利用規約が強化されても無くならないフリマアプリのトラブル
フリマアプリの利用意向が8割超と人気が高まる中、消費生活センター等に寄せられるフリマサービスに関連する相談が増加しています。
PIO-NETに寄せられた相談件数が近年増加傾向にあり、2017年度の相談件数(3,330件)は、2012年度(173件)の20倍近くに増えており、国民生活センターでは消費者への注意喚起を行うとともに、フリマサービス運営事業者への要望を2月に公表しています。
フリマサービス上の商品取引では、「商品が届かない」「「商品を送ったのに、商品代金が支払われない」といったトラブル防止のため、フリマサービス運営事業者が購入者から代金を一時的に預かり、出品者から商品を受け取った購入者が出品者を「評価」、その後出品者が購入者を「評価」した後、フリマサービス運営事業者から代金を出品者に支払うシステムを取っています。
また、フリマサービスを利用する際には、電話番号やメールアドレス等の登録と利用規約への同意も求めています。
利用規約では「フリマサービス運営事業者はサービス利用者間のトラブルに原則として介入しない」と定められている他、禁止行為として、
- ・商品受取前に出品者の評価をさせる行為
- ・フリマサービス運営事業者が用意する決済方法を使用せず、個別に直接商品代金を支払う行為
- ・フリマサービスの決済システムを外部で成立した取引に利用する行為
等が定められているケースがみられます。
それでも相談内容では、特に購入者、出品者双方からの商品の取引をめぐるものが多く、その他に、未成年者が酒類等年齢確認の必要な商品を購入しているケースや、取引相手にフリマサービスで禁止されている行為を持ちかけられトラブルに巻き込まれているケースもみられています。
フリマサービス関連の相談の傾向と具体的な相談事例、国民生活センターがフリマサービス運営事業者に要望する取り組みをご紹介します。
独立行政法人国民生活センターに寄せられたフリマアプリ相談の傾向
以下は、2012年4月1日以降受付、2018年1月31日までのPIO-NET登録分9,221件について国民生活センターが分析したものです。
参考リンク:相談急増!フリマサービスでのトラブルにご注意
-個人同士の取引であることを十分理解しましょう-(独立行政法人国民生活センター 平成30年2月22日)
●契約当事者の属性
男性が 3,374 件(37.3%)、女性が 5,660 件(62.7%)。
男女ともに20歳代~40歳代の相談が多いが、20歳未満もあり。
●相談件数の多い商品
服やバッグ等の被服品(3,752 件)や腕時計、ゲーム機・ソフト、スマートフォン・携帯電話等の教養娯楽品(2,431 件)の取引に関する相談が多い。
●契約購入金額
1,000 円以上1万円未満が2,653件(37.8%)、1万円以上5万円未満が2,608件(37.1%)と多い。10万円以上も約1割程度ある。
フリマアプリでどんなトラブルの相談事例が舞い込んでいるか?立場別の相談事例
購入者の相談事例1
フリマアプリで購入した商品は届いたが、偽物だと思った。
メールで出品者に「偽物なので返品したい」と伝えたが「本物を送った。返品の際に偽物にすり替えられる恐れがある」と返品を拒否された。
アプリ運営事業者に相談したら、「当事者間で話し合うように」と言われた。
購入者の相談事例2
フリマアプリでカメラを購入した。商品代金約10万円を支払ったところ、条件として商品受取前の出品者評価を求められ応じた。その後、商品が届かないため、配送事業者に配送状況を確認したところ出品者に商品が途中で返送されており、出品者と連絡がとれない。
出品者からの相談事例1
フリマアプリで出品・発送したブランドバッグを購入者に偽造品だと言われ、購入者からの評価もされず、商品代金が支払われない。
出品者からの相談事例2
フリマアプリで洋服を出品し発送したが、購入者から「商品が届かない」と苦情を受けた
未成年者のフリマサービス利用に関する相談事例1
中学生の息子がフリマアプリで酒を購入していた。未成年者が酒を購入できる仕組みは問題ではないか?
未成年者のフリマサービス利用に関する相談事例2
高校生の息子がフリマアプリで加熱式たばこ機器を購入し使用していた。アプリ運営事業者に未成年者対応を求めたい
取引相手に禁止行為を持ちかけられトラブルに巻き込まれている相談事例1
フリマアプリで商品を購入したところ、商品代金を出品者の銀行口座に振り込むように持ちかけられ、振り込んだが商品が届かない
取引相手に禁止行為を持ちかけられトラブルに巻き込まれている相談事例2
「簡単に儲かる」といわれて情報商材を購入し、代金の一部はフリマアプリ上で架空の取引をして支払った
相談事例からみる問題点〜直接顔を合わせぬゆえ起こるトラブル
当事者間でトラブルを解決することが困難。
「商品が届かない/確かに送った」「偽物だ/偽物ではない」等、双方の意見が食い違い、購入者や出品者は共にプロではないため、当事者間での解決が難しい。
フリマサービス運営事業者がトラブルに介入せず、解決が困難な場合がある。
利用規約で「フリマサービス運営事業者はサービス利用者間のトラブルに不介入」と定めており、当事者間でトラブル解決を図ろうとして禁止行為に応じてしまい、二次トラブルとなるケース。
未成年者が年齢確認の必要な商品を購入できる。
利用規約では未成年者に親権者等法定代理人の包括的同意を得るよう求めているが、利用者登録時や購入時に年齢確認措置がなされていない。
相手に禁止行為を持ちかけられトラブルに巻き込まれる。
- 1)発送等の条件として、出品者の評価をするよう持ち掛けられる。
- 2)フリマサービスを介さない決済方法を持ちかけられる。
- 3)フリマサービス外で成立した取引の支払い手段として、フリマサービスの決済システムを利用するよう持ちかけられる。
フリマサービス運営事業者へ国民生活センターからの要望
これらのトラブルを受けて、フリマサービス運営事業者には、以下のような要望が国民生活センターからあがっています。
- ・利用者が当事者間でのトラブル解決を図る過程で禁止行為等不適切な手段を採らないよう周知する等、利用者間でのトラブル解決時のサポート
- ・利用者登録時等での年齢確認措置及び「未成年者の場合は親権者の同意が必要である」旨の明確な表示・警告や、年齢確認が必要な商品の出品・購入時に年齢確認措置を講じる等、未成年利用者への対応
- ・利用者への禁止行為の周知・啓発及びユーザーによるフリマサービスの悪用(禁止行為)に対するパトロール強化
- ・フリマサービス運営事業者間においてトラブルの傾向等についての情報交換・共有
このような状況を受け、フリマアプリ大手メルカリが規約違反の売買を防ごうと、対策の強化を進めています。
本人の年齢確認をはじめとする利用手続きの改善、人工知能(AI)などによる不正出品の自動検知、監視や顧客サポートの体制強化等が骨子となっています。
参考リンク:報道関係者向け「メルカリ安心・安全説明会」を開催しました(株式会社メルカリ 2018.3.23)
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