海外に現地法人を設立し社員を赴任させる時は、海外駐在員規程を作成します。中でも1番最初に取り掛かるのが給与決定方式の決定です。とはいえ、海外赴任する国によって物価は全く違うため、どのような方式で給料を社員に渡せば良いのかわからないこともあります。そこで本稿は、海外駐在員の給料を決める時に使う3つの方式をご紹介します。
海外駐在員のお給料ってどう決めれば良いの?
当社では、年間50社以上の海外進出を目指す企業様を支援しておりますが、海外に現地法人を設立し社員を赴任させる時は、まず海外駐在員規程を作成します。
中でも、多くの企業様が一番最初に取り掛かるのが、給与決定方式を決める作業です。
とはいえ、海外赴任する国によって物価も全く違うため、どのような方式で給料を社員に渡せば良いのかわからない、といった悩みを多くの企業様が抱えることになります。
たとえば、アメリカのシリコンバレーに社員を単身赴任させ、ワンルームマンションを借りると家賃で月額15万〜20万円は見ておかねばなりません。
赴任する社員の現在もらっている給料が月額30万円程度なら、給料を上げてやらねば到底生活できなくなるでしょう。
一方で、カンボジアのようにまだ物価が安い国に社員を赴任させる場合、首都プノンペンでも2万円〜4万円あれば、良い部屋を借りることが可能です。
赴任する国の様々な物価事情に照らし合わせ、どのように社員の給料を変動させていけば良いのでしょうか?
海外駐在員の給料を決める時に使う3つの方式
海外駐在員規程を作成する際に制定する給与決定方式は、
- 購買力補償方式
- 併用方式
- 別建方式
という3種類の方式に大きく分類できます。それぞれ簡単にご紹介致します。
1)購買力補償方式
大手外資系コンサルティング会社が提供する「生計率表」や「生計費指数」を購入し、赴任直前の生活水準相当額に、赴任先の都市ごとに算出された「生計費指数」と「為替レート」をかけて海外払いの基本給を決定する方式です。
2)併用方式
国内勤務時と同等の処遇を海外でも補償するため、赴任直前の手取額をそのまま海外基本給として使用する方式です。
一般的には、赴任先がどこであれ平等に設定されますが、国別(都市別)の特別手当を加算する場合もあります。
3)別建方式
国内勤務者の給与とは全く関係なく、赴任先に応じて新たな給与体系を構築し、赴任直前の給与とは別建てで個別に決定する方式です。
現実には個別要因に対応できる併用方式の採用が多い
ご紹介した3つの給与決定方式のうち、1)の購買力補償方式はアジア諸国を始めとする、日本より物価の安い国で使用するのには向いていません。
また、3)別建方式については、そもそも採用する企業が殆どありません。
したがって、赴任先の国における個別の事情を組みやすい、2)併用方式を採用する企業が多いのが現実的です。
使用者と赴任する社員双方が理解しやすい方式であり、国ごとの不公平感も出にくいからです。
上記の給与決定方式を確定したのち、単身者か家族帯同者かによって手当を設けたり、生活環境に応じてハードシップ手当を設けたりする、という形で海外赴任する社員の給料は決定していきます。
これから海外進出する予定だけれど、どうやって給料を決めればよいかわからない方は、上記を参考にしてみてください。