中小企業が知的財産を有効活用する際は、大手企業と組むことが効率的な場合があります。しかし、いくら知的財産を持っているとは言え、経営資源豊富な大手と組む場合は用意周到である必要が生じます。相手の方が一歩も二歩も先手を打っていると考えられる場合、中小企業はどのような手を打つべきでしょうか?
大手企業とコラボレーションしたい…ちょっと待った!
「この商品、○○社と組んで売り出せば間違いなく売れると思うんです。でも相手は大手だし、下手にアプローチするのも・・・」
これは、先日私が訪問し、打ち合わせをしてきた事業者の方がおっしゃっていた言葉です。
私からは、「もし大手と組まれることを考えるのでしたら、こちらも渡り合えるだけの武器が必要ですね。何も持たず組むのも考えものですね」という趣旨のことをお答えしました。
結局、まずは自分たちで売り、商品が市場に広まって、認知度を上げることを優先することとしました。
経営資源豊富な大手と組む場合は用意周到さが必要とされる
上述の「武器」とは、知的財産のことですが、商品によっては知的財産を取得することが難しい場合があります。
例えば、すでに公知になってしまっている構造と大差はないが、今までと用途や使用方法が異なる場合や、デザインがありふれているような場合です。
では、このような場合、手立てはないのでしょうか?
例えば、知的財産を全く取得しないまま、その商品を大手企業に見せて協力を呼びかけた場合、相手の大手企業がどのように考えるかを想定してみる必要があります。
経営資源豊富な大手企業であれば、さらにその商品を工夫したり、オシャレなデザインを考えて改良しようとするかもしれません。
その中から、具体的に商品化できた構造やデザインで活用できるよう、知的財産を取得する可能性もあります。
つまり、もし大手企業との協業を想定するのであれば、このようなことを考慮に入れた上で、手を打つ必要があります。
例えば、
- 新規な用途で知的財産を押さえられないか、デザインのバリエーションはないかを検討する
- 開発したのは自分たちであるという証明をしておく
- あらかじめどういう契約条件ならよいかを想定しておく
といった形です。
自社だけでなく外部の知恵も借りながら大手との組み方を考えてみよう
これらは費用もかかりますし、特に小規模事業者の場合、一人で考えていてもなかなかいいアイデアは浮かんでこないと思います。
外部の弁理士やデザイナー・コンサルタントの知恵も借りた方がいいかもしれません。
また、かけた費用に見合う利益が得られるかどうかも検討が必要です。
いずれにしても、無為無策でコラボの検討はすべきではなく、周到に「武器」を用意しておく必要があるのです。
あなたは、交渉の際に必要な「武器」を用意していますか?