こんにちは!
タナカキミアキです。
あなたは「従業員にもっとやりがいを持って働いてもらいたい」と考えたことはありませんか?
多くの企業でも当然そのように考え、新人研修などでよく「3人のレンガ職人」というイソップ童話が例に使われています。
この「3人のレンガ職人」を使い、やりがいを持って仕事に取り組むことを良いといった指導をするのですが、本当にそれは必要なことでしょうか?
今回は、「3人のレンガ職人」の内容と、経営者が本当に考えなければならないことについてをお話したいと思います。
3人のレンガ職人とは?
3人のレンガ職人とはイソップ童話で、以下の3タイプの職人が登場します。
- 命令されたから仕事をするレンガ職人
- お金のために仕事をするレンガ職人
- 天職だとやりがいを持って仕事をするレンガ職人
命令されたから仕事をするレンガ職人
1人目は命令されたから仕事をするタイプのレンガ職人です。
このタイプの人は、親方から命令されたからレンガを積んでいる人で、目先のレンガしか見えていません。
10年後も変わらず、親方に命令されてレンガを積んでいます。
お金のために仕事をするレンガ職人
2人目はお金のために仕事をするタイプのレンガ職人です。
生活のために稼がなければならないと、早く技術を身に付けて、できるだけ待遇がよく、きつくない仕事で稼ぎたいという人です。
この人には、レンガを積んで作った壁が見えています。
そして、より待遇がよいところがあれば移っていってしまいます。
天職だとやりがいを持って仕事をするレンガ職人
2人目は天職だとやりがいを持って仕事をするタイプのレンガ職人です。
自分は歴史に残る大聖堂を作っていて、その大聖堂で祈りを捧げている人たちの姿が目に浮かぶと言って仕事をしている人です。
このタイプの人は、リーダーになって、多くの職人さんたちを指示して、大聖堂が出来上がった時には、その人の名前がつきました。
天職と思うレンガ職人と実務を行う新入社員
前述の通り、新人研修で3人のレンガ職人を使い、「天職だと思って10年間働けば、30代の働き盛りのときにはリーダーとなり、名を残すような仕事ができるようになる」と研修講師が持っていきます。
ところが現実があります。
新入社員の人たちをこのレンガ職人に置き換えてみてください。
仕事の内容は同じ作業員で、賃金も同じです。
実際に「やりがい搾取」を天職だという人はほとんどいません。
従業員で天職だと思うような人は、やりたいことのために自分で会社を興します。
そういう人は、自分が世の中に価値を与えていることを実感できるので、天職と思えるでしょう。
ほとんどの従業員は命令されて仕方なく仕事をしたり、お金のためにしかたなく働いているという人が多いのです。
逆に言えば仕事が大好きで天職だという人たちは、長時間労働も平気です。
レンガ職人の思いよりも生産性を考えよう
会社というのは、残念ながら天職だと思って働いてる人だけで業績があがるわけではありません。
新人研修では、「3人のレンガ職人の中で天職だと思って仕事をする方がいい」と教えておきながら、経営者の立場で考えると、そのような天職だという従業員よりも、楽をしたいからイノベーションや技術革新を起こせるかを考える方が役に立ちます。
中小企業が生産性が悪いと言われているのは、このような考えで、逆に生産性を良くしようと思ったら、便利な機械をどんどん入れていかないといつまでも長時間労働で生産性が低いのだと思います。
3人のレンガの職人の話を逆から考えて、実際に経営をしてみることもいいと思っています。