節約 社長
山田典正
山田典正アンパサンド税理士事務所 税理士

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上場企業の税務顧問がズバっと斬る〜東芝の巨額不正会計が見過ごされたワケ (ページ2)

なぜ監査法人は疑惑が持ち上がっても突っ込みきれないのか?

 さて、次に、なぜ監査法人は疑惑が持ち上がっても突っ込みきれないのか?という点についても、触れてみたいと思います。

 日本の会計基準では、1990年代後半のいわゆる金融ビッグバン以降、まずは金融資産について時価主義が導入されました。

 その後も、更に国際会計基準であるIFRSに寄せていき、時価基準とする資産の適用範囲を広げてきています。

 資産の時価算定に当たっては、割引現在価値基準を採用しており、資産の評価にあたっては、その事業の将来利益に基づいた評価を行います。

 つまり、会社の事業計画に基づいて資産の評価が行なわれることになります。

 監査法人は、企業会計を過去や現在の客観的な事実に基づき監査するのみならず、将来の事業計画という客観性が担保し難い不確実な内容についてまでも、数値の確実性・正当性を監査する必要が出てきました。

 まさに、東芝が今回計上することとなった減損損失がその代表例です。

 監査の現場では将来の事業計画についての正当性を評価する必要があり、結果として今回のような巨額の減損損失を計上するか否かの判断を迫られています。

 また、監査法人は上場企業を監査する立場であると同時に、その企業から報酬を貰う立場でもあります。

 監査法人ではリーマンショック以降、報酬の値引き交渉が横行したため、会計士の高い給料を払う原資、つまり売上を維持することが難しくなっています。

 結果として監査法人も企業に対しては、強気に出ることが出来ないケースもあると聞きます。

 2000年代に多発した巨額の粉飾決算事件を契機に、企業と会計士の癒着は厳しく取り締まられるようになりましたが、第三者機関が関与すること等で企業と監査法人の関係性をさらに変えていくことも、不正経理を抑止する一つの方法であると考えます。

 東芝で粉飾決算が行われていた期間、監査を勤めた新日本有限責任監査法人では、既に昨年理事長が引責辞任すると共に、東芝の監査法人を降りています。

 しかし、今回の事件を防ぎきれなかった責任は重く、今後、東芝の動向如何によっては、企業からの訴訟、株主代表訴訟の対象となる可能性は拭えません。

 これほど社会が発達しても、結局のところ組織は人が動かす共同体です。企業運営には更に高度なモラルが求められます。

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2017年2月22日

オリンパス カネボウ 予算至上主義 トップダウン型経営 コミットメント経営 IFRS リーマンショック 新日本有限責任監査法人 モラル 東芝 監査法人

山田典正
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