売上目標をいつまで経っても達成できない会社は、大抵の場合、売上目標の逆算活動を行っていないものです。売上は過去の営業活動が結実することによって初めて生じるものです。そこでオススメしたいのが、未来の売上を可視化する「先行情報管理」というマネジメントの仕組みです。詳細をご紹介いたします。
いつまで経っても売上目標を達成しない会社
これまで300社以上の組織営業をコンサルティングしてきましたが、皆さんに相談される内容と私への依頼をまとめると、以下のような形に集約されます。
- 売上目標(予算)がいつまでたっても達成できない
- 目標自体が形骸化している
- 未達の連続で組織も疲弊感が蔓延している
- 目標達成のための何か良い方法を探している
このような相談を受けた時に、思い返してほしいことが一つあります。
それは、今月の売上は、過去の営業活動が結実したものであることです。
これから先の売上目標を達成するには、未来の売上目標に対して、今現在どれくらい受注が積み上がっていて、いくら売上が不足する可能性があるかを把握し、その不足額を埋めるために、逆算して今からどんな活動をするのかを、マネジメントしなければなりません。
しかし、いつまで経っても目標を達成しない会社では、殆どの場合で、売上目標の逆算活動が行われていません。
そこで本日は、売上目標を逆算する際に必要な仕組みとして、『先行情報管理』というマネジメント術をご紹介したいと思います。
先行情報管理により未来の売上を可視化しよう
『先行情報管理』とは、未来の売上の可視化と、売上目標達成に向けた営業の行動修正の仕組みのことです。
営業管理者は部下に対して、営業目標への不足額について、
- どの顧客に対してどのような活動をして
- いつまでにどのような状態にするのか
といった具体的指示を出すことで、部下育成と部下支援を実現し、結果として売上目標を達成しなければなりません。
営業管理者が先行情報管理を行うためには、
- 1)先行金額
- 2)受注時期
- 3)売上時期
という、3つの情報を集めてくる必要があります。以下、詳細に説明しましょう。
1)先行金額
先行金額とは、「お客様がどれくらいの予算で本案件を考えているのか」という情報です。
2)受注時期
受注時期は、お客様から見た時には発注時期となります。いつお客様が意思決定をして、発注する予定なのかを判断する上で重要な情報です。
3)売上時期
売り上げが計上できる時期を指します。「受注時期は10月だけれども、実際に商品が納品されるのは12月になる。」などの具体性が求められる情報です。
この3つの数字を組み合わせると、以下のような先行情報管理が行えます。
1)先行金額 × 3)売上時期
この計算により、私達は「いつ、どれくらいの売上が上がりそうか?」という数字を積み上げることができます。
月別に集計すれば、何月にいくら売上が上がりそうかを、可視化することが可能になります。
2)受注時期
この数字は、前述の通り「お客様がどの会社に発注をするか意思決定をする時期」です。
いつ意思決定をするかが分かれば、営業活動を逆残して、各営業プロセスをいつのタイミングで通過しておかなければならないか、通過リミット設定も可能です。
例えば10月に意思決定されることがわかれば、後は先行情報管理によるマネジメントで、次のような具体指示を出せば良いのです。
- 10月に意思決定する→9月には提案を完了させる
- 9月に提案を行う→8月にはニーズの把握を終えておく。
- 8月にニーズの把握を行う→7月には現状把握を終えておく。
- 7月に現状把握を行う→6月には人間関係構築を終えておく
営業マンが未来の売上に向い、今自分が何をやらなければ行けないのか具体的に把握することで、目標の具体化、営業の効率化、モチベーションの向上が実現され、結果として売上目標が達成しやすくなるのです。
営業管理者の本分は未来を見据えた部下指導と部下育成
こういった逆残の営業活動を実践することで、未来の売上目標達成に向けた実践活動ができ、営業管理者は具体的な指示を行える環境を手にすることが可能になります。
営業管理者の本分は、「結果集計」や「結果の分析」ではなく、部下が結果を出すために行う「部下指導」と「部下育成」です。
また、先に予見されることを営業マンたちから吸い上げるには、情報収集能力も求められます。つまり「聞き上手」であることも、先行情報管理を行う上で必至の能力なのです。
ぜひ具体的な目標設定を逆算して行い、目標を達成しましょう。