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こうして店は潰れた 105年の歴史を閉じた地域土着スーパー「やまと」

こうして店は潰れた 105年の歴史を閉じた地域土着スーパー「やまと」
 山梨県の峡北地区を中心に、全盛期の2008年には16店舗のスーパーマーケットを運営し、売上高64億円を売り上げていた「やまと」が2017年末に倒産しました。なぜ、これほどの短期間で「やまと」は潰れてしまったのか?店舗運営の大原則などを踏まえ、キミアキ先生が解説してくださいます。

こうして店は潰れた: 地域土着スーパー「やまと」の教訓

 地域土着スーパー「やまと」の元・社長 小林久さん…著者の方から直々に献本をいただきました。

 『こうして店は潰れた: 地域土着スーパー「やまと」の教訓』という本でして、やまとさんは、山梨県の峡北地区、北杜市とか…それから韮崎市とかで展開されているスーパーでした。

こうして店は潰れた: 地域土着スーパー「やまと」の教訓
小林 久
商業界
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 破産申請されたのは、2017年12月7日のことで、新聞にもニュースとして掲載されました。

 参照リンク:山梨のスーパー「やまと」全9店の営業停止 破産申請へ(朝日新聞)

 ”スーパーやまと全店閉店”、”9店180人解雇 破産申請へ。競争激化 負債16億”と。

 全盛期の2008年には16店舗までいって売上も64億円に到達したと。

 ところが、直近の2017年の6月期は売上が27億円という形で、まぁ半減している…っていう状態で、負債16億円で破産申請をされて、社長の小林さんご自身も自己破産されています。

 ”地域の台所を惜しむ声”

 これは翌日の2017年12月8日の新聞の記事見出しです。

 移動販売とかもやってらっしゃったので、こういうのも全部なくなってしまうので、いわゆる「買い物難民」みたいな人が発生したみたいです。

やまとが潰れた原因は店舗運営の大原則無視にあり

 ただ、これらの出来事を解析して行くと、やまとさんっていうのは、もともと潰れたスーパーを居抜きの状態で借りて、店舗数を増やされたっていう経緯がありまして、これがまずかったんですね。

 店舗を出店する際に、コンサルタントの大原則っていうのがありまして、例えばそこに食品スーパーがあって潰れましたってなると、その場所では食品スーパーを「やってはいけない」っていうふうにアドバイスをしなきゃいけないんです。

 世の中っていうのは立地が7割くらいで決まる!なので、同じ業態で潰れてんだから、どうして自分がそれをまたやって要するに潰れる可能性が高いことをやらなきゃいけないんだって感じで、結局、購買欲が無かったという話だから、そこで同じ事をやっちゃいけないんですね。

 そして、社長さん自身もハッキリともう分かってらっしゃるんですけれど、コンビニが増えて、ドラッグストアで食品が安売りされ、ホームセンターに米やビールが並び、通販の便利さは語るまでもない、っていう感じでやはり”競合”に結局は負けます。

 この競合がいるときに、どうやって地域1番店になっていくのかっていうことを、ランチェスターの弱者の戦略で考えると、要するに「1番になれないんだったら最初からやるな」っていう話になります。

 社長さん方って、2代目さん3代目さんが多いので(小林久さんは3代目さんです)地域貢献とかそっちの方が先に立ってしまうんですね。

 創業者みたいに「絶対にここで1番にならなきゃ、店は続けていけないんだ!!」っていうのをあまり考えない人が多いので、まぁなんとな〜くわかるなぁという気はしますね。

 それから、居抜きで店舗を増やしても、やはり赤字店っていうのは絶対出てしまうので、その赤字店をとにかく早く切らないといけないんです。

 ”血を止めろ”って言うんですけれど、赤字って血がどんどん流れている状態だから、とにかく血を止めないといけません。

 赤字店を閉めるのにも、やっぱりお金がいるんです、お金がね。

 ところが、銀行に融資のお願いに行っても、閉店のためのお金っていうのは、まぁ、なかなか貸してはくれない!

 なおかつ、それくらい詰まってくると、銀行の返済を「リスケジュール」といって、本来の契約どおりではなく返済期間を長めにしてもらったり、あるいは元金を返さないで利息だけを払うとか、そういうふうにだいたいはしちゃうんですね。

 その時に、銀行にはそれで話が付くんですが、それより先に取引先も「払ってくれ!払ってくれ!!」ってガンガンに言ってくるので、銀行には返済をストップしておきながら、取引先だけに払おうとしていると。

 銀行からすれば「詐害行為」といって、「お前〜ッ!本来はウチから金借りてて、本来返さなきゃいけないものをストップしているくせに、それなのになんで取引先にだけ払うんだよ!!」って、こういうことを銀行からガンガン言われるわけです。

105年の老舗もあっという間に潰れてしまう経営の恐ろしさ

 特に、仕入先も生活がかかっているのでね、本当にね…焦げ付きそうな噂が立った瞬間に、やっぱり取り立てにくるわけですよ。

 ましてや、スーパーなんてのは夜レジを締めると、そこに現金があるじゃないですか。

 だから、取り立てにいけば現金で払ってもらえるわけですよ。

 これも実は取引先さんの立場になったら…もちろんスーパーやまとさん側と仕入れ先さん側は、立場が違うわけですよね、

 仕入先としてちゃんと商品を納入したのに、「やまとさん払えるのかな…」ってだんだん不安になるわけですよね。悪い噂が立ったりすると。

 そうすると、逆の立場から考えれば、レジが締まった夜に現金をとりに行く…回収に行くっていうのもわからんでもないな〜っていう気もしますよね。

 あと、問題は、今の日本って銀行返済のリスケジュール申請がだいたい800万件あるって言われています。

 それは金融庁の指導で、リスケジュールの申請があったら基本的には受けましょうっていうふうになっているんですよ。

 それで、だいたい80兆円くらい焦げ付いているって言われています。

 このリスケジュールの良いところっていうのは、「今すぐ倒産はしない」ってこれだけです。

 ところが我々の経験上も、リスケジュールを申請したところっていうのは、ほぼほぼ潰れます。

 ですから、今潰れないだけであってね、リスケジュールを申請して、「リスケジュール申請したらしいよ」ってなると、もう悪い噂が立の当たり前なんです。

 それから、このリスケジュールの後はだいたいが銀行系のコンサルタントが入ったりします。

 銀行系のコンサルタントが入るっていうことは、要するに銀行がしっかり管理下において、どうやって回収するかっていうのをやっていくわけなんです。

 会社経営っていうのは、こういう厳しいものを見ると本当に大変なんですよ。

 ですから、会社経営する時に、「下手に大きくしない」っていうやり方もあるんですね(笑)。

 下手に大きくすると、もう舵取りができなくなっちゃうので。

 ですから、スーパーやまとさんみたいに、地域土着で本当に一生懸命頑張ってきた会社でも105年で幕を閉じちゃったんです。

 その時にどんだけ苦しかったかって。でも、本当の苦しさって、やっぱり当事者じゃなきゃ分からない。

 取り立て…取り立て…で、キツく皆から「金払え!金払え!!」って言われて、本当にきつかったと思うんです。

 ですけれど、事業ってね、1番酷い部分を見ると、本当に大変なんだけれど、楽しいこともたくさんあるし、そこで働いていた人たちだって雇用があったから何年も働けたっていうこともありますから、今回のやまとさんの件は良い教訓になると思いますよ。


 

2018年11月15日

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