「税理士を変更すると翌期に税務調査に入られやすくなる。」という都市伝説があることをご存知ですか?税理士がタレコミをするなどして、調査官に目をつけられることはあるのか?財務管理や経営マネジメント分野において経営者と二人三脚で歩む税理士にまつわるブラックな都市伝説にお答えします。
税理士を変えたら税務調査に入られやすい?
ありがたい話で、私のブログや記事を見た方で、今までの税理士を変更し、当事務所のお客様になって頂くお客様が増えています。
お客様のお話をお伺いすると、前の税理士の対応にかなり不満を持っていられる方がほとんどです。
ただし、いくら不満を持っていたとしても「なかなか税理士を変更する」ということに対して抵抗を感じている人も多いようですね。
「最初から説明をするのが面倒くさい」
「結局変えてもやることは同じなんでしょ」
などなど、色々と理由はあるかと思いますが、よく聞かれることの一つが「税理士を変えると税務調査に入られるんじゃないの?」ということです。
開業当初から一緒に二人三脚で財務を見てもらったりしている場合は特に、そういう不安を感じることがあるかもしれません。
では実際に、税理士を変更すると税務調査に入られやすくなるんでしょうか?
「税理士を変えたら税務調査に入られる」はデマ
結論からお伝えすると、「税理士を変更すると税務調査に入られる」というのは全くのデマです。
そもそも税務署側として、多くの納税者の一人を担当する税理士が変わったことなど、いちいちチェックできるわけがありません。
確かに、申告書のはしっこに税理士が署名する欄がありますし、それ以外の情報もあるので確認はできますが、それは重要なチェック項目ではありません。
仮にチェックしていたとしても、「どんな理由で税理士が変わったか?」なんて分かるはずもないのです。
お客様の都合で変わったケースもあれば、税理士の都合で変わったケースもあるでしょう。
ですから、税理士が変わったからと言って税務調査に入られることはありません。
もしそういうケースがあったとしたら、たまたま税務調査があった時期と変更になった時期が被っただけであり、そこに因果関係はありません。
前の税理士が税務署にタレこみする可能性は?
「税理士を変えるなら、今まで秘密だったことを税務署にタレこんやる」
もし前の税理士が顧問を変えられた腹いせとして、税務署に情報をたれ込まれたらどうしよう((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
そんな不安を抱えていたとしても、そもそも悪いことをしていなければ何の問題もありません。
万が一、若干後ろめたいようなことがあったとしても、そんな秘密情報を税務署にタレこむような税理士とは、早く縁が切れてよかったと喜ぶべきです。
そもそも税務署OBでもなければ、そんな情報を垂れ込むような付き合いのある税務署関係者なんていませんし、お客様の情報は法律で保護すべきもの。
そんな情報を簡単に流せば、税理士自体が懲戒処罰を受けることになるため、自分で自分の首を絞めるようなバカ税理士はいないと思います。
ご安心を。
処理の仕方が大きく変わると税務調査が入る?
ただ、税理士が変わることで、税務調査に入られやすくなる可能性として一つ考えられることがあります。
それは、税理士が変わったことで会計や税務の処理が大きく変わった場合です。
例えば、今までの税理士の処理方法がテキトー過ぎて、それを元に戻すために大幅な処理をしなければならないことがあったりします。
業界の恥をさらすことかもしれませんが、根本的に決算書が間違っているケースもあるのです。
例えば、決算書の貸借対照表と損益計算書の最終値があっていなかったり、デタラメな数値が申告書に並んでいたり…。
よく税務署も何も文句言わなかったなぁ…というような内容のものもあったりします。
そのような場合には、社長に説明して適正なカタチに戻すように処理するのですが、その際に少し過去に遡って処理をやり直さなければならないケースもあります。
そのような場合に、税務署から指摘を受けるケースもあるかもしれません。
ただ、どちらにしてもそれは一過性のものです。
そのまま放っておいたら、間違いだらけの決算書や申告書で、会社経営を続けていかなければならないのです。
税理士を変更することは、決してハードルが高いものではありません。
例えば変更するしないは別として、ほかの税理士の話を聞いてみるだけでも新しい発見があるかもしれませんよ。