色を変化させると顧客の商品やサービスに感じる心理は、大きく変化します。このように、色によって人の心理が変化することは「色彩心理学」として知られており、ウォルマートやセブン-イレブン等も、色彩心理学を巧みに利用したサービスを行っています。そこで本日は、色がビジネスにもたらす効果を解説致します。
時間を長く感じさせる色と短く感じさせる色がある!?
読者の皆様は、色が顧客心理を大きく左右することをご存じですか?
ある会社が喫茶店で待ち合わせをしている客を調査した結果によると、暖色系の内装の店で待っている客は、寒色系の内装の店で待っている客よりも、時計を見る回数が2.3倍多かったということです。
また、ウォルマートは、レジ周りの色に寒色系を使っています。
これらのことは何を意味しているのでしょうか?
そうです。暖色系は時間を長く感じさせ、寒色系は時間を短く感じさせるのです。
レジや客待ちコーナーに寒色系を使うことは、長く待っているという感覚を少なくする効果を産みます。
ウォルマートの受付窓口・レジ周りは青で統一されている
逆に、暖色系は時間を長く感じさせるので、レストランなどで内装を暖色系にすると、同じ時間でも長く楽しんだという心理になります。
本日は、色を使ってビジネスを工夫する方法について、考えてみたいと思います。
寒色系と暖色系で温度の感じ方は3度変わる!
ある会社の食堂でのエピソードをご紹介しましょう。
食事をしている従業員から、「寒いからエアコンの温度を高くしてほしい」という要望がありました。
その食堂は壁の色を当時ブルー系にしていたのを、オレンジ系に塗りなおしました。
そうすると、同じ温度なのに従業員からのクレームはなくなりました。
文字通り、寒色系は寒く感じ、暖色系は暖かく感じます。その体感温度の差は約3度と言われています。
日本は暖房を入れる期間と冷房を入れる期間を比較すると、暖房を入れる期間の方が長いですね。
したがって、店舗の外装や看板の色は、濃い暖色系をメインの色にした方がいいと言われています。
寒色系を使う場合も、暖色系と組み合わせて使わないと、冬は寒々しいイメージになってしまい、客足を遠のかしてしまいます。
ちなみに、セブン・イレブンでは、上からオレンジ、緑、赤の帯の間に白を入れています。
これは、夏にも冬にも適応した色使いと言えるでしょう。
色の違いが顧客心理に与える影響を3つご紹介
ここからは、色の違いが顧客心理に与える影響のうち、代表的なものを3つご紹介しましょう。
色を変えると重さが変わる!?
軽く感じる色、重く感じる色と、色には重さがあります。
次の数字が重さの感じ方を表しています。
- 白:100
- 黄:113
- 赤:184
- 黒:187
何と、黒は白に比べて2倍近くも重く感じるのですね。
以前私は、いつでも持ち歩けるようにiPadを購入したことがあります。
ところが持ち歩くには重いと感じたので、いつの間にかiPadは家に置きっ放しとなってしまいました。
そのため、妻から「何のためにiPadを買ったの?」と言われました。
そのiPadの色は黒だったのです。
最近、iPadのminiを買いました。色はシルバーです。今度は持ち歩けることでしょう。
波長の長い色は遠くからでもよく見える
店の看板は、最低でも70メートル先から分かる、視認性の高いサインポールが必要です。
波長の長い色を使うと遠くからでもよく見えます。
特に赤は波長が長く、遠くからでも目に入りやすい色です。
明度の高い色、つまり明るい色は、筋肉の緊張を緩め、疲労を和らげる効果があると言われています。
したがって、明るいベージュ系の壁面は、お客様や従業員の疲労感を軽減します。
高級感を与える色・廉価感を与える色がある
色によって商品イメージはガラリと変わります。
昔、わが家に入ってきた安売りスーパーのチラシの紙の色は、黄色でした。
そうです。黄色は廉価感を与えます。
逆に、黒や紺、紫などのダークカラーは、高級感を与えます。
最も目立つ配色は、黒と黄色の組合せです。
黄色で動きのあるものは、最も人の注意を惹きつけます。だから、幟(のぼり)は黄色が多いのです。
ある本に、黄色や黄緑は、くしゃみが出そうになる色と書いてありましたが、これは本当かなぁ??
色については、他にも様々な効果がありますが、ぜひビジネスに応用してみては如何でしょうか?
Photo credit: JeepersMedia via Visual Hunt / CC BY
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