中国で発生した経済危機の経緯をわかりやすく解説

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 大幅下落に転じていた上海総合指数はとりあえずのリバウンドを見せていますが、実体経済にこれから訪れる厳しい現実を避ける事は中国にとって不可能に近い状態と言えます。日本のバブルやリーマン・ショック以上の危機が、理財商品の不良債権化によってまもなく生じる可能性が高く、我々はできるだけ備えを保っておく必要があります。

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中国バブルは弾け巨大な信用収縮が始まる

 NYダウ平均株価が週末に211ドル高と上昇に転じたことで、先週まで続いた上海総合指数の大幅下落を、過去の話として取り扱う評論家も出始めてきました。

 上海総合指数も週末は4.5%以上の上昇で取引を終えているため、その気持は分からないでもありません。

 しばらくはリバウンドが起こる可能性も十分にあり得ます。

 しかしながら最終的に、信用で株式を買っていた多くの個人資本は今回の大幅下落で市場から撤退し、外国人投資家も「売買を停止せざるを得ない得体の知れない中国株式市場」から段階的に資金引き揚げを行うはずです。

 この先に中国で起こる可能性が高いことは、日本のバブル崩壊時よりも規模の大きな信用収縮です。 

 本稿では今中国で生じている未曾有の経済危機について、過去を振り返りながら「何がマズイのか」解説します。

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信用収縮で露見する膨大な出資金の焦げ付き

 中国では2008年に起きたリーマン・ショック後、共産党政府主導の金融緩和を行い景気を回復させるべく、莫大な資金を市中に流し続けてきました。

 結果としてそのお金は一般人の元へ融資が比較的降りやすい状態を作り、融資された資金は大量に不動産へ流入しました。

 実に北京では2009年から2010年にかけて、新築住宅価格が1年で約30%も上昇しています。※

 過剰な不動産投資によってバブルが発生したことに危機感を抱いた中国政府は、銀行貸出の窓口規制を強め、不動産取引抑制策を随時強化しはじめました。

 また、都市部であまりにも住宅価格が高騰したために住宅を購入できない人向けに、低価格の公共住宅の建設も進めました。

 しかし人間というのは一度甘い蜜を吸うと忘れられないもので、富裕層となった個人のカネ余り資金は投資先を求めて彷徨い始めます。

 ここで登場したのが「理財商品」と呼ばれる、小口(個人用)の投資信託でした。

 理財商品で集めた資金の投資先は、株式や不動産が主なものになります。

 理財商品の販売は、正規の金融機関ではないシャドーバンキングや、地方融資平台(地方政府が運営するディベロッパー・投資ファンドのようなもの)によって行われ、理財商品の購入者には「元本保障」や「月に2%(年利24%)の利回り」など異常な保障や待遇が与えられました。
 
 理財商品を創りだしたシャドーバンキングや地方融資平台には、1)景気は良くなり続ける、2)不動産価格は上り続ける、3)株価は上昇し続ける、という前提の考えがありました。

 ところが不動産価格は2014年頃から下落に転じ始めました。不動産投資により過剰な不動産の在庫が積み上がったからです。

 70都市圏の不動産価格下落はもちろんのこと、深刻なのは地方都市で新しく建設した不動産の不良債権化です。

 テレビで見たことがある方も多いと思いますが、集まったお金を「とにかく箱モノを作って使い切る」という経済観念を度外視した都市計画によって、中国各地には至るところにゴーストタウンが出来上がっています。

 そこで中国政府は「不動産投資が伸び悩んでいるならば株をあげよう!」と、株価をこの一年間で2.5倍に上昇させました。

 しかし実体経済が良くない以上、相場は下がり始めます。それがこの前の出来事です。 

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ポンツィスキームは破綻し経済縮小が始まる

 更にまずかったのが中国政府が今回の株価下落にあたり、

  • 1)一ヶ月間約40%の銘柄について取引停止
  • 2)株式大量保有者に半年間の株式売却規制
  • 3)信用取引関連の株式担保融資の規制緩和

 というスキームを組むことで、一時的とは言え株価下落を抑制してしまったことです。

 クサイものに蓋をしたところで、臨時対策を打ち続けることはできませんので、今後国民は投資資金を引き挙げ投資の世界から去ろうとするはずです。

 しかしその時になって多くの人が、自らの投資したお金が元金保障のまま帰ってこないことを知るでしょう。

 中国の理財商品の多くはポンツィ・スキームによって出来上がっています。

 ポンツィ・スキームとは、出資者に対して好条件の利回りを見せたうえで出資金を集め、実際には運用してもうまく行かず、結果として初期の出資者へ後発の出資者から集めたお金を配当と見せかけて渡さざるを得なくなる、詐欺のようなスキームです。

 投資した資金は、無計画に建設されたゴーストタウン(不良債権と化した不動産)にぶち込まれたまま、収益を生み出さずガラクタのビルと化してしまっているため、多くのシャドーバンキングや地方融資平台にとって「返すアテ」は既にない状態となっています。

 不良債権額はわかっているだけで300から400兆円近くに及ぶと言われていますが、その規模は更に巨大なものとだろうと予測されています。

 ちなみに日本でバブルがはじけた時の不良債権額は、初動時に発覚した分で13兆円だったものが、実際の処分損累計額は2002年に約100兆円となっていました。

 いわゆる「失われた10年」です。

 事態が顕在化してから実体経済に影響が出始めるまでにしばらく時間はかかりますが、中国で起きている不良債権問題はこのまま行けば、世界の実体経済に大きな不況を発生させる可能性が高まっています。

 今私達にできることは、利益が出ているからといって無作為に積極的な投資を行わず節約し、企業として来るべき時に生き抜く、あわよくば価値ある企業や資産へ不況時に投資できるようキャッシュを蓄えておくことでしょう。

※ 日本銀行 日銀レビュー「最近の中国住宅市場の動向について」
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2012/data/rev12j08.pdf

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