「2016年に大学入試センター試験で高得点を取る。」「2021年度に東大入試を突破する。」これは国立情報学研究所の掲げた人工知能ロボットに関するプロジェクトの目標だ。更に人工知能ロボットは、まずコミュニケーション分野から生活に浸透し始めている。今後あらゆる職業が自動化され、人間にはより「生産性の高い仕組み」を作る役割が求められるようになる。
ロボットが東大に合格する日がいつか来る?
「2016年に大学入試センター試験で高得点を取る。」「2021年度に東大入試を突破する。」
この言葉だけを聞くと、「もっと早い目標設定に変更しないとダメじゃん。」と思うが、これはロボットの人工知能プロジェクトに掲げられたものだ。
目標を設定しているのは、国立情報学研究所の、通称「東ロボ君のプロジェクト」である。
同プロジェクトは2011年からスタートしており、昨年末の段階ですでに試験科目の少ない私立大学であれば、7割の大学で合格率80%以上という驚きの結果を残している。
人工知能ロボット導入は人間との会話から
今まさにロボットの時代が到来している。
記憶に新しい、1999年にソニーが発売した家庭用人工知能ロボットAIBOは、頭の良い玩具としての要素が強くペットロボットとして認識されていた。しかしAIBOはわずか数年で開発・販売が中止され、昨年製品の修理対応も終了した。
しかし、その後も技術革新は進み、ロボットが、明確な役割を持ち生活に根差した、人間の能力と同等もしくは超えるものとして生活へ入り始めている。
まずロボットが生活の中に進入するのはコミュニケーション分野だ。
これらのロボットは、自分の判断で動くことのできるロボットである。例えば、泣いていたら励ます、エスプリのきいた答えを返す。機械にとって一番苦手とも思える分野を搭載している。
今後、自分で学び考えるロボットが多数開発され、介護、災害救助、家事、育児などの問題を解決し始める。正確さが求められる単純作業は、ますますロボットが担うようになることが想定される。
ロボットはいつか人間の仕事を奪うのか?
ロボットが台頭する未来に人間の仕事はなくなるのだろうか?
識者へ向けて「2025年までにロボットやAIの進化が人間の仕事を奪うか?」という質問を投げかけたところ、48%の人が「ロボットが人間の仕事を立ち退かす」と答え、52%の人が「ロボットが人間の仕事を奪うことはない」と回答した。
今のところ答えは真っ二つに別れているが、ロボットが進化することは明確で、あらゆる職業が自動化され、人間が必要なくなる役割はますます多くなる。
筆者は人間の仕事はなくならないと考えるが、仕事の中身は変わっていくと考えている。
「ロボットを利用し、生産性の高い仕事を行う仕組みを作り、コントロールできるか否か」という分野の仕事はますます増えていくはずだ。
一方で「どれだけ長く働いているか?」「会社に滅私奉公しているか?」といった価値基準が、今まで同様のサラリーを生み出すことはなくなるだろう。
気合や根性で行える仕事は、そのうちロボットが解決してくれるようになることを念頭に踏まえたい。