『人間アレルギー』だと人の輪に溶け込みにくい
なになに?『人間アレルギー』?うーん。八方美人である必要がどこにあるんだい?
はい、どうも皆さん、こんにちは。脳科学教育コンサルタントのクロスです。
今回お話をする内容は『人間アレルギー』、言い換えると『回避性パーソナリティ障害について』がテーマです。
なぜこの話をするのかというと、最近そういう相談が増えてきたんですよ。
「自分の子供が不登校である」とか、あるいは「非常に人間アレルギーなところがあって、職場に馴染めない」という相談が最近増えてきたので、それに対して答えていこうと思った次第です。
まず、人間アレルギーって何かって言うと、大勢の人前に出るのが「とても嫌い」「怖い」「攻撃的になってしまう」という状態です。
じゃあ、なぜ人間アレルギーが強いのかと言うと、「けなされるんじゃないか」「陰口を叩かれるんじゃないか」「なんだあいつ、気持ち悪い」というようなことを言われるんじゃないかという、恐怖や不安に押し潰されそうになるから怖いということですよね。
言い換えると、自分に自信がないみたいな部分があります。
『人間アレルギー』がある人に必要なのは批判されない環境
人間アレルギーがある人にとって最適な環境、それは批判がないことが保証されている環境です。
批判のない環境が保証されている場所では、人間アレルギーがある人も割とのびのび出来ます。
たとえば、家庭、あるいは信頼がおける友達とか、そういった所ではまだいいかなと。
無償に愛し続けてくれるような人だったら、まだ大分いいかなと思います。
じゃあ、攻撃的になる場合は何が問題かと言うと、やっぱり「なんだよあいつ、本当にあんな格好しやがって」「かっこつけやがって」とか「チャラそうだな」とか「なんだあの女は、あんな厚化粧なんかして、男なんか媚びやがって」とか、何かしらの攻撃材料を見つけてしまうと。
それは何でかと言うと、ゾーンが合わないというか、心地良いと思えるコンフォートゾーンが違う人同士が近づくと、どうしてもお互いに攻撃し合うんですね。
特に相手のコンフォートゾーンが上だったりすると、なおさら攻撃したくなります。
上の立場の者に対してだったり、あるいは自分にないものを持っていて、ちょっと「羨ましいな」と思うようなものに対しては特に攻撃してしまいたくなっちゃいます。必要以上に。
やっぱり妬み嫉みっていうのが、どっかにあると。
それがトリガー(引き金)となって感情に火がつくんですね、「うらぁっ!」と、「この野郎」となってしまうと。
『人間アレルギー』の遺伝率は60%。環境が更に大きく影響する。
じゃあ、人間アレルギーが治るのかどうかについてですが、本来人間アレルギーは、ある程度は勝手に治っていくものであると言われています。
人間アレルギーの遺伝率は6割もあります。つまり60%の割合で親から受け継ぐと。
なので、人間アレルギーは、どこの家庭で育った人にもあるはずなんですよね。
発達障害も遺伝率が50%以上あることが分かっていますし、人間アレルギーも60%以上は親から来ていることが分かっています。
これ、どちらも双子を使った研究でわかっているんですね。
子供のうちから何か人見知りが激しいとか、不安が強いとか、人間アレルギー。
つまり、人の前に出ると不安だったり、イライラしたりしてしまうっていうのは、本来自然と消えていくのですが、大人になっても残っている場合、これはやはり環境に恵まれなかった可能性が一番大きいんですよね。
環境っていうのは全部ひっくるめています。遺伝率以外の全てをひっくるめたものを言います。
家庭環境・学校・社会・仕事、色んな事ですよね。
良い環境に恵まれず育った場合は、やっぱり認知の歪みとか色々出てしまいます。
「人のせいにしやすくなる」「他罰的になる」「必要以上に批判的になってしまう」あるいは「自分のせいにする」とかですよね。
これはどれも『認知の歪み』と呼ばれるもので、環境が悪い中で育つと出てきやすくなると。難しいですよね。
『人間アレルギー』は経験や認知療法では治りにくい
では、人間アレルギーをどうやって治していけばよいの?という話なのですが、これ、経験とか、そういうので治るものではないんですよね。
人間アレルギーというのは、言ってみれば牛乳アレルギーと一緒です。
牛乳アレルギーの人が牛乳をがぶがぶ飲めば、牛乳アレルギーが勝手に治るかと言うと治らないですよね。
牛乳アレルギーは、それはそれで別に何か治療法が必要なはずなのに、がぶがぶ飲んで無理やり治すっていうようなことじゃ、ちょっとうまくいかない。
それと一緒で、人間アレルギーも人の前に何回も出てりゃ直るかって言うと、そういうもんじゃないんですよ。
暴露療法(認知行動療法の一種)とかありますけど、それとはやっぱちょっと別の考えですよね。
たとえば、大人で人間アレルギーの場合、「そもそも何で人前に出なあかんの?」というケースだってあるわけですよ。
よっぽど人間アレルギーがひどかったら、本来であれば人前に出る必要はそもそもないんですよ。
もし大学に行かなきゃいけないんだったら、通信制の大学はないのか。高校行かなきゃいけないんだったら、通信制の高校はないのか。
つまり、家で勉強や仕事をするのも一つの手なんですよね。
無理にどこかに行って、会社や学校にジョインして、皆でわいわい楽しく勉強するのが難しいのであれば、無理にそれをする必要はないんですよ。
そもそも、そうやって治すようなもんじゃないですから。
お酒飲めない人に、「うるせー飲め飲め、おりゃー!」って無理やり飲ませて、急性アルコール中毒になったら意味ないじゃないですか。
まとめとして、人間アレルギーは遺伝率が6割あって、大体子供の頃からあって勝手に成長とともに消えるものの、残る事もあります。
環境によっては大人になっても根強く残ってしまうケースもあります。
人間アレルギーっていうのは、治すものではないと。むしろ、それを活かして自分にしか出来ないことを見つけていくほうが、本人にとっては非常に建設的なゴールを描きやすいと。
人間アレルギーの人に大勢でも明るくワイワイ過ごせと言うのは、背の低い人に、「木の上にあるリンゴをとれるように無理やり足を伸ばせ」って言ってるのと一緒なんですよ。
足なんか伸びませんよ、そんなもん勝手には。それと一緒です。
人間アレルギーの人に社会性を持って人と対応しろ、というのは、それぐらい無茶苦茶なことを言っているんですね。
であれば、背が低いなりに何か自分の特徴を生かした他のことは出来ないのか?
一緒に自分の特徴を活かしたゴールを作るところから考えてみるほうが、将来性も高まるし、とても良いパフォーマンスが発揮しやすくなります。