コンビニエンスストアに行くと、先週まであった商品が無いということが頻繁に起こります。限られた店舗で効率的に売上を立てるため、運営側が商品をどんどん入れ替えるからです。商品の入れ替えを行う際は主に「ABC分析」という手法が用いられますが、これは高度なソフトが無くともExcelで簡単に始められます。ぜひ始めてみませんか?
なぜコンビニからあの商品は消えたのか!?
コンビニに行くと、「先月は確かに売っていたはずの、あのガムがない」というようなことが頻繁にありますよね。
スーパーマーケットや百貨店に比べて店舗スペースの限られたコンビニが、効率的に坪単価あたりの売上を伸ばし続けるためには、常に売れ筋商品をチェックし、売り上げの悪い商品をどんどん入れ替えねばなりません。
これを支えるのが、コンビニの優れた売上分析手法です。
主にコンビニが売上分析を行う時に採用する手法は「ABC分析」と呼ばれ、簡単に売れ筋商品が理解できて、商品選定も効率化が図れるものです。
また、この分析手法はお金のかかるソフトを使わなくても、今日から実行できます。
そこで本稿は、コンビニが行う「ABC分析」についてご紹介します。
経験や勘に頼らないデータを基にしたABC分析
商品を販売する人ならば誰もが理解できることですが、人気のない商品をそのまま放置して販売を続けると、様々なリスクが発生します。
例えば、
- その商品のせいで「あそこは品質が良くない」など悪評が広まってしまう
- 期限のあるものであれば在庫のムダや廃棄ロスが発生する
- 販売頻度が少ないのに管理の手間がかかり作業が効率化出来ない
などのリスクです。
こういったリスクを排除するためには、人気のないメニューをどんどん外す必要があります。
ただ、どれが人気がある商品なのか?どれが人気のない商品なのか?を経験や勘だけに頼って選ぶのは危険です。
人の直感が必ず当たるとは限らないからです。
そこで、データに基づいたABC分析を用いると、売り場の雰囲気や感覚に左右されること無く、客観的に「販売に力を入れる商品」と「販売を止めるべき商品」を選択することが出来ます。
Excelを使って簡単なABC分析をやってみよう
それでは、ABC分析はどうやってやればよいのか?具体的に見ていきましょう。
まず、お店の商品の売上や個数を調べて、これを多い順に並べたエクセル表を作ります。
次に、各商品の構成比率を求めます。
売上順であれば、商品の売上高÷総売上高で示し、さらに累積構成比率も求めます。
このうち、累積構成比が80%までに入った商品をAランク、80~90%の範囲の商品をBランク、それ以上の商品をCランクと分けます。(厳密に利益率を加味した分け方もありますが、本稿では簡略化致します。)
いわゆる「80:20の法則(パレート最適)」を、当てはめるのです。
これをグラフ化すると、左から上位の商品が並んだグラフが出来上がります。
Cランクの商品は、数があってもほとんど売上には貢献していないことがビジュアルでよくわかります。
これらの商品は入れ替え候補です。
もちろん、Cランクの商品がどうして構成比が低いのか?背景をよく考える必要はあります。
また、実はその商品を求めて店舗やサイトに訪れるファンもいるわけです。
そのような場合でも、Cランク商品については、在庫を適正に抑えることで無駄な仕入れ経費を削ったり、管理や仕入れにかける時間を短縮することで業務の効率化を図ることを意識できます。
ちなみにABC分析の考え方は、取引先管理や製造工程管理など、様々な場面の管理に応用することが可能です。
限られた時間の中で優先順位を決めるうえで、ABC分析は便利なツールと言えるでしょう。
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