消費者庁はプラスワン・マーケティング(株)に対し、「FREETEL SIM」と称する移動体通信役務に関する表示について、景品表示法違反(優良誤認・有利誤認) の措置命令を行いました。主な指摘は、商品やサービスの品質や取引条件のよさを強調して表示し、例外条件や制約条件を「注意点」として表示する行為「打ち消し表示」に対する業者の対応が不十分なことでした。そこで本稿は「打ち消し表示」を行う際に気をつけるべき点を5つご紹介します。
格安スマホ・格安SIMトラブルに見る「打ち消し表示」の問題点とは?
通信サービスには様々な例外条件や制約条件がつきものですが、消費者にとっては複雑で分かりにくいケースが多く、消費者トラブルも多く発生しています。
4月21日(金)にも、消費者庁がプラスワン・マーケティング(株)に対し、「FREETEL SIM」と称する移動体通信役務に関する表示について、景品表示法違反(優良誤認・有利誤認) の措置命令を行いました。
措置命令で指摘されたのは、通信速度、販売シェア、特定アプリの通信料無料についての表示が、優良・有利誤認の不当表示とみなされました。
商品やサービスの品質や取引条件のよさを強調して表示(強調表示)する際、その内容についての例外条件や制約条件を「注意点」として表示する「打ち消し表示」が問題となっています。
たとえば、不適切な「打ち消し表示」事例として、食品の定期購入についての以下のような表記を見てみましょう。
「打ち消し表示」は、例え、広告中に記載されていたとしても、気付きにくい位置や読みにくい表示である場合、消費者は誤認してしまい、不当表示とみなされるおそれがあります。
そこで本稿は打ち消し表示を行う際に気をつけたい5つの点をご紹介いたします。
打ち消し表示を行う際に注意したい5つの点
1)打ち消し表示は強調表示の近くに配置する
その強調表示に関連する表示内容であることを消費者に認識してもらうため、打ち消し表示は強調表示に近接した位置に併記する必要があります。
強調表示から離れた場所にある打ち消し表示は、不当表示とみなされる場合があります。
2)強調表示と比べて文字の大きさが小さすぎてはダメ
打消し表示と強調表示は「対」となりますので、打ち消し表示の文字の大きさが強調表示と比べて著しく小さく、消費者が見落とす可能性が高まると不当表示とみなされる可能性があります。
3)文字と背景色のコントラストに注意する
背景色と打消し表示の文字色とが対照的でない配色(例:明るい水・オレンジ色・黄色の背景に、白文字で打消し表示)は避けましょう。
また、表示全体の中で打消し表示が埋没しないよう、打消し表示以外の部分と、打消し表示の部分とで文字の色を変える、下線を引くなどの工夫も有効です。
4)文字間隔、行間余白、一行当たりの文字数に配慮する
例え、文字の大きさに配慮したとしても、一行中に多くの文字が羅列していたり、行間が狭かったりすると、読みにくいものです。
消費者に読みやすい余白や一行当たりの文字数などにも配慮しましょう。
5)打ち消し表示内容をリンク先ページに表示する場合は、リンクの文字や画像にも配慮する
リンク文字は「追加情報」といった抽象的な文言ではなく、リンク先に強調表示の例外条件や制約条件が表示されていることが、消費者が直感的に分るような文言にします。
また、消費者がリンクを示す表示を見落とさないよう、文字の大きさに配慮すると共に、関連情報の近くに配置するようにしましょう。
真摯に説明責任を果たさねば長期的な信頼関係は築けない
一般的に打消し表示は、事業者にとって消費者に対する商品・サービスの訴求効果を削ぐ効用があるために、積極的に表示したくはないものです。
そのため、目立たない表示となるケースが多いのですが、消費者にとっては、通常は予期できない事項であるため、事業者の側から積極的に情報提供しなければ、消費者には正しい情報が伝わりません。
顧客に対してメリットをできるだけ多く伝えたい、という気持ちは非常によく理解できるのですが、長期的なライフタイムバリューを築き上げるためには、あくまでも注意すべき点についても納得してもらう必要があります。
情報化社会において消費者がどんどん賢明な選択を行うようになった今、サービスを提供する企業に真摯な姿勢が求められていることは言うまでもありません。