厚生労働省が男性の育児休業取得を奨励するため、企業への助成金を新設することを決めました。企業側に助成金を支給することで、まずは環境整備ということでしょうが、それだけでは少子化社会対策大綱で政府が掲げる育児休業取得率の目標である13%には到達すると思えません。「育児休業給付金」の支給率を上げることや、「男性育休推進法」の制定など更に思い切ったことを行う必要がありそうです。
厚生労働省が育休奨励の助成金制度を新設
厚生労働省が男性の育児休業取得を奨励するため、企業への助成金を新設することを決めました。
助成額は1人目が30万円・2~5人目までが15万円になり、育休を取りやすい制度設計をするとさらに30万円が上乗せされます。
市区町村単位では男性に特化した育児休業の助成制度はありました。
例えば千葉市では「男性の育児休業取得促進奨励金」という制度が昨年から始まり、育休に取り組む企業に対しては20万円、育休を取得する男性労働者には5万円が支給されます。
しかし、国レベルでは初めての試みになります。
更なる育休推進実現に向け掲げる2つの提言
政府は少子化社会対策大綱で、男性の育児休業取得率を2%から13%に引き上げるなどの数値目標を示していますが、なかなか取得率が上がらないのが実情です。
今回のように企業側に助成金を支給することで、まずは環境整備ということでしょうが、それだけでは13%に到達するとは思えません。
そこで更に2つの提言をしたいと思います。
1)男性の「育児休業給付金」の支給率を上げる
雇用保険加入者が育休により無給になると「育児休業給付金」が支給されます。現行では当初6ヶ月間が給与の3分の2、その後が2分の1になっております。それを満額支給にすることで、育休期間中の生活不安を解消することが可能になります。
2)「男性育休推進法」の制定
女性活躍推進法が制定され、女性が職業生活において活躍できる環境は整いました。次は「男性育休推進法」を制定し、男性が育児生活において活躍できる環境を整えることで意識改革を促す。
三方良しの制度設計が少子化対策には必要
これくらい思い切ったことをやらないと男性の育児休業取得率は13%までいかないでしょう。
企業側も一時的な労働力の喪失にはなりますが、柔軟な対応を行うことにより貢献が求められます。
なぜなら育児休業は1日からでも始められ、数ヶ月は難しくても数十日なら可能なケースもあるからです。
企業にメリットがあり、育休取得者にもメリットがある。結果として国も数値目標を達成できる。“三方一両得”の制度設計が少子化対策には必要です。