平均寿命が30歳前後であった戦国時代に前述の3者は倍以上の長寿を全うして、コトを成し遂げた。戦国時代のヒーロー達は、食生活がいかに仕事と関係しているか教訓を残す。
生か死か 戦国時代の平均寿命はなんと30歳
織田信長が好んで舞った幸若舞(こうわかまい:能や歌舞伎の原型)「敦盛」の有名な文句といえば「人間50年 下天のうちを比ぶれば」である。しかし、戦国時代に50年も生きられれば、その人は長寿を全うしたと言われたことだろう。
なぜなら、戦国時代の平均寿命は30歳前後だったと推計されているからだ。
成人年齢20歳・平均寿命80年という現代の一般認識に対して、戦国時代の成人式「元服」が12〜16歳の間で行われていたことからも、戦争が常態化している戦国時代に長生きするのがどれだけ難しかったかはご理解いただけるだろう。
この厳しい戦乱の世で戦国大名として成功し、後世に名を残した大名が3人いる。
本稿の主人公、徳川家康、伊達政宗、毛利元就の三人である。
三人の共通事項は、当時の寿命の倍以上生きたこと、粗食を好んだこと、の二点である。
戦国の英雄は粗食を積極的に取り入れ長寿全う
1)天下人・徳川家康 享年75歳
誰もが知る戦国時代を収束させ江戸幕府260年の岳父となった人物である。
家康は粗食を好んだ。主食は白米よりも栄養価に富む麦飯。白米を出すと激怒した。
決して過食はせず、アルコールも多飲することはなかった。
天下人になったのは実に60歳を過ぎてからであった。
2)奥州の覇者・伊達政宗 享年70歳
奥州の実質的な覇者であり、あわよくば天下を狙っていた仙台藩62万石の祖である。
料理に対する造詣が深く、兵糧のために保存が効く凍り豆腐やずんだなど、粗食でも栄養価の高い料理を自ら開発した。晩年に料理の造詣が深すぎるあまり美食にハマり、最後に食道癌で死んだというオチはあるが、それでも関ヶ原で加増された大名では一番の長生きをした。
3)中国地方の覇者・毛利元就 享年75歳
中国地方の覇者。祖父と父親が大酒飲みで早死したことから、酒を一切飲まなかった。
人生を通じ実に200回の戦を行った元就が奨励した食品が餅。餅は保存が効き、腹持ちもよいため戦う兵士たちのスタミナ源となった。
曲直瀬道三(まなせどうざん)という名医に粗食レシピをコンサルしてもらい、健康管理を万全に整えた。
中国地方を制覇したのは70歳を過ぎたときだった。
健全な体で健全な仕事 食生活を見直そう
腹が減っては戦はできないが、経営者はストレスを貯めて、つい食べ過ぎや飲み過ぎに陥り体調を崩しがちである。
天下人・家康の遺訓は以下のとおりである。
人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し、急ぐべからず
不自由を常と思へば不足なし
心に望み起こらば困窮したる時を思い出すべし
何でも手に入るはずの天下人・家康が、リーダーとなる子供たちに残した言葉は非常に重い。
心身共に健全の状態で経営に取り組むため、戦国時代の成功者に共通した「粗食のススメ」を教訓に、食スタイルのバランスに気をつけることは懸命と言えそうだ。