繁盛しているお店や時流に乗っている会社が陥りやすい罠があります。その罠とは、既存の顧客との取引に入れ込んでしまい、新規顧客開拓を怠りがちになることです。リピーターを大切にすることは当たり前ですが、それ以上に新規顧客が増えなければ、どんなに良い会社も最後は潰れてしまいます。
ある焼き鳥居酒屋を買って立て直した昔のお話
ある繁盛店がお店をひっそりと閉めることが決まりました。
会社をやめたら、もう倒産ですよね。
なんで倒産するかっていったら、当たり前なんですけれども、業績が悪くなったからです。
それでこのお店は11年前に私が買って、経営を立て直した店でして、どういう店だったかと言いますと、12坪で20席のチェーン焼き鳥居酒屋です。
300店舗のフランチャイズがあって、フランチャイジーの1件を買い取って、やらせて頂いたと。
どういう場所にあるかと言いますと、私鉄線の商店街で人通りの1番少ない商店街で、この商店街は今、商店街として機能してません。
ちなみに、買った11年前もほとんど機能していなかったような商店街でした。
一応は私鉄の駅から歩いて4分位のところにあって、フランチャイジーのフランチャイズ店だったものですから、スーパーバイザーがついていました。
「この店だったら1日7万円は売れるな」という感じのアドバイスを受けていまして、まぁそういう店を買わせて頂いた、と。
焼き鳥居酒屋を買った経緯と繁盛に導いた要因
このお店を買った理由なんですけども、前のお店の持ち主が、凄く良い人だったんですね。
というのも、船井総研の超一流のコンサルタントです。
船井幸雄さんの本にも度々名前は出てきていましたし、昔、船井総研ってFAXニュースみたいなの流していたんですけれども、そこの編集長であり、取締役までやられた三上 元(みかみ はじめ)さんという方が前の持ち主さんだったんです。
その方が経営していたんですね。
三上 元さんね、静岡の湖西市の市長選に出て、当選しちゃったんです。
今3期目やられてますけど(2016年現在)。
そんなお方が持っていたお店だったんですが、それでいて、赤字を垂れ流してたんですよ…
ですから、あの船井総研の三上 元が立て直せなかったお店を、名も無い駆け出しコンサルタント!のタナカという奴が立て直したら…
大金星になるじゃないですかっ!
と、いうことで、買わせて頂いたんです。そして経営革新をしたと。
どういう経営革新を行ったかというと、だいたい月20万円の赤字があったのを、4ヶ月後には単月黒字にしました。
それから丸2年は確実に儲け続けたので、24ヶ月間は間違えなく前年同月比2ケタ増だったんです。
10%以上の増加がずぅーーーーっと続いたの。ずーーーっと。
それくらいになったんですよ。
それで、買い取った時はアルバイトの方がね、全部で12人いたんですよ。何故か人が多かったんだよね(笑)
私は一切クビにするつもりは無かったんですけれども、怒涛の快進撃を続けていくうちに、どうもどんどん抜けて行ってですね。
2年後に残ったのはたった4人だけでした。
その時は給料も良くて、末端のアルバイトで25、6万も給料払えるお店になってました。
その後、私の持っていた株の60%を渡して、実際の経営権も移してしまったわけなんですけども。
繁盛したはずの居酒屋が結局駄目になった理由
あれから、んー…まぁハッキリ言わしてもらうと、あんまりねぇ、調子は良くなさそうには見えたんですけども、私は他にもお店は持っているし、「経営の方は全部好きにやって下さい」という感じで接していました。
そこから更に長い年月を経て、多分ですけれど、きっとまた赤字の垂れ流しに戻ってるんですよ。
多分、月20万くらいの赤字出してるんだろうなと。
そして耐えられなくなり、店を閉じることになった。事実上の倒産です。
なぜこんなことになったのか?
私、いつも思うんですけれど、どの会社もお店も、結局新規を取らなくなったり、取れなくなると駄目なんですよね。
既存客だけで良いんだ!リピーターだけで良いんだ!
既存客を大切にする事によってクチコミで、自分が広告とか打たなくてもクチコミで色々広がって、そういう人達がお客様を連れてきてくれたり紹介してくれるんだ
こういう淡い幻想の中で、いつしか皆潰れて行くわけです。
開業当初をホンットに思い出していただきたいんですけど、そんな風にお店をやってないですよ。
本気でやってますよ。
まずは自分の事を知ってもらって、そして1件1件と取引先を増やしていく。
あるいは1人1人お客様を増やしていく時に、言い方悪いですが、そんな体たらくなことをやってないですよ!
ところが、やっぱり長く経営してたりなんかすると、だんだんラクをしちゃうんですね。
楽をしてしまって、よその会社さん、よそのお店さんが辿った道「新規を取らなくなって、既存だけで良いんだ」って考えるようになってしまう。
焼き鳥屋の話に戻りますけれど、店を一旦リニューアルして、数カ月後にまた違う形態で開店する、そしたら上手くいくようなことを言ってます。
そういう話が出てるんです。
でもね、やっぱり落ち目になったのにそんな考え方してたら、それで終わりです。
だからもう、下手にやらない方が良いんじゃぁないかな…と思いつつも、私がもう1回買い取って…んん〜立て直し出来ないかな…とかね、ちょっと考えたりもしたんですよ。
会社やお店が潰れる時はいつも同じ型に嵌まる
今、店を潰した社長はめちゃくちゃ落ち込んでるはずなんですよ。心の状態が「ドーン」ね。
赤字企業の社長っていうのは、もちろん心の状態がボロボロですし、店長クラスでも「自分のせいで ここまでなってしまった…」と落ち込む。
創業メンバーなんでね、今の店長は。会社の副社長だし。
彼はね、すごく自分を責める系なんですね。
責める系で、そして泣き虫なんですよ…彼を残したままどうにか経営革新が出来れば良いんだけれどもなぁと思いつつも…
でも社長が、もう店を閉じるって決めてしまいましたので、やっぱり口出しは出来ない。
口出しするんだったら、店を買い取るしか無いっていうのは考えています。
今日ちょっと店に行って、直感的に「この店を立て直しが出来るか!」っていうのを見てくるんですけれども。
本当にどんな会社も、それからどんなお店も、なんかもうパターンが決まっていて、型に嵌まったように潰れていくんです。
実際にそういうことが身近で起こりましたので、みなさんにお伝えしておきますね。