東京五反田地面師事件、ご本尊はいまだ捕まらず
数年前に、東京五反田で起きた不動産詐欺事件を皆さんは覚えてますでしょうか?
地面師が積水ハウスから63億円を騙し取ろうとして、実際に積水ハウスが55億円の損失を出してしまったという地面師事件です。
先月、逮捕状も出まして8人が逮捕され更に4人が今逃亡中というかね、まだ逮捕できていない状況ですね。
どうして積水ハウスほどの不動産取引に慣れた会社が、こんな簡単な手口に引っかかってしまったのか…やはり我々も不思議に思うんですよ。
土地所有者になりすましたオバチャン、ニュースでも顔出てましたね。本物の土地所有者が入院中で、いないことをいいことになりすましただけの話です。
パスポートですとか、健康保険証、それから土地の権利証も全て偽造したと。もちろんこれに関しては、このオバチャンは実務能力が無くて、ただ単になりすましの役者で、最初から逮捕要員(笑)なんですね。
海外に逃亡することもなく、数百万円しかお金も貰っていないと言われてまして、55億円も騙し取った中では1番損な役回りだな〜って感じですよね。
詐欺の手口は「なぜ騙された?」と思うくらい単純
事件の実行犯、主役は、カミンスカス・操 容疑者と報道されていますけども、元々は小山 操さんとおっしゃいます。
カミンスカスさんと結婚して姓名が変わったみたいなんですけれどカミンスカスってね…かなり珍しいですよネ、、リトアニアかどっかなのかな??
まぁ、この本人は逮捕状が出る前にフィリピンに逃げておりました。
この方、業界では元々ちょっとした有名人でして、”小山さん”時代は不動産に関する脱税屋さんとかね、そういう感じのあんまり噂がよろしくない人なわけです。
今回の件の全体像を見ると、「…ホントにちゃんと仕事したの?」っていうくらいに本当に単純な手口で騙されております。
まず、五反田の土地が売りに出ているし、自分が60億円で買ったとでっち上げたのが”生田さん”って方なんですけれど、ここの不動産会社の登記簿あげても分かるんですけれど、同居人の”近藤さん”っていう女性を代表者にして、自分の名前が出てこないようにしているんですね。
まぁ、社名では出てくるんですけれど、裏でこの人が牛耳っているのは間違いないんです。
ですけれど、登記簿をあげれば、「なんでこれオンナにやらせてんだ?」っていうのは、まぁ大体怪しい会社っていうのは、こういう感じなんですよ。
そして、この”生田さん”は積水ハウスに「ホントは時価100億円のものを俺は60億円で買ったから、あんたの所には今なら70億で売ったげるよッ」てもちかけるんですね。
これ、不動産のプロに言わせると…こんなの有り得ないッて(笑)。有り得ない、有り得ない!
こんな、100億の時価のものを売る時に「俺60億円で買ったから、キミには70億円でイイヨ♪」なんて。
価格もギリギリまで上げて行くんですよね、今は特に東京で土地が上がっているし、あんな一等地なんて売りに出ないんだから。
他にも役者がいっぱい揃っているんですけれど、いろいろ名前が出てくる時に、あれ!ちょっと待って!って、”永田さん”という人も有名人でね、地面師で有名人なんですよ(笑)。
これだけの色んな有名人が関わっていて、よくこんな寸劇にみんな引っかかったなって思うのは、不動産取引で、これだけ大きい商談には必ず弁護士が入るんですよ。
弁護士が入って、本人確認するんです。
今回なりすましやってるんですけど、本人確認がね〜とても…ちゃんと手順を踏んだのかな?と思うくらいなんですよ。
だって、一応は顔写真が入っているパスポート取っているんですから、(かなり作りこまれた偽造パスポートだったらしいですれど)その顔写真を持って、
周り近所にこの人は本人かって聞いて回るのが当たり前の話なんですよ。
あとは、この土地には建物も建っているので、その古い建物の内見の時に、この詐欺グループが勝手に鍵を付け変えているんです。
そして、弁護士さんに鍵を預けて、弁護士さんが鍵を開けて、その時になりすまし役の”羽毛田さん”は体の調子が悪いと言って来ていないんですね。
なぜかというと、現場に行ってしまうと周りの人に顔を見られて、「あの人違うよ!」ってなるじゃないですか。
そういうふうになりすまし役が内見の時に来ないにも関わらず、「弁護士さんに鍵を開けてもらって中を見せてもらったから〜」って、そこで積水ハウスは金を振り込んじゃうんですね。
なぜ仕入れのプロである積水ハウスは騙された?
ここら辺の…なんて言うかな〜怪しげな状況でも、どうして騙されちゃうのかなっていうのは、これ東京の不動産屋さんの特徴っていうのがあるんですね。
東京の不動産って、仕入れにほとんど命運がかかっているんですよ。その土地さえ仕入れることができれば確実に勝てるモデルが組めるんです。
ですから、あれほどの一等地をちょっと怪しいと思いながらも、どうしても手に入れなきゃいけない!と。
可哀想な話なんですけれども、今回この地面師に引っかかってしまった積水ハウスの仕入れ担当者さんは、自殺されたともいわれています。
積水ハウスさんもこの1件で会長さんが辞任するとかあったんですけれど、損した金額はわずか55億円です。
積水ハウスさんは非常に業績が良くて、経常利益が年間2000億円くらいあるんですよ。
そういう状況であっても、こんな簡単な手口に騙されてしまった。
じゃあ弁護士は何をしてたんだ?っていうと、弁護士さんたちも「おかしい」、「おかしい」って助言してたんです。
助言しても、結局は突っ走ってしまった〜っていう事件だったんですね。
こんなふうに、みんな意外と簡単な手口で騙されているんだと分かれば、我々も騙されないようにちゃんと注意をして…相手の本人確認ぐらいはしっかりやらなきゃいけないよって話です。