ガム拾いからコンドーム配布まで 企業の多様なCSR活動 

マーケティング

 お菓子のロッテは、「ガム取り清掃活動」を新入社員研修の一環として毎年1回行っており、今年も4月4日(土)に銀座で決行する予定だ。これは「CSR活動(企業の社会的責任を果たす活動)」の一環である。CSR活動は、「世の中の一員として役に立ちたい」という思いからはじまった時に、結果として企業が認められるケースが多い。様々な事例を紹介しよう。

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ロッテのガム取り清掃活動はCSR活動の一環

 

 4/4に東京・銀座で「ガム取り清掃活動」を行っている初々しい若者がいれば、それはお菓子メーカー大手のロッテに入社した新入社員かもしれない。

節約社長
ロッテ「ガム取り清掃活動」

 ロッテは、ガム取り清掃活動を新入社員研修の一環として毎年1回行っている。当日は、新入社員約50名にボランティアの一般社員も加えて約100名で、オレンジオイルとヘラを持ち清掃を行う。

 ロッテといえば、「キシリトールガム」「グリーンガム」「ACUO」「Fit’s」などガムの老舗だ。ガム製品が消費者の”お口の恋人”である一方で、街を汚しているという現実を踏まえ、CSR活動の一環として行っており、今年で13回目を迎える。

 CSRとは英語の「corporate social responsibility」の略であり、日本語に訳すと「企業の社会的責任」という概念を表す。単なる慈善活動ではなく、組織が行う活動が社会へ与える影響に責任を持つことを前提とした概念だ。ロッテにあてはめると、ガムを作り売るだけではなく、ガムが及ぼす社会への影響に責任を持つことを踏まえてCSR活動を行っているわけである。

 CSR活動は広く浸透しているが、まだ企業のイメージアップ活動として認識している人も多い。

 しかしCSR活動の本質は、「結果論としてイメージアップがある」だけで、あくまで「企業が社会の一員として何ができるか本気で取り組むこと」である。

 では、どんなCSR活動が行われているかご紹介しよう。

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コンドームでCSR その本意に深い誠意あり

1)相模ゴム工業 「SABISHINBO NIGHT」

 コンドーム製品を開発販売している相模ゴム工業株式会社は、毎年クリスマスイブに開催される日本最大級のクラブイベント「SABISHINBO NIGHT」を通じて、参加する若者たちにセーフセックスの重要性を訴えかけている。来場者には「サガミオリジナル」ブランドのコンドームが無料で支給される。コンドームを支給することで、性病やエイズから身を守ることを啓蒙し、社会への責任を果たすCSR活動として認められている。

2)富士通「ICTによる被災地支援」

 富士通はCSR活動の一環として、ICT(情報処理および情報通信分野)技術で被災地支援を行っている。東日本大震災により被災地では、今も十分な医療サービスを受けられない高齢者が多い。それを問題視したクリニックをサポートする形で「在宅医療クラウド」を富士通は構築している。ICTは、不足する医師と蔓延する医療サービスを欲した患者を効率的に結びつける。地域で本当に必要とされるものは何かを考えればどんなサポートでも可能となることを、富士通は同活動を通じて実践している。

3)日本IBM「天城会議」

 日本IBMが行っている「天城会議」は日本のCSR活動でも、かなり古くから行われているものだ。1970年に第1回が開催され、日本の未来について、毎年有識者を集めた会議を行っている。幅広い分野の約50名の有識者が集まり意見交換を行うが、特徴的なことは「結論を求めず議論を非公開」としていること。これにより自由な議論が展開される。場を提供するという画期的なCSR活動は、直接的な効果が見えづらくとも、企業が社会貢献を行うそのスタートを促すという意味で大きなパワーを秘めている。

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江戸商人たちもCSR活動を行ってきた

 CSRは今でこそ認知されてきた言葉と思うかもしれないが、実は古来より存在している。

 例えば、江戸商人の代々引き継がれてきた「家訓」にもCSR活動に通ずる言葉が溢れている。

 代表的なものは以下の通りだ。

1)江戸商人の家訓として、思想家石田梅岩の記述

「二重の利を取り、甘き毒を喰ひ、自死するやうなこと多かるべし。実の商人は、先も立、我も立つことを思うなり」

2)三井家家訓(宗竺遺書)

「多くをむさぼると紛糾のもととなる」「不心得の一族は協議し、処分せよ」

3)近江商人の家訓

「三方(売り手・買い手・世間)よし」

 歴史に残る成功した商人たちは、必ず自社(屋号)がビジネスだけではなく、社会に貢献することを考え続けていた。

 同じように企業が持続し発展する社会でCSR活動は、自然な行動の一環として広まってきた。

 会社の規模や地域によってできることは大きく異なるが、会社を継続して運営する上で、社会との深い関わりは避けて通ることが難しい。

 地域の清掃、会社近辺の清掃も「本気で役に立ちたい」と思えば、立派なCSRになる。

 肩肘張らず、ぜひ行動してみよう。

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