弁護士使う少額の売掛金回収は費用が合わない
会社が最大限の利益を出すためには、売上を上げることに加えて、売上の代金(売掛金)を回収する作業も非常に重要です。
「売掛金の額が少額だから」と言って回収を怠ると、積もり積もれば大きな金額となり、気がついてみれば資金繰りに大きな影響を与える場合が多いもの。
特に、相手方との交渉を行っても何ら対応のない相手方に対しては、法的手続きをとることもやむを得ません。
ただし、通常の訴訟では訴訟手数料も高く、弁護士費用も必要となるため、少額の売掛金の回収においては現実的ではありません。
そこで今回は通常訴訟以外の、中小企業にとって実践的な少額売掛金の回収方法を3つご紹介します。
販売先から少額売掛金を回収する3つの方法
法的な措置を伴わないパターン
1)内容証明郵便での請求
支払期限までに入金がなく、何度再請求を行っても埒が明かない場合には、まずは内容証明郵便で請求することになります。
内容証明郵便とは、文書の記載内容及び差出日を郵便事業株式会社が証明してくれる制度です。
更に配達証明をつけることで、相手方に到達した日の証明も可能になります。これにより、相手方からの届いていないという反論を防ぐことができます。
法的な手続きを取るパターン
2) 支払督促
支払督促とは、会社が簡易裁判所に対して、支払督促の申立を行い、簡易裁判所が相手方に対して支払を命ずる手続きです。
支払督促は、申立を行ったときの書面審査のみで出されるため、通常の訴訟のように当事者が裁判所に出頭することなく、費用も半額で済みます。
ただし、支払督促のみでは支払を強制する効力はありません。
支払督促を行っても相手方が支払わない場合に、申立人は仮執行宣言の申立を行い、この仮執行宣言が与えられてはじめて、相手方に強制執行をすることができます。
その他、相手方が支払について異議を出した時には、通常の訴訟手続きに自動的に移行されるため、相手方が異議を出すことが明らかな場合には、支払督促のメリットは少なくなります。 3) 少額訴訟の利用
少額訴訟とは、請求する債権の額が60万円以下のときに利用できる方法です。この少額訴訟の特徴としては、原則として1回の審理で判決が出される、という点にあります。
手続きとしては、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に訴状を提出します。訴状の書式は簡易裁判所に備えてあるため、弁護士に依頼することなく訴状を作成することが可能です。
日頃から未回収にしない対策を打つのがベスト
以上、お金をかけずに少額売掛金を回収する方法をお伝えしました。
ただし、これらはあくまでも回収が遅れる場合の手段です。
一番良いのは、普段から未回収にしないための対策を行うことです。
つまり、
- 取引に際して与信をなるべく行うこと
- 得意先の弁済期限を常に把握すること
- 弁済期限における未入金への対応を事前に決めておくこと
です。
ぜひ、コツコツ節約、しっかり利益を取れるように、日頃から売掛金回収は社内で制度をしっかりと整えておきましょう。