「高学歴ニートを地方議会議員に立候補させるプロジェクト」という選挙プロジェクトがあることをご存知だろうか?プロジェクトを展開しているのは、2007年から4年間、福島県須賀川市の市議会議員を務めた鈴木公成氏であり、新潟市を舞台に選挙を啓蒙する映画まで作っている。若者の政治に対する関心が落ちる中、このような草の根活動が更に広がる必要があるだろう。
高学歴ニートを地方議会議員に立候補させる
「高学歴ニートを地方議会議員に立候補させるプロジェクト」という大いにキャッチーなプロジェクトが、今回の地方統一選挙に合わせて行われていることを御存知だろうか?
プロジェクト参加料は無料。一般企業と同様、HPでは地方議会議員を「職業」と捉え、募集要項まで記載している。(あくまで「ある自治体の一例」で自治体により要項の内容は異なる)
- 仕事内容:国や地域をより良くするための仕事
- 応募資格:25歳以上
- 給与月額:40万円以上 賞与4ヶ月分
- 勤務時間:2~3時間/日
- 休日:年間休日約300日
- 採用人数:1万人以上採用予定
募集要項だけを見ると、地方国会議員は魅力的な職業、仕事内容に見えるが、このプロジェクトは本気なのだろうか?おふざけなのだろうか?
ニート議員プロジェクトは大真面目なものだ
このプロジェクトを展開しているのは、2007年から4年間、福島県須賀川市の市議会議員を務めた鈴木公成氏である。
あまりにキャチーなプロジェクト名だが、その目的は、かなり真面目なもの。
HPで鈴木氏は、「せっかくいい大学を出たのに良い就職先に恵まれずニートをさせているのは本人にとっても社会にとっても良くありません。そんな若者たちの新たな活躍の場として地方議員への就職を提案いたします。彼らの能力が街づくりに生かされれば素晴らしい世の中になると考えています。」と述べている。
鈴木氏自身がほぼ無職の状態で選挙活動を行い、市議会議員に当選し無事任期を満了したことから、その経験を生かし後進を育成しようと考えているようだ。
塾という形式で運営するが、参加料は無料。
おまけに更なる本気度が伺える取り組みを、同プロジェクトは行っている。
なんと「ニート選挙」という映画を自主制作してしまったのだ。
新潟、東京を中心に上映し、ニコニコ公式生放送では約34,000人が視聴している。
鈴木氏はこの映画を視聴し、上映することで地域の若者の投票率アップにつなげたいと言う。
地方選挙の投票率はずっと右肩下がりを継続
皆さんは鈴木氏のプロジェクトを見てどのように感じるだろうか?
もしかすると「議員を職業と呼ぶなんて」「ふざけすぎている」という批判的な意見もあるかもしれない。
しかし、これらの政治的な草の根活動は日本でもっと行われ、「是非」を問わず議論が起きてもよいはず、というのが筆者の意見である。
なぜなら1951年(昭和26年)に90%を超える投票率を誇っていた地方選挙は、2011年(平成23年)には50%台を割る水準まで落ち込んでいるからだ。※1
国政選挙のデータになってしまうが、特に若年層の投票率は極めて低いことが予想される。昨年末行われた衆院選での総務省調査によると、投票率は全体では59%、一方で20代は38%と大きな開きがあるからだ。
地方選挙は、我々自身の生活に大きく密接に影響する。どの年代の意見もすべて取り入れるために、インターネットによる投票やインターネットを利用した選挙活動の更なる自由化など、若年層を取り入れるための具体的な取り組みを行う必要がある。
今年の地方統一選挙の投票日は4月12日(日)と26日(日)の二日間だ。
少しでも多くの若者が選挙で投票することが望まれる。
参照元
※1 公益財団法人明るい選挙推進委員会「統一地方選挙の投票率推移」
http://www.akaruisenkyo.or.jp/070various/073chihou/674/