NHKのワンセグ判決敗訴に学ぶ契約書作成時の用語解釈における注意点

時事

 NHKはワンセグ携帯の視聴者から受信料支払いを求める裁判で、放送法における受信料支払いを求める用語「設置」と「携帯」の解釈一つを理由として敗訴することになりました。企業間の契約においても、同じように用語や文言一つ解釈が違うだけで、取引内容が変わってしまうのはよくある話です。これを防ぐにはどうすれば良いのでしょうか?

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ワンセグ携帯はNHKに受信料支払い義務無し?

 今年の8月にさいたま地裁は、NHKとの受信契約に関する画期的な判決を出しました。

 その内容は、ワンセグ付きの携帯電話を所持していたとしても、放送法に鑑みた時にNHKと受信契約を締結する義務はない、というものです。

 NHKはただちに、高等裁判所へ控訴する旨を発表してますので、地裁の判決がそのまま通るか否かは現時点ではわかりません。

 さいたま地裁の判決は、ワンセグ付の携帯電話を所持していても、受信契約をNHKと締結する必要がない理由を、放送法の以下条文に根拠として認めています。

放送法 第32条 (受信契約及び受信料)

1、協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であって、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものを言う。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

 確かに、「携帯電話」は、放送の受信を主たる目的とはせず、通話を主たる目的とするものです。

 更に、たとえ携帯電話にテレビ電波を受信する機能があったとしても、それはテレビアンテナのように受信設備を「設置」したわけではなく、受信設備を「携帯」していたまで、という論旨を組み立てれば、そちらのほうが社会通念上合理的と判断されます。

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契約書は用語や文言の捉え方ひとつで変わる

 今回の事件を取り上げたのは、何もNHKを批判するためではなく、契約書や法律の「用語」や「文言」の捉え方一つで、状況が大きく変わってしまうことを読者の皆様に知ってほしかったからです。

 普段、何気なく私達は契約書を作成し、リーガルチェックを受けてOKが出たならば、「これで大丈夫」と契約調印を行いますが、用語や文言の捉え方は双方で全く異なるものとなる場合があります。

 NHKも、まさかこのような事態になるとは思っていなかったはずです。

 これを防ぐのに有効な対策は、契約書の中で使用する用語の定義を、契約書の冒頭部分もしくは末尾に注釈として記すことです。

 相手方が用語の注釈付き契約書を作る際は、使用される用語が相手に有利な条項となるよう作られていないか注意すべきでしょう。

 例え、同じ用語を使っていても、相手が違う意味で使っている、自分達と別の目的の取引をするために利用しているという、まさかの事態が起きないようにする必要があるのです。

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用語や文言の見解相違で契約は変えられない

 今回の判決を受けて、NHK局内では放送法の改正に関する論議が起き、NHKと契約を締結する根拠である放送法を変えようとする動きも出ています。

 NHKの石原進経営委員長が9月13日に「ネット配信であっても何らかの受信料をいただくことは必要」と述べ、ネット視聴者にも受信料の負担を求める意向を示したことは、記憶にあたらしいところです。

 その際は受信料に関する文言に「設置」だけでなく「携帯」の場合も、NHKと受診契約を締結する義務があるという文言への改正が考えられます。

 親方日の丸・NHKがこのような暴挙に出ることができても、民間企業間の契約締結においては、片方が一方的に契約のルールを変えることは出来ません。

 契約を締結する際は、契約書の用語や文言について、一層の注意が必要とされます。

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