皆さんの会社では、販売時の適正価格をどのように弾き出していらっしゃいますか?多くの企業は、「原価積み上げ方式」と「競合との調整方式」によって、適正価格を弾き出しています。しかし、このような適正価格の算出方法は間違っています。なぜなら、儲かりにくいからです。では、どうすれば3方良しな適正価格を算出できるのでしょうか?島倉さんの解説です。
一般企業は「適正価格」を2つの方法で決める
コンサル先の方から頻繁に
「適正価格」ってどんな価格ですか?
という質問を受けますので、これについて回答してみたいと思います。
「適正価格で売らないと売れない」とか、「適正価格をつければ商売が長続きする」という形で、どんな会社も適正価格を凄く気にされています。
確かに価格が適正なものでないと、売ってる側も良い気持ちになれませんし、買う側も良い気持ちになれません。ですから、この質問は「どうやったら3方良しで儲けられるの?」というものに置き換えることもできるかもしれません。
読者のみなさんは、どうやって価格を付けていらっしゃいますか?
基本的には皆さん、以下2つの価格の付け方をしていると思うんです。
原価積み上げ方式
1つ目は、「原価積み上げ方式」です。
原価積み上げ方式とは、原価に必要経費を加えて、これに利益を上乗せして商品やサービスの価格を決める方式です。
競合との調整方式
もう1つは、「競合との調整方式」です。
この方法は、原価積み上げ方式を行ったあとで、ライバルの価格を踏まえながら、自分達が希望する価格を調整する形でよく使われます。
競合が1,000円で売っているなら、自分達は980円で売るという形式で、基本的にはライバルより安く売ることを前提としていることが多いです。
「原価積み上げ方式」と「競合との調整方式」では適正価格が弾き出せない
ただ、この2つの方式により価格を付けるのは、いずれも間違ったものです。
まず、「原価積み上げ方式」ですが、商談を1つ間違えたり、売上が予想通りに上がらなければ限界が見えてきます。
というのも、原価積み上げ方式を採用すると、「この価格じゃないと売れない」という恐怖心が生まれて、思い切って利益を乗せなくなり、一歩間違えると簡単に赤字になってしまいます。
よっぽど心臓に毛が生えた社長さんでないと、この方式を採用しても利益が出ません。
「競合との調整方式」も先述の通り、基本的に値下げを前提とした価格の決定方法ですから、よっぽど頑張らないと最初から儲かりません。
儲けるために商売しているのに、なぜライバルを気にして価格を下げるのかというと、仕組みが脆弱でマーケティングを放棄しているからです。
相手が値下げすれば、それに追従する以外に手はありません。
本当に愚の骨頂としか言い様がありません。
ビジネスは逆算!「利益の出る価格=適正価格」
結局、適正価格って何なの?どうやって決めるの?という話なのですが、先に上げた2つの価格の決め方とは真逆の形を取ります。
つまり、どれだけ利益を取りたいか?というところから、逆算して価格を決めます。
- 利益の出る価格
- 売りたい価格
- 適正価格
こうやって適正価格を弾き出します。
先程の2つの価格の決め方を全否定したのは、ビジネスの基本が逆算することだからです。
利益が出なければ商売を継続することは不可能です。
ですから、私達は「利益の出る価格=適正価格」と考えなければならないのです。
「売りたい価格=適正価格」で売るにはどうしたら良いのか?
ここまでの話を見て、多くの人は、「売りたい価格で売れるワケないじゃないか!」と思われているかもしれません。
実際に、コンサル先の社長さんへ適正価格について話すと、最初のうちは9割の社長さんが拒否反応を示されます。それもそのはず、売りたい価格で売るための努力をした経験が無いからです。
確かに何もしないで、売りたい価格で売れることなんて100に1つもありません。
ですから、「なぜその価格で売っているのか?」根拠と共に、見合う価値を提示する必要があるのです。
変な話、他のライバルより10倍高い価格を付けたとしても、その価格で1個でも商品が売れたら、その価格があなたにとっての適正価格です。
その価格で買ってくれた人をとことん大切にして、なぜ買ってくれたのか、どんなところにメリットを感じたのか、その人から吸収しましょう。
「なぜその価格で売っているのか?」について、アウトプットがより磨かれますから、ライバルの10倍でより一層売れるようになります。
こうやって、適正価格をどうやって捉えるかで、利益の出る企業と出ない企業の差は、時間を経る毎にどんどん開いていきます。
皆さんも「利益の出る価格=適正価格」で考えてみませんか?