メイドインジャパンを脅かすアメリカ産和牛の示す未来

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 アメリカ産和牛が生産量を急激に伸ばしている。日本に逆輸入される日はいよいよ近づくが、日本和牛の品質がアメリカ産和牛の品質を駆逐するという声も聞かれる。しかしアメリカでも牛肉の品質向上に向けた取り組みは強化されており、普段使いの和牛がリプレイスされる可能性は十分にある。外部の情報を取り込み真摯に自己研鑚する必要がある。

アメリカ産和牛が日本に逆輸入される時近し

 “American Wagyu”と称され、アメリカ国内で生産されている和牛が今、生産量を急激に伸ばしている。

 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)により関税が撤廃され、日本への輸出が行えるとアメリカの生産者が見込んでいるからだ。

 従来アメリカでは和牛が人気だったが、日本から輸入する際にあまりにもコストが高くなるため、やむを得ずアメリカ国内で和牛の血統を持つ牛の生産が始まった経緯がある。

 日本のノウハウで出来た和牛がいよいよ逆輸入開始される時が、刻々と近づいている。

アメリカ産和牛の美味しさを侮ること無かれ

 このような現状に対して「日本産和牛はブランドが確立されているため、そう簡単にリプレイスすることはできない」という異論もある。

 ただしアメリカ産の和牛を一度食べるとなかなかそうは言えなくなるだろう。

 通常のアメリカ産牛肉と比べて、サシが入り霜降りの柔らかい肉質と脂が特徴の和牛は、アメリカ国内でも高い人気を誇り、日本産和牛より格段に安い価格で美味なのだ。

 「現時点でも生産が需要に追いつかない状態」と米国和牛協会は語る。

 日本人はまだアメリカの本気を食べていないのだ。

 アメリカ本国で牛肉の等級は8等級に細分化されており、そのうち日本に入っているのはまだ「プライム」「チョイス」「セレクト」の極端に別れた3等級だけである以上、それも仕方がない。
 
 私達が焼肉店や牛たん焼き店でオーダーする「牛たん」が、ほぼアメリカ産であることも忘れてはならない。アメリカ産の牛たんは他の輸入牛たんと比較しても良質の肉質といわれて人気が高い。

過度な日本に対する過信が生んでいる危険

 アメリカの国力と技術力を以てすれば、普段使いの和牛は容易にリプレイスされる可能性が高い。

 「国産和牛は高いから特別な日の食事、普段の焼き肉はアメリカ和牛で十分だ。」そんな会話が日本全国で交わされるようになる日が来た時、差別化も図らず、販路を作ることができていない生産者にとっては、非常に困難な局面が訪れる。

 TPP協定の交渉は現在佳境を迎えており、貿易の自由化が日本の産業に影響を与えるのは、和牛だけに留まるはずがない。

 「日本は良い」「日本製品が一番」という言葉が最近盛んに騒がれている。しかしこの言葉がもたらすガラパゴス化は、海外に生産性と品質の両面で追い抜かれる要素となりうる。
 
 今一度真摯に海外の技術革新や動向に注意を払い、己の生産性と品質向上に向けた取り組みを絶え間なく行う必要がある。

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