ミスタードーナツが差別化へ舵取り コンビニに宣戦布告!

企業分析

 ミスタードーナツが今後5年間で全国1300店のうち最大で1000店舗について、ドーナツの調理作業が見える専門店型の改装を目指すことを発表しました。いよいよミスタードーナツがドーナツ専門店として質による棲み分け・勝負をコンビニに対して明確な姿勢として表しました。大手コンビニ3社のドーナツ戦略も踏まえた上で、ミスタードーナツのソフト・ハード両面で見せる差別化戦略を解説します。

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コンビニ意識?ミスドが店舗改装に踏み切るワケ

 「ミスタードーナツ」を運営するダスキンが、先月末、店舗の大規模改装に乗り出す意向を明らかにしました。

 山村輝治社長が大阪市内で開いた決算会見では、コンビニとの競合激化への施作として、年内をめどにフランチャイズ(FC)店に店舗改装を促し、販売力を増強する考えが提示されました。

 従来の調理場を見せない店舗設計から一転、店の外からドーナツを調理している様子を見えるようにし、ドーナツを店舗で一から手作りしている専門店の強みをハードから前面に押し出していく方針と、今後5年間で全国1300店のうち最大で1000店舗の改装を目指すことも合わせて発表されました。

 専門店としてのエンターテイメント化にも関わる大きな変化だけに、業界の注目も高まっています。

 確かにコンビニとドーナツ専門店とでは利用機会も違い、既に棲み分けできているのではないか・・という専門家の声もあがっていますが、コンビニがわかりやすいキーワードとして「手軽さ」を押し出しているのに対して、ミスタードーナツはどっちつかずとも言われてきました。

 ここに来てミスタードーナツが、ドーナツ専門店として質による棲み分け・勝負を明確にしてきたことがわかります。

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コンビニ大手のドーナツ戦略・大手3社詳細分析

 先述の通り、コンビニ大手はここ数年でドーナツ市場に参入し、販売強化を進めています。そのなかでも成果も上げているのが「セブンカフェ」をはじめとするレジ横販売です。淹れたてコーヒーとの同時購入もありなかなか好調な模様です。

 もともとコンビニにおけるドーナツの「ついで買い」を提案したのは、スリーエフやデイリーヤマザキでした。その後を追って、コンビニ3強で口火を切ったのがセブン-イレブンというわけです。

 ほぼ全てのコンビニが参入したドーナツ市場で、大手3社がどのような戦略を取っているのか分析してみましょう。

セブン-イレブン

 セブン-イレブンは2014年11月にドーナツの販売を開始。100~130円という低価格かつ、工場から数時間以内に店舗に届けるオペレーションの卓越さもあって、異常な勢いで知れ渡り、新たな市場を広げました。1店舗あたり100個以上を売る大ヒットで、2015年度(2016年2月期)にはチェーン全体で4億個、その翌2016年度には6億個の販売を視野に。ドーナツ取扱店舗数で見ても、すでにミスドの国内外店舗数を上回っており、さらには全店舗にも拡大していく腹づもりだとか。

ローソン

 ローソンも追って、約8000店舗でドーナツの販売を開始。ローソンでは「Machi cafe」のメニューの一つとしてコーヒーを値下げし、さらに多い客数を呼び寄せる作戦に出ています。店内で調理するドーナツも今後販売予定とのことです。

ファミリーマート

 ファミリーマートでは、菓子パンコーナーで「袋入りのドーナツ」をブランド化し、さらに種類を増やしています。ファミリーマート商品は、後追いながら、その品質では先行者を超えようという明確な意思が感じられ、商品外装の洗練や「ミルクデニッシュ&チョコクッキードーナツ」「デニッシュドーナツ」など生地のリッチ感で差別化を図る戦略を取っています。

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コンビニ参入は専門店にとってむしろ刺激材料

 ドーナツ市場は、限られたパイを奪い合うというよりも、コンビニやその他業界大手の参戦により、日本人の食生活のなかで占めるその存在(シェア)自体を大きくしているようです。

 コンビニは小腹の足しに「ついで買い」する間食需要を「ドーナツ」で捕えることに成功し、未知のお客を開拓。対して、ミスドの優位点は店内で手作りする美味しさ。

 ネットワーク規模はコンビニには劣るものの、ドーナツ専門店だけでみると、そのネットワークは他を寄せ付けません。そのミスドが今後打つ手は、高級ドーナツのラインナップ拡充です。さらに、店内調理という強みを最大化するために、できたてドーナツも充実させていきます。

 通常であればコスト合理化のために、一度に調理する数を増やすのが定石ながら、お客の購入タイミングと調理タイミングを合わせるために、ミスドは生産するドーナッツのロット数を減らすようです。

 ここでもミスタードーナツの明確な高付加価値商品による、別セグメントでの差別化姿勢が見え隠れします。

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ダスキンミュージアムの取り組みにも注目

 先月1日には、大阪・吹田市にミュージアムをオープンさせた「ダスキン」。

 掃除の歴史や未来につながる掃除文化を提案する「おそうじ館」と、ミスタードーナツのこれまでの歩みやそのおいしさへのこだわりを紹介し、ドーナツづくりが体験できる「ミスドミュージアム」の2つを発信します。

 筆者もミスドミュージアムでドーナツづくりを体験したいと思い、オフの日に見学を試みましたが予約は満員状態・・やはり世間としてもなかなかの注目度の模様です。

 こうした取り組みはサントリーのビール工場(ビールやウイスキーが無料で試飲できる)を彷彿させますが、もともとアメリカのビジネスを輸入し日本で広めたダスキンというのはフランチャイズ業界を語る上でも欠かせない存在です。

 今後のダスキンの取り組みに注目していきましょう!

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