望まれることのない春の再会。そう、黒光りする君の名は…ゴキちゃん。ゴキちゃん退治にあたり人の心は10人10色に揺れ動きます。フマキラーは徹底的な消費者心理の調査を行い、消費者がゴキちゃん退治に当たって望むシチュエーション毎に、バリエーション豊かな商品を開発し、見事消費者の支持を獲得しています。しのぎを削る商品開発に私達は多くを学べます。
望まれない春の再会。黒光りする君の名は…
こんにちは。ジェネシスコミュニケーションの松尾です。
今日は、食事中にはあまり読まないほうが良いテーマです。ご注意ください。
さて、ようやく暖かくなってきましたね。
寒いのは苦手という方がほとんどだと思いますので、春本番が待ち遠しかったことでしょう。
しかし、暖かくなると台所などで、あの黒光りする生き物を見かけることが多くなります。そう、ゴキちゃんです。
私も含め、苦手な人が多いと思いますので、フルネームで書くのは控えます。
黒光りする生き物退治にしのぎを削るフマキラーの取組
ゴキちゃんが出没したらどうしてますか。私は液体洗剤をかけますが、動きが速いので取り逃がすことが多いです。
実際には殺虫剤を使う方が多いでしょう。ドラッグストアに行くと、ゴキちゃん用殺虫剤は何種類もあって選ぶのに困りますね。
どの殺虫剤もたいした違いが感じられず、「昔から使っているから」といった理由で選択するのではないでしょうか。
実は、メーカーとしてもゴキちゃん退治の研究の手をゆるめることなく、常に新たな切り口で新商品を開発しているのです。(以下、製品名はフルネームで記載します)
まずは、フマキラーの商品開発に触れてみましょう。
フマキラーが、「ゴキブリプッシュプロ」という新製品を出しています。これは、長いノズルがついており、すき間にスプレーすれば、隠れているゴキちゃんも退治することができるというもの。
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ポイントは効果が強く(激速ノックダウン効果)、殺虫剤に触れたらすぐにご臨終となるため姿を見なくて済むという点です。
一方、同社の既存製品に「ゴキブリワンプッシュ」があります。
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これも、すき間にスプレーすることができますが、プッシュプロと違い、「追い出し効果」があるため、外に出てきてご臨終となるように設計されているのです。
つまり、新製品のプッシュプロと、既存製品のワンプッシュの違いは、ゴキちゃんの臨終に立ち会いたいか、立ち会いたくないか、という点にあります。
なんとなく、みんな、あの黒光りの姿はあまり見たくないのでは・・・と思いがちですが、フマキラーが消費者調査をやってみると、実は、ゴキちゃんの死骸を確認したいという人が半数以上いるという結果があるのです。(おそらく、殺虫剤の効果を自分の目で確認したいということでしょう)
つまり、ゴキちゃんの臨終に立ち会いたい人、立ち合いたくない人で消費者は二分されているというのが現実なのです。
そこで、フマキラーとしては両方のニーズに対応するために、新製品の「ゴキブリワンプッシュ」を開発したというわけです。
アース製薬も消費者視点の商品開発で顧客を徹底セグメント
なお、アース製薬からは、「天然ハーブのゴキブリよけ」が発売されています。殺虫剤の成分は人間には毒性が低いことが立証されていますが、それでもなんとなく使いたくない人がいるもの。
しかし、天然ハーブだけの成分であれば安心と感じますね。
アース製薬は、化学成分でできている殺虫剤に抵抗感を感じる消費者を狙って「天然ハーブのゴキブリよけ」を開発したわけです。
さて、フマキラーに話を戻します。同社は、効きめ成分を高濃度に配合した「フマキラーAダブルジェット プレミア」の大ヒットもあり、直近の業績は、4期連続増収増益、売上 高・利益(営業・経常・純利益)ともに過去最高を更新しています。
アース製薬も殺虫剤市場では、直近の業績においてここ10年で最高の売上を叩き出しており、特にゴキちゃん市場では前期比125%以上の伸びとなっています。
消費者の多様なニーズをしっかりと調査して、様々な新商品を繰り出すメーカーの動きは実に興味深いですね。