M&A(エムアンドエー)とは、「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」という英語の略です。
M&Aの手法としては、吸収合併・吸収分割・事業譲渡等があります。本稿では、吸収合併・吸収分割・事業譲渡が、それぞれどんなM&Aの方法なのか、基本的な知識をご紹介したいと思います。
中小企業にもグッと身近になったM&Aとは?
M&A(エムアンドエー)とは、「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」という英語の略です。
M&Aの手法としては、吸収合併・吸収分割・事業譲渡等があります。
事業承継などのニーズが高まっている中小企業でも、最近これらのM&A手法がよく用いられるようになってきました。
そこで本稿では、吸収合併・吸収分割・事業譲渡が、それぞれどんな方法なのか、まとめてみます。
吸収合併・吸収分割・事業譲渡3つの違いとは?
- 吸収合併
- 吸収分割
- 事業譲渡
1) 吸収合併
合併とは、2つ以上の会社が1つの会社になる組織再編行為で、合併前のそれぞれの企業が消滅します。
1つの会社が存続して他の会社を吸収する場合(吸収合併)と、新会社が設立される場合(新設合併)があります。
最近だと、損保ジャパンと日本興亜損保の合併において、新設会社『損保ジャパン日本興亜ホールディングス』の名前が長いと話題となりましたね。
しかし、消滅する会社と取引先との関係や、合理化を図ろうとしたにも関わらず、包括承継ゆえに不採算部門が残る形になりやすいなど、慎重な考慮が必要です。
2) 吸収分割
吸収分割とは、会社の事業の全部または一部を他の会社に包括的に承継させる、組織再編行為である「会社分割」の一種です。
会社分割には、権利義務を既存の会社に引き継がせる場合(吸収分割)と、新しく設立する会社に引き継がせる場合(新設分割)があります。
直近の例だと、ローソンを承継会社として、スリーエフのコンビニ事業承継が上げられます。
承継会社にとっては、承継後に隠れた債務が見つからないか?慎重な調査を踏まえた承継手続きを踏まえる必要があります。
3) 事業譲渡
事業譲渡とは、売り手が有する資産および負債の全部または一部を、買い手に譲渡する方法です。
直近の例だと、服飾大手ユナイテッドアローズが、クロムハーツ(ブランド)事業を、クロムハーツ創始者の資産管理会社へ事業譲渡したことが、話題となっています。
事業譲渡は、事業部単位やお店単位での事業譲渡が可能ですし、家族経営企業や一人代表の企業であれば、迅速に会社ごと引き渡すことが可能です。
ただし、株主総会の特別決議(3分の2以上の賛成)を得なければ実行はできません。
また、従業員のコンセンサスが得られなければ、相手先に中途半端な形で会社や事業を引き渡す形となってしまうため、大企業間では、やりにくいM&A手法と言われています。
吸収合併・吸収分割・事業譲渡の違いを理解しておこう
今後、中小企業にとって一番身近となるのは、事業譲渡の分野だと言われています。
ただし、
- 事業譲渡の手段や手続きに対する事前の知識がない
- 信頼できる専門家や相談相手とコネクションがない
- 自社の客観的な評価基準が算定できない
など、悩みを抱えたまま、今一歩の足が出ない経営者が多いのも現状です。
総務省がまとめた2014年の個人企業経済調査では、なんと製造業で82.3%にのぼる企業に「後継者がいない」ことが判明しています。
全体でも50%前後の企業で、後継者が不在だと回答されており、M&Aに対する中小企業経営者の啓蒙が、今後はますます必要とされるでしょう。
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