長く会社を経営していると、無断欠勤する社員も出てきたりするものです。一日か二日程度で事情を素直に話せば済むケースもありますが、中には数週間も無断欠勤される場合があります。しかし、勝手に解雇すれば後で訴えられる可能性があります。これを防ぐための事前対策を本日は解説したいと思います。
無断欠勤で連絡つながらず解雇すらできない…
従業員が突然会社を無断欠勤!皆さんはこんなご経験がおありですか?
無断欠勤が1日か2日程度で済み、何かしらの事情があったのがわかれば、貴方もそれを不問に期すことでしょう。
しかし、無断欠勤が長期に及ぶと、何処かの段階で何らかの対応が必要となってきます。
問題となるのが、往々にしてその従業員と連絡が付かない場合でして、何が起きているのかもわからず、今後の対応について協議することさえ困難になります。
こちらとしては、無断欠勤が長期に及べば「当然に懲戒解雇の対象でしょ!」と思われることでしょう。
確かに、無断欠勤が2週間以上にも及べば懲戒解雇した後、裁判等になっても、その懲戒解雇の正当性や妥当性が認められる可能性は非常に高いです。
しかし法律上は、従業員を懲戒解雇するために解雇する旨を伝える必要がありますし、解雇する旨を伝えて初めて懲戒解雇が有効となると言えますし、裁判となれば費用も時間も相当にかかってしまいます。
何か良い解決策は何か無いのでしょうか?
無断欠勤する社員の連絡が無い場合の事前対応
前述のとおり、無断欠勤を続ける従業員に連絡が付かなければ、その旨を伝えることができないので、懲戒解雇したくても懲戒解雇できないことになります。
「ならば内容証明郵便を送れば?」と思われる方もいるかもしれませんが、「内容証明郵便は懲戒解雇するという内容の文章を届けた」という証明にしかなりません。
本人がその内容を読んだという証明にはならないので、懲戒解雇の通知には該当しないこととなります。
そうなると、何とか本人に連絡を付ける必要が出てくるのです。
何度も電話したり自宅を訪ねたりしなければならないので、無駄な時間や労力がかかります。
更には無断欠勤の期間が長期に及べば、それだけ社会保険料等の負担も増えてしまいます。
これを防ぐために重要なのが就業規則です。
「無断欠勤が、一定期間以上に及んだ場合には、退職の意思表示があったものとみなす。」という文言規定を入れておけば、問題は解決します。
「退職の意思表示があったものとみなす」とは懲戒解雇ではなく、
- あくまで従業員本人が自主退社する意思がある
- 退職届が出されたものと同じとみなす
という形で考えられるため、本人と連絡が取れなくとも、退職の手続きをすることが可能となります。
就業規則が無ければ逆に訴えられる可能性も!
もし、このような規定が就業規則の中に無くて、無断欠勤を続ける従業員を勝手に退職させてしまったら、後で訴えられてしまう場合もあります。
無用なトラブルを避けるために、従業員の無断欠勤についての規定は、必ず就業規則内に設けることにしましょう。
会社を守るために、何より周りの社員たちに対する経営者としての「しめし」をつけるため、重要なポイントです。