5月26日にコメダ珈琲が東京証券取引所に株式上場を承認され、ついに上場を果たすようです。1968年の創業から50年が経過した今、なぜコメダ珈琲は上場に踏み切るのでしょうか?上場するメリットとデメリットを踏まえ、コメダ珈琲が上場を目指した理由を解説いたします。
創業50年の今、コメダ珈琲はなぜ上場する?
5月26日にコメダ珈琲が東京証券取引所に株式上場を承認され、ついに上場を果たすようです。
一昨年に投資ファンドへ買収された経緯もあるのですが、創業から半世紀が経って安定した増収増益が進む今、なぜこのタイミングでコメダ珈琲は上場しようとしているのでしょうか?
そもそも株式上場とは、企業が自社の株式を市場(証券取引所)において自由に売買できるようにすることをいい、株式公開やIPOなどとも呼ばれます。
コメダ珈琲がなぜ上場を決めたのか?株式を上場することのメリット・デメリットを比較しながら、考えてみたいと思います。
上場することで生じる3つのメリットとは?
1)返済義務のない資金調達が可能になる
新規事業の開拓や店舗の出店など、事業を拡大しようとすると、かなりの資金が必要となります。
金融機関等からの借入では利払いが発生しますし、元本の返済義務もあります。
返済義務のない資本金として調達しようとする場合でも、未公開の会社では既存株主に出資をお願いするか、新たな株主を見つけてこなくてはなりません。
もし株式を公開していれば、株式市場から機動的な資金調達が可能となりますし、世間一般に広く募るため、調達額も大きくすることができます。
2)知名度の向上による採用の円滑化が進む
株式を上場しているとなると、その企業の知名度は確実に向上します。
そのため宣伝効果が期待できるだけでなく、信用度が増して取引関係も有利に進められたり、人材を募集する際もより多く、多様な個性を持った人を集めやすくなります。
3)社内の体制強化が進められる
そもそも株式上場するには、社内の組織や管理体制を整える必要があり、上場する時点で社内の体制は、かなりしっかりとしたものになっています。
また上場するとなれば従業員の意識も向上し、福利厚生としてストックオプションなどを導入すれば、さらにモチベーションも上がるでしょう。
経営者にとっても自己の持つ自社株が市場で資金化できるようになるため、個人的に金銭的なメリットを享受できます。
上場することで生じる2つのデメリットとは?
上場には先述の通り、様々なメリットが考えられますが、同時にデメリットがあることにも注意しなくてはなりません。
1)上場準備と上場維持にかかるコストが増大する
上場による最大のデメリットはコストです。上場準備のためには莫大なコストがかかります。
金銭的なコストはもちろんのこと、時間的なコスト、精神的なコスト、あらゆる面で負担が増えます。
これは上場した後も、上場維持のためのコストとして引き継がれていきます。
最近ではSNSでの炎上騒動など、新たな問題に対処することも必要になってきているため、今まで考えてもいなかったような負担が生じることも考えなければなりません。
2)外部からのプレッシャーによる経営リスクが生じやすい
株式を公開することで、第三者がいつでも自由に株主になれるため、会社にとって好ましくない人物・企業が、株主として会社経営に口を出してくるリスクが発生してしまいます。
また敵対企業やファンド会社などから、買収を仕掛けられる危険性も出てきます。
さらには株主から短期的な利益確保のプレッシャーが強いため、目先の利益にとらわれて長期的な経営戦略が描きにくくなるということも考えられます。
最近ではデメリットがメリットを上回ると判断して、あえて自ら上場を廃止するような企業も増えています。
コメダ珈琲が上場で得ようとしているメリット
以上により、コメダ珈琲が上場しようとしている目的は、資金調達のメリットと、既存株主(ステークホルダー)への投資に対する還元を踏まえたものである、と推測されます。
というのも、コメダ珈琲は中部地方で長期間展開してきましたが、90年代にはフランチャイズ展開を本格化し、店舗数を増やしてきました。
2000年代以降は、関東や関西へも出店攻勢を強め、現在の700店舗弱から、2020年度末までには1000店舗へと1年に100店舗ずつ出店しようとしています。
この出店攻勢を強めるためには、多額の資金調達が必要ですが、コメダ珈琲は今回の上場により860億円あまりを資金調達しようとしています。
更に、2013年には投資ファンド・MBKパートナーズの傘下に入っていることから、これら既存株主への投資還元も目的の一つとなっていることでしょう。
本記事の読者様の中にも、上場を目指している方がいらっしゃるかもしれませんが、メリット・デメリットをよく踏まえ、ご検討いただければと思います。
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