産前産後に休暇を取るなんて不届き者め!なんていう時代はもう終わりました。2014年4月から、産前産後休業期間中の保険料免除制度がスタートしたからです。産休中の厚生年金保険料および健康保険料は、当事者と企業の両方で免除されるようになっているため、双方にメリットをもたらす制度です。能力ある人材を流出しないためにも積極活用が望まれます。
産前産後休業中の保険料免除制度を活用する
いきなり余談ですが、日本における育児休業の制度は、ちょうど私の一番上の子どもができた年(1991年)に制定されました。
それでも制度の運用は1992年の4月からであった為、子どもが生まれてからの半年間は、子どもを預かってもらえる親戚を探し、毎朝子どもを連れて行ってから仕事にいくという毎日でした。
ようやくカミさんが育休をとり、一安心することができましたが、それでも、収入が減る中で保険料は持ち出ししないといけなくなって、大変でした。
意外とご存じない方も多いのですが、2014年4月から、産前産後休業期間中の保険料免除制度がスタートしております。これによって産休中の厚生年金保険料および健康保険料が免除されるようになりました。
「保険料を免除してほしい」という声が、当時からいかに切実なものだったかは、身を以て知っていますので、本当に子育て世代には朗報だとおもいます。
そしてこの制度は企業にとってもメリットのある制度なのです。
産前産後保険料免除制度は企業にメリットあり
これまでの社会保険(健康保険、厚生年金)の保険料負担は、本人にも、企業にも出産・育児と両立する上で、負担となっていました。
これに対して、育児休業にたいする保険料免除措置が先に制度化(2000年)されていましたが、産休中は免除が適用されていませんでした。
保険料免除は,本人負担部分だけではなく、会社負担分についても適用されるので、今回の改正でようやく、保険料のことを気にすることなく、出産・子育てのために安心して産休,育休をとれる、ということになりました。
また、保険料免除期間中も被保険者資格に変更はなく、将来、年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われます。
実務上の手続きは、育児休業と同様に、事業主が申出を行うことになります。届出により、事業主及び被保険者の厚生年金保険料及び健康保険料が免除されます。
つまり企業も出産を経験した本人にも、この制度を活用することで、保険料のコスト削減が図れるのです。
詳しくは日本年金機構の案内をご覧になることをお勧めいたします。
制度の活用は人材を流出しないことにも寄与
当制度を有効活用することは、企業にとってもうひとつのメリットを生じさせます。
今や社員の出産・育児で会社が負担になる事はほどんどなくなりました。制度を積極的に活用することで、むしろ優秀な人材が辞めずに、会社に貢献してもらえることができます。
さらに、育児休業期間中に受けられる雇用保険の育児休業給付についても改正されたため、月に80時間までなら、働いて収入があっても給付が受けられることになりました。
中小企業の経営者の皆様に置かれましては、是非ともこれら制度改正を受けて、ワークライフバランスの観点や,女性の積極的な人財活用の面からも、積極的な対応をお願いしたいと思います。