ファーストリテイリング社が、正社員約1万人を対象に、本人が希望すれば4勤3休の新たな勤務体系を10月から導入することが分かりました。柔軟な勤務形態を導入する場合、管理側としては勤務シフトの作成や労働時間の把握、特に法定外労働時間の把握が複雑になるデメリットがあります。中小企業における望ましい制度設計をプロに解説してもらいます。
ユニクロが正社員対象に柔軟な勤務形態を導入
ユニクロを運営するファーストリテイリング社が、正社員約1万人を対象に、本人が希望すれば4勤3休の新たな勤務体系を10月から導入することが分かりました。
多様な働き方を求める社員のニーズに応え、新たな人材の獲得や職場定着につなげていくとしています。
今後ファーストリテイリング社の社員は、8時間×5日の40時間勤務か、10時間×4日の40時間勤務かのいずれかを選択することが可能になります。
労働時間は変わらないため、給与や福利厚生などの待遇は同水準になるようです。
柔軟性を重視した勤務形態はデメリットもある
たしかに選択肢が増えるのはいいことです。
私だったら今回の事例の場合、迷わず10時間×4日の40時間を選びます。
休日が増えることもそうですが、通勤時間を週1日分省略できるのが大きいからです。例えば、片道1時間の通勤時間であれば、週2時間、年間100時間ほどを別のことに使えます。
このようにワーク・ライフ・バランス(仕事とプライベートの調和が取れた働き方)を重視した勤務形態を、制度として導入する企業は大企業を中心に増加しています。
ただし、これら柔軟な勤務形態を導入する場合、管理側としては勤務シフトの作成や労働時間の把握、特に法定外労働時間の把握が複雑になるデメリットがあります。
結果として、管理をする労働者の時間外労働が増えてしまっては本末転倒です。
特に中小企業の場合は、単純に大手の真似をすることで失敗してしまう可能性が高いと思われます。
では、どうすれば良いのでしょうか?
中小は全社または部署ごとに分りやすく設計
中小企業で柔軟な勤務形態を導入するなら希望者を募るのでなく、全社的もしくは特定の部署ごとに検討するのがよいでしょう。分かりやすい制度設計が求められます。
求人票を出してもなかなか集まらないという話をよく聞きます。景気回復を背景に新たな人材の確保や定着率の向上はどの業種でも共通の課題になっています。
生活が多様化してきているように、働き方もそれに合わせた多様化が必要なようです。