請業界
そんなことで、今の日本は十分に戦国時代だと思うわけですよ。
というのもですね、昭和に出来た組織の人達、つまり旧勢力側が先に死ぬだけなんです。
旧勢力から新勢力に移って行くっていうのは、別に新勢力側に凄まじい能力があったわけではなくて、旧勢力がただ先に死ぬだけなんです。
例に上げてみると、製造・建設工事って業種なんかが、大手以外はあまり景気良くない感じだったりしますけれども、これらの業種っていわゆる昭和の象徴だったんですね。
中小企業の場合は、製造や建設工事の下請けが非常に多くて、ある程度の規模がある中小企業でも下請けをやっていますよね。
基本的には、この下請け業界というのは、上から降りてきた仕事以外のものはやらないんです。
つまり、上から仕事が降りてこなくなったら…アガったりです。
これじゃ困るんで、どうしたかって言ったら、金融円滑化法という法律を繰り出して、国が助けたんですよ。
とりあえず元金は払わなくて良い、利息だけで良いよ、ってやったんですね。
尚且つ、金融円滑化法が終了した後も、実は今でも続けているのはナゼ〜っていうのは、旧勢力側を生かしておかなくてはいけないんですね。
なぜなら、旧勢力側っていうのは選挙に行くんですよ。選挙に行くから生かしてもらっている、という業界なんです。
ベンチャー業界の資金調達も新旧で考えが違う
今はベンチャー業界も変わろうとしています。
ベンチャー企業はベンチャーキャピタル等から資金調達を経て、資金調達を経た後は株式上場の方に行こうゼ〜!みたいな流れがあったんです。
ところが、ここ1年くらいで考えが変わってきているっていう人たちがいて、その人たちはみんな新勢力側なんですよ。
「資金調達>>株式上場」の流れを行っている限りは、旧勢力側を生き延びさせるだけなんじゃないかっていう考え方です。
これは明治維新の時も同じようなことがありました。
幕藩体制を守って、この流れでまつりごとをやっている限り、徳川幕府なんか倒せない!と。
ですから、同じように資金を調達するにせよ、新勢力側で今の体制をぶっ潰そうとした人材のいる、長州とか薩摩とか、土佐藩とか、そういう所から資金調達をしたんですね。
時代は変わって、平成の世の話です。
資金調達の今の考え方は、「あくまで個人から、エンジェル投資家から資金調達をする。」というあり方を認める潮流が生まれ始めています。
そっちの流れの方が良いんではないか?という話もあるんですね。
このエンジェル投資家とかいう人たちは、良いことにお金を使ってさえくれれば良くて、株式上場は別に結果としてそうなったのなら良いけれど、求めてないんですよ。
金儲けじゃないからね。
そういう良質な資金を使っていこうっていう流れがあります。
新しい時代の流れを作っているのはバカにされている世代の人々
じゃあ、新しい時代の流れを作っている新勢力って誰のこと?って考えてみると、答えは簡単です。
流れを作っている主役は、結局その世代交代でいう若い世代、みなさんが馬鹿にしているような”ゆとり世代”であったり”さとり世代”であったり、そういう世代の人たちが新しい資金調達、新しいお金の使い方を考えているんです。
こういう形で、世代交代が日本で起こっています。
特に東京というのは、新しいことがどんどん生まれていく街ですから。
ぜひ、新しい流れを読み取る新勢力側に立って、この戦国時代とも幕末とも似通った世の中で、生き残りのチャレンジを始めるのはいかがでしょうか。