配偶者控除が廃止され、新たに夫婦控除が施行されることがほぼ決定しているが、制度は「家事を完璧にできなくなる」という主婦の焦りまで、まだ考慮されてはいない。家庭は経営の最小単位である。やれなくなった家事の一部は人に任せて、時間をより生産的に使おう。注目集まる家事代行サービスを運営する企業4社をご紹介したい。
配偶者控除の廃止で家事の担い手は変わる
配偶者控除が廃止され、新たに夫婦控除が施行されることがほぼ決定し、現在政府で審議されている。
どういった形にせよ、現在の配偶者控除が廃止されると専業主婦は職を求め、働きに出る人が増えることは間違いなく、共働き世帯は加速度的に増えることが予想される。
夫婦の形は千差万別。夫婦の数だけ形がある。とはいえ実際に、家庭で家事を行っているのは妻であることが多いのが現状だ。
その妻をいかに社会進出させるかを目的とした夫婦控除の新設は、家事に従事してきた主婦が働き始めることで、「家事を完璧にできなくなる」という主婦の焦りまで考慮されているわけではない。
アウトソーシングによる業務効率化はビジネスの定石。
時間をお金で買うことで、空いた時間をより生産的な事に利用できるのであれば、それは選択するべきお金の使い方となる。
ましてや家庭は経営の最小単位である。主婦がやれなくなった家事の一部は人に任せて、主婦に稼いでもらえばよい。
注目集まる家事代行サービスの運営企業4社
家事の代行サービスを運営している代表的な4社の特徴やサービス、料金をご紹介しよう。利用するしないに関わらず、価格帯を知っておくだけでも知識として有効だ。
1. ベアーズ
日本初の家事代行サービス会社としてパイオニア的存在。掃除だけ、定期的に2時間、育休復帰支援キャンペーン、1週間分の夕食作りなど、女性の心に寄り添うメニューが豊富に用意されている。価格は単発のスポット利用で1回4980円(スタッフ1名3時間)。2回目以降は12,000円。
2. ニチイライフ
介護事業で有名なニチイが手掛ける家事代行サービス。介護や高齢者などのサービスを得意としていて家事を含めてオーダーメイドプランを立ててもらえることが特徴。大手ならではの全国でサービス展開している。価格は単発のスポット利用で1回5404円~(スタッフ1名1時間)。
3. ダスキン メリーメイド
家庭用掃除用具のレンタルサービスを行っているダスキンも家事代行業に参入して歴史が長い。家事おてつだいサービスというサポート的なサービスと、専用洗剤と道具を使った本格的なハウスクリーニングの両方があることが特徴。価格は単発のスポット利用で1回7000円~(2時間)。
4. おまかせさん
ニチイと同様、介護サービス業を親会社に持つ家事代行サービス。低価格料金が魅力。さらに1回1時間からサービスをお願いできる点も魅力。家事代行以外にもお子様の見守りや送迎などのチャイルドケアコースもある。価格は単発のスポット利用で1回2500円~(スタッフ1名1時間)。
※各サービス共に価格は税別。会社により別途スタッフの交通費や各種オプション費などが必要になる場合がある。
海外では既にアウトソーシングが一般化する
筆者の以前勤めていた会社の上司(女性40代管理職、子供1人)は、育休復帰時から6年以上継続して家事代行サービスを利用していた。
月~金曜日まで週に5日間、合計3.4名のスタッフさんが毎日代わる代わる訪問し、掃除・料理・子供の相手など家事のほぼすべてを行っていた。上司宅の鍵は合計10本以上作成したという。
これは今後、日本国内で当たり前の風景となるだろう。
海外では家政婦を雇うことは当然のことになっている。シンガポールでは5世帯に1人が住み込みメイドを雇い、アメリカでは家事代行サービスを含めた家庭向け清掃サービス全般の市場は6000億円とされている。
日本も今後さらに共働き世帯が増えれば、家庭内で更なる家事アウトソーシングが進む。家庭内で家事に専業するか、アウトソースして外へ働きに出るか、働き方や生活に対する考え方を、夫婦で話し合う良いタイミングかもしれない。