広島カープ 39年連続黒字の節約市民球団

企業分析

 緋色のキャップに「C」の文字といえば広島カープである。カープは一見、日本プロ野球界の中でも地味な球団だが、他球団が成し得ておらず、民間企業にも至難の業と言える39年連続の黒字経営を続けている優良企業である。カープが黒字を毎年達成するために行う、ユニークな節約術を本稿では紐解いてみた。

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広島カープ なぜ市民球団と言われるの?

 広島カープは、正式名称「広島東洋カープ」は日本プロ野球機構セ・リーグに所属する球団であり、本拠地は広島県広島市にある。
 
 今年は1996年以来、実に18年ぶりの勝ち星先行でシーズンを終えたことで脚光を浴びている。「カープ女子」と呼ばれる熱烈なファンもニュースで話題に登ったことを読者の皆さんも覚えていることだろう。
 
 この広島カープ、実にユニークなプロ野球球団である。
 
 なぜなら他の球団と違い親会社を持っていない独立経営が行われている球団のため、「市民球団」と呼ばれているからだ。
 
 例えば、読売巨人は読売新聞がオーナーであり、ヤクルトスワローズはヤクルト、ソフトバンク・ホークスはソフトバンクがオーナーとして球団経営を担っているのに対して、広島カープは株式会社広島東洋カープが独立して運営する球団であり、親会社がないユニークな経営が行われている。
 
 他の球団は赤字でも親会社から補填が行われるが、広島カープには親会社からの資金注入は一切ない。よって貧乏球団というイメージもファンの中では強いかもしれない。
 
 しかし、広島カープが約40年に渡り黒字経営を続けている超優良企業であることをご存知だろうか?
 
 一般の会社でも成し得ない黒字経営の持続と利益最大化に向けた節約の取り組みを以下ご紹介したい。

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ユニークな市民球団の節約経営術

自分で育てて年俸高額化を防ぐ

 カープはプロ野球球団の中で年俸総額がダントツの最下位である。巨人軍の年俸総額が2013年度45億円強であるのに対して、カープの年俸総額は20億円をわずかに超える程度である。カープの年俸総額が安い理由は国内・海外問わず生え抜きの人材を育成するというスタンスにある。1990年には日本プロ野球界初の海外アカデミー「カープアカデミー」をドミニカ共和国に設立し、海外の逸材を安価で排出するシステムを作った。現在の球団内スター選手もドラフトで獲得し、数年かけて育成した選手がほとんどであるため、FAで高額年俸をかけて選手を取得することがほとんどない。

地元密着 熱烈なファンを育て収益アップ

 メガホンでの応援、トランペット・応援歌での応援、ジェット風船は全てカープから生まれて、プロ野球応援のコンセンサスとなった風習である。それくらいカープのファンは熱烈である。地元に根ざした運営を行うことにより、2014年のホームゲーム観客動員数は過去最高の190万人を超えた。前年の156万人から脅威の伸びであり、伸び率は球界イチとなった。広島市の人口が118万人程度であるから、市民全員がホームゲームに年間で1.6回行った計算になる。放映権料などによる大きな収入が少ない分、ファンを育ててグッズ収入や入場料収入といった実業収入に力を入れている。

マツダはスポンサーの位置 自力の黒字が必須

 カープの運営は株式会社広島東洋カープが行っている。大株主はマツダ創業者一族であるが、マツダはあくまでもスポンサーとしてしか関与しておらず、赤字の補填などしてくれない。必然的に黒字経営を目指さざるをえず、結果として40年に渡り優良企業たり得ている。

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あとは結果だけ 優勝すれば更に収益向上

 今年度も観客動員数が過去最高を更新していることから、40年連続の黒字達成はほぼ確実である。もし来年優勝に絡むことがあれば、更に収益は向上するであろう。カープの経営から目が話せない。

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