あおば会計コンサルティングの田中でございます。選挙には、「無名の恐怖」という体験があります。
同じように商売にも「無名の恐怖」というものがあり、その恐怖のために、間違えた広告を打ってしまう事があるということを紹介したいと思います。
政治の世界では「無名の恐怖」が候補者を襲う
選挙の落選で味わった「無名の恐怖」
私は2015年に中野区議選に立候補したことがありまして、その時に同じ町内でいつもトップ当選される自民党の議員さんから、「田中さん、選挙に出るのであれば、政治的な理念とか信念がないと票は入らない。申し訳ないけれど、あなたは200票の男だ。」と言われました。
そして、この議員さんの予想は見事に当たり、私は落選しました。
ちなみに、選挙戦は私一人でやりました。
家族も誰も手伝ってくれずに、中野区317か所に3日間かけて選挙のポスターを貼って、中野区の隅から隅まで本当に詳しくなりました。
やはり選挙のプロが言うように「200票の男」で、選挙費用30万円を没収されました。
自分もそうでしたが、商売自体はうまくいっていた2015年であっても、知名度というのはほとんどなかったわけです。
私自身Youtube のチャンネル登録者数も当時8000人から9000人(現在は8万人弱)ぐらいでしたし、選挙に出ている人たちを見ても、候補者のほとんどは知らない人で、もちろん口も聞いたことがない人でした。
例えば、現職の候補者にしても、小学校や中学校の入学式の式典で見たことはあると思っても、その人についてはほとんど知りませんでした。
政党に所属するのはフランチャイジーになることと同じ
では、議員さんで当選する人がなぜ当選するのかというと、どこかの政党の候補者になっていることが多いです。
政党は有名ですから、つまりフランチャイジーになることと同じです。
セブンイレブンやファミリーマートやローソンなどのフランチャイズに入るのと似ているわけです。
商売人も同じです。独立開業すると自分がいかに無名であるかがすごくよくわかります。これは凄く悩みます。
特に有名企業に勤めていて、その大手企業を出ると、いかに自分が作った会社が無名すぎるか悲しくなってきます。
ですから、選挙をするときに候補者の方が政党からいわゆる公認をもらうように、大手のセブンイレブンのような名前を借りて商売したくなるのもわからないわけではありません。
「無名の恐怖」から打ってしまう間違った広告
「無名の恐怖」は間違った広告を生み出す
このように、ビジネスの世界でも政治の世界と同じで「無名の恐怖」が社長を襲います。
というのも、ほとんどの方が無名なことに悩んで、そして間違った広告を結構打ってしまいます。
選挙に立候補した人と同じような間違った広告を商売人が打ってしまうことがあります。
商売人は名前を売るのではなく、存在価値を売る必要がある
商売人は、目の前のお客様にもたらす「価値」を訴えなければいけないと思います。
今、私は肋骨を折って、咳と痰がひどくて、1時間に数回仕事を止めなければならなくて大変なのですが、その咳や痰が止まるのであれば、私はお金を払います。
咳や痰が止まることによって、ある程度現役復帰ができたら、もっとたくさんのお金を稼ぐことが出来るからです。
そういう意味でも訴えるべきは、その商品サービスがもたらす「価値」であって、あなたの名前とか、会社の名前を売っていくのは、広告として間違っています。
というのも、広告の打ち方を見るときに、無名の恐怖に怯える社長は自分がつけた店の名前が売りたくて、その店がお客様にどういう価値をもたらすかが全然見えていないものにしていることが多いからです。
というわけで、商売人がただの選挙の候補者のような「名前を売る広告」を打っている限りは、その広告は全く無駄になっている可能性があります。