役所に提出する書類や契約書などでシャチハタを使おうとすると、「シャチハタではダメ!」と言われる場面がよくあります。なぜ大事な書類への押印をする時は、シャチハタの使用が好ましくないのか?意外と知らないその理由をご説明します。
シャチハタの正式名称を皆さんご存じですか?
俗に「シャチハタ」と呼ばれる印鑑、よく仕事の現場では重宝されますよね。
実は、シャチハタと言うのは、印鑑メーカーの会社の名前であって、シャチハタの正式な名称は、「インク浸透印」と言います。
ちなみに、シャチハタ株式会社は名古屋に本社のある会社で、こちらが作っているインク浸透印は、「Xスタンパー」と言うのが正式な商品名です。
このように会社名が商品の通称となているモノって結構あるんですよ~。(ホッチキスとかルンバとかもそうですよね)
このシャチハタの仕組みなのですが、ハンコの面がゴムで出来ていて、そこに中からインクが浸みだしていくという構造になっています。
ですから朱肉を使わなくても、浸みだしたインクによってポンポンとハンコを押すことが出来るようになっているんです。
ところが、役所に提出する書類や契約書などでシャチハタを使おうとすると、「シャチハタではダメ!」と言われる場面がよくあります。
シャチハタの利用がNGである3つの理由とは
それでは、なぜシャチハタではダメなのでしょうか?
大きく分けると3つの理由があると言われています。
理由1:ハンコのカタチが変わってしまう!
先ほども書いたように、シャチハタには「ゴムにインクが浸みだす」という特徴を持っています。
つまりハンコ面がゴムでできているため、非常に柔らかい素材でできているのです。
見た目には殆ど分からないかもしれませんが、実際に押していくと、少しづつハンコのカタチが変わってしまうんです。
軽くポンと押す時と、思いっきりギュッと押す時の違いもありますし、古くなっていけばゴムも欠けてきます。
ですから何年も保存しておく必要のある書類には、形が変わりやすいシャチハタは不向きなんです。
理由2:インクが消えてしまう!
シャチハタに使われているインクは、ゴムでも浸みだすように、浸透性が高いものが使われています。
浸透性が高いというコトは
浸透性が高い=インクの粒子が細かい=消えやすい
という性質を持っているのだそうです。
1~2年程度は大丈夫でしょうが、何年も経ってけば、どんどん印影は薄くなっていきます。
公的な文書は数年、ヘタしたら何十年も保管しておかなければなりませんので、消えやすい印鑑では困るのです。
理由3:誰でも手に入れることが出来る!
基本的にシャチハタ印は、どこに行っても手に入れることが出来ます。
100円ショップなどでも手に入れることが出来ますよね。
シャチハタで無くても認印であれば100円ショップなどで手に入りますが、基本的にこういった印鑑は規格が一緒なので、同じものがいっぱい世の中に出回っています。
悪意の第三者が、偽造書類を作ろうと思えば作れちゃうわけです。
このような理由によって、出来れば印鑑は、人によって異なるモノが望ましいので、どこでも手に入るシャチハタは敬遠されるのです。
公的な書類や契約書でシャチハタは避けよう
上記にあげた3つの理由から、
- ▼ 税務署や役所に出す申告書、申請書、届出書などの公的な書類
- ▼ 不動産契約書、借入契約書などの契約関係書類
- ▼ 議事録など保管が必要な書類
というような「長期間保管を要する書類」や「本人確認の必要がある書類」については、シャチハタを利用してはなりません。
必ず、朱肉を使って押す印鑑を使うようにしてください。
もちろん、シャチハタでは印鑑登録(印鑑証明書)することは出来ませんし、銀行印として使うこともできません。
逆にシャチハタが出番となる場面としては、
- ▼ 宅急便などの荷物の受け取りサインの代わり
- ▼ 回覧板などのサインの代わり
- ▼ 書類を確認したよというサインの代わり
といったところでしょうか。
便利で使い勝手が良いシャチハタですが、実際にはビジネスの大事な場面で使うことは避けた方が良いです。
認印を持ち歩くのであれば、朱肉を使うモノを持ち歩く方がベターです。
余談までに、領収書のハンコにシャチハタを使うお店があります。
そもそも領収書にハンコを押す義務はないので、法律的には問題ないのですが、領収書は数年間保管する必要がある書類ですので、あまり向いていません。