紙媒体の広告で中小企業、特に地域密着型の業態で事業を営む企業にとって代表的な広告が、新聞折込チラシ型の広告だ。しかしウェブ広告が台頭したことで効果が薄れたとして、利用する企業は減少の一途を辿っている。本当に折込チラシの効果は薄まっているのだろうか?興味深い調査をR&D社が公表したので、検証してみたいと思う。
新聞折込チラシは本当に過去の遺物なのか?
紙媒体の広告全般で効果を疑問視する声が高まっている。
紙媒体で中小企業、特に地域密着型の業態で事業を営む企業にとって代表的なのが、新聞折込チラシ型の広告だ。一般紙面に広告掲載するよりも単価が割安で、新聞販売店ごとに交渉することが可能だからである。
しかし折込チラシですら効果が薄れたとして、利用する企業は少なくなっている。
その代わりに台頭してきたのがウェブ広告の市場であり、年々その規模は拡大の一途を辿っている。
本当に新聞折込チラシは過去の遺物となってしまうのだろうか?興味深い調査結果が発表されたので検証してみたい。
購読層は世代関係なく約7割がチラシを見る
株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメントが、2014年10月に18~79歳の首都圏の一般生活者を対象に実施した、「新聞定期購読率の推移と折込チラシ閲覧率」の調査結果によると、10年前と比較した際に30代から60代に至るまで万遍ない世代層で、新聞の購読率が下がっていることが判明した。※1
特に30代の購読率は10年前の78.1%から41.3%まで大幅に減少している。
ただし「新聞の折込チラシの閲覧状況」については、新聞定期購読者の大半が、年代に関わらず折込チラシに目を通していることがわかった。30代で66.8%、60代で80.8%と非常に閲覧率が高い状態となっているのだ。
この結果から言えることは、「新聞を毎日読むこと=折込チラシを見ること」という行動は、時代が進んでもあまり変わっていないということだ。
新聞の購読数減少により新聞の折込チラシ市場自体は縮小しているが、効果自体が薄れたとは言えず、若い世代層であっても新聞を読んでいる世帯には、高い確率で広告がリーチすることを教えてくれる、有用な調査結果だった。
新聞店は各自に購読層別の折込を行うべきだ
前述のとおり広告市場全体で見れば、広告を打つべき媒体は紙からWebに移っているのが現実である。
ただし新聞チラシの良い所は、新聞販売店が商品を直接配達することで、世帯の属性を把握できることだ。
今はまだ各新聞販売店とも、地域特性や、アバウトなメイン世帯層に合わせた広告を入れるくらいしか行っていないため、各世帯別に入れる広告を変えるなどのサービスを打ち出すことで差別化が可能かもしれない。
もちろん手間はかかるだろうが、これだけのリーチ率が調査でわかっているなら、前述のサービスを実施する場合、広告折込単価をあげてもよいはずだ。
逆に自社が地域密着型の企業で、特定層にリーチしたいのならば、新聞販売店に提案してみるのも一考である。
廃れていく一方に見えるサービスも、角度を少し変えるだけで、新たな商品やサービスになるかもしれない良い一例と言えよう。
※1「新聞定期購読率の推移と折込チラシ閲覧率」
http://www.rad.co.jp/report_list/20150123/
※資料参照 株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント
http://www.rad.co.jp/